医療情報ほっと

 

動脈硬化ってどんなもの?

2020/2/15 土曜日

 

 皆さんこんにちは。きょうは動脈硬化についてお話しさせていただきたいと思います。人間の体には動脈と静脈があり、心臓から末梢(まっしょう)に向かって出ていく血管を動脈、その反対に末梢から心臓に戻ってくる血管を静脈と呼びます。
 動脈硬化は動脈に起きる病気です。動脈はもともと弾力がある血管ですが、高血圧や糖尿病、コレステロールの異常、喫煙などがあると、どんどん血管が傷んでしまい、血管の壁が硬くなっていきます。そして硬くなった後に、いわゆる“悪玉コレステロール”とよばれるLDL-コレステロールが血管の壁にどんどんたまり、最終的には動脈を詰まらせてしまいます。心臓に栄養や酸素を運ぶ動脈が詰まると心筋梗塞、脳に行く動脈を詰まらせると脳梗塞といった病気を引き起こします。
 動脈硬化は一度起こしてしまうと、なかなか生活習慣の改善だけでは治すことは困難です。そのため動脈硬化を起こさないように予防することがとても重要です。具体的には高血圧症や糖尿病がある方はそれらの治療をしっかり行うこと、喫煙されている場合はとにかく禁煙すること、そして悪玉コレステロールをしっかり下げることが重要です。
 いろいろな研究の結果から、LDL-コレステロール80mg/dl(ミリグラム・パー・デシリットル)以下の人と比較して140mg/dl以上の人では心筋梗塞などの心臓の血管を詰まらせてしまう病気の発症リスクが約2倍から3倍に上昇してしまうことが分かりました。悪玉コレステロールについては、最近ではいろいろないい薬がでてきましたので、以前に比べればだいぶコントロールが良くなってきました。ですから、健診などでコレステロールが高いことを指摘された場合はすぐに病院受診をして適切な治療を開始することをお勧めします。
 悪玉コレステロールをしっかり下げて動脈硬化を予防していきましょう。
(弘前大学大学院医学研究科内分泌代謝内科学講座助教 村上洋)

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キズの治療

2020/2/8 土曜日

 

 学校や幼稚園でけがをし、慌てて病院に行き「ここです、先生!」と指さした先にはガーゼが…。「ガーゼをはがす時痛いけど我慢してね」…。「ぎゃー、痛いー」と叫び声が診察室中に響き渡る。その後、痛くて泣いている中、当たり前のように消毒して、また当たり前のようにガーゼを張って「汚さないようにしてくださいね、お風呂もばい菌が入るといけませんから、治るまでは我慢してくださいね。じゃ、またあしたね」と言われ、「あー、またあした痛い目にあうのか。嫌だなー」と心の中で思いながら帰宅する。
 また、頭を切って縫合した傷に対しても、「抜糸するまではぬらさないようにね、うむといけないから」と言われ、2、3日すると髪はベトベトで、ふけはたまるし、病院に行っても消毒薬をポンポンと付け、ガーゼを張られて、「はい、またあしたね」…。
 けがをして、このような体験を一度はしたことがあると思います。もっといい治療法はないのだろうか? と思いませんでしたか?
 その治療の一つが、湿潤療法(うるおい療法)です。乾燥はお肌の敵、潤いが大事ですよと化粧品のCMでもあるように、創傷治癒にも乾燥が大