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夏の政治決戦となる参院選は7月4日公示、同21日投開票の日程で行われることが決まった。選挙戦では何を訴え、どう戦うのか、県内政党代表に聞く。
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「危機意識を持って徹底的に戦う」と語る江渡会長 |
―本県選挙区は野党が統一候補擁立を決め、自民党現職との「1対1」の構図が濃厚だ。参院選の位置付け、目標は。
目標は勝つこと。前回選(2016年)のような苦い思いはしたくない。党国会議員、党県議らが中心となり全員野球で戦う。危機意識を持ってドブ板に徹し、徹底的に戦いたい。衆院選挙区の1~3区支部、職域支部に選挙対策本部を設置し態勢も整えた。
今回、党県議全員に対して参院選公示前までに県政報告会を開き、現職が出席して選挙の意義を説明する場を持つよう、初めて県連幹事長名で通達を出した。きめの細かい戦いを進める。決して楽な選挙ではない。党員、党友は“選挙疲れ”もあるだろうが、もう一踏ん張りしてほしい。
―選挙戦の争点は何か。
一番の課題は経済。アベノミクスで経済は上向いているが、この流れを押し進め、成果を本格的に地方に届ける状況をつくらなければならない。IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)を使ったスマート産業の育成は、地方にこそ必要。自動運転技術は地域の乗り合いバスやスクールバスに活用できる。遠隔医療も地方にとって必要で、もっと普及するだろう。
本県の主力である1次産業については、農家や漁師の皆さんが安心して仕事ができるよう環境を整えたい。日米、日欧交渉などに不安はあるだろうが、決して1次産業従事者が泣くことがないよう、今まで以上に所得向上につながる政策を進める。
―投票率の低下傾向が続いている。有権者に訴えたいことは。
政治に対して、有権者に「誰がやっても同じ」という感覚を持たれないようにすることが大事だ。自分の持つ権利を捨てず、はっきりと政治への意思を示してほしい。特に若い人には、より良い地域をつくるために一票を投じることがいかに大切かを考えてほしい。ただ、統一地方選から選挙が続いており、傾向は続くだろう。
2019/6/29 土曜日
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自公の取り組みをこれまで以上に訴えたいと話す伊吹代表 |
―参院選に向けた抱負は。
今回は次の時代を切り開く政治をどの政党に託すかという政権選択につながる選挙。国民の声を的確に捉え、政府へ反映できるのは公明党しかいない。公明党の長年の主張が実り、これから幼児教育・保育、高等教育の無償化が始まる。この10月で自公連立政権の設立は足かけ20年になるが、これだけ続いた背景には互いに綿密な信頼関係が築かれていることが一因にある。連立政権に対する期待を今後も担わせてもらいたい。
―自民党と連携してどのように戦いを進めるか。
自民党公認で出馬予定の現職滝沢求氏と、公明党が比例で擁立する現職若松謙維氏の2人が露出した展開としたい。若松氏が本県入りした際は滝沢氏と一緒に街頭演説や演説会を行うなど、自公の取り組みを有権者に周知する機会をこれまで以上に多くつくっていく。県議選では自民党の立候補者を推薦した。県議の理解と協力も得ながら、保守層へアピールしていきたい。
―主な争点は何か。
日本を切り開く力があり、国民目線の政治を進められるのはどの政党なのかを選択してもらう。青森県について言えば、世界的な視点に立って海外交流経済対策を進めていくことが必要だ。世界の中での日本、世界に目を向けた青森県を考えていく上で、政治の安定は非常に重要だ。
―安倍晋三首相の評価は。
外交の戦略と努力は評価する。公明党の声を丁寧に受け止め、国民目線の政策実現に理解と協力をいただいている。
―近年の投票率低下をどう受け止めるか。
若い人を中心に選挙や政治を自分の問題として捉えていない人が多い。マイナンバーを利用したインターネット投票など新しい時代に即応した投票方法を考えるべき。実際に若い人からはそういった意見を多く聞く。また、高齢者が投票所に足を運ぶことが難しくなっている。在宅投票制度の見直しも必要だ。
2019/6/30 日曜日
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「老後の安心や年金制度などをしっかり取り上げ、議論したい」と訴える山内代表 |
―参院選で有権者に向け、訴える内容は。
貧困と格差の解消、持続可能な農林水産業や改憲阻止、消費増税の延期などが柱になる。消費税が3%から5%、8%に上がっていく中、行政サービスや社会保障の充実を実感できてきたか。今の政策のありようでは負担だけ増え、安心できる公共サービスになっておらず、消費増税分が国民に本当に還元されているのかを有権者に問い掛けていく。
―参院選の争点は。
2000万円問題でも明らかな通り、今の国民生活とは懸け離れたところで自民党の政策が動いている。老後の安心をどう担保していくか、これは大きな争点になると思う。県民の暮らしにとって身近なことが大事。憲法や年金制度などを一つ一つしっかりと取り上げて、議論をしたい。
―政党間の連携態勢について。
合同選対をつくったことが大きな前進だと思っている。共産党を含めた4党での会議も継続しており、互いにスクラムを組んでやっていける環境をここまで構築できた。あとは実際の活動を通じ、互いの信頼関係をより深めつつ、有権者や県民の皆さんにわれわれの思いや政策を伝えていく。
―近年の選挙では投票率が低迷しているが要因をどう見るか。
若い世代が特に低いというのはあるが、第一義的には政治に対しての関心がまだまだ盛り上がっていない。魅力があり、投票に行きたくなるような政策、候補者を政党は提供していく必要がある。
―本県での原発政策についての訴え方は。
現状、どんどんと原発を増やしていくという環境にはないが、今まで立地自治体は協力しており、従事者の生活もあるので、どうソフトランディングしていくか。単に賛成・反対の議論ではエネルギー問題は片付かない。
―立憲公認の立候補予定者、小田切達氏の浸透をどう図るか。
(弁護士として)実直に、誠実に実務をこなしてきた人なので、一人でも多く会ってもらい、人となりと考えを理解してもらう。
2019/7/1 月曜日
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「しっかり連携して戦いたい」と述べる田名部代表 |
―本県選挙区では野党が統一候補の擁立を決め、前回選と同様に野党共闘の戦いとなるが。
一生懸命やるだけ。前回は非自民勢力が結集して(自身が当選する)結果を出した。今回も5者で合同選対を立ち上げるなど、同じ環境が整った。しっかり連携して戦いたい。
―具体的に、どのような連携方法を考えているのか。
(衆院選の)各支部で選対が立ち上がっている。衆院選も意識しつつ3区は立憲民主党県連代表の山内崇氏、1区は元衆院議員の升田世喜男氏、そして2区はわたしが、それぞれ地域をしっかり固める。
―今回の争点は何か。有権者に何を訴えたいか。
国政レベルでは、本来政治が果たすべき役割を果たしていないこと。森友・加計問題から始まって、不都合な事実はなかったことにするという現政権の体質は、国民をばかにしている。野党議員であっても国民に真実を伝える義務がある。それなのに求める資料は出てこない、求める委員会は開かない。これでは追及しようもない。
県内については、アベノミクスの恩恵は届いていない。現場は人手不足、後継者不足が深刻化している。これでは経済も成長しない。老後資金が2000万円足りないという将来への不安があれば、消費も増えない。社会保障改革は避けて通れない問題であり、きちんと向き合って、国民に正しい情報を発信すべきだ。年金暮らしでも安心できるよう、抜本的な社会保障改革を掲げたい。
―投票率の低下が懸念されている。要因として有権者の政治不信が指摘されるが。
その通りだ。安倍晋三首相が駄目だと思っても、まとまれない野党に対する嫌気もあるだろう。政党だから、各党が勢力を増やそうとするのは分かるが、非自民票の受け皿が必要だ。一緒に戦う姿を見せないと、政権交代が可能だと思ってもらえないし、期待も高まらない。投票行動が政治を動かすという実感が大事だ。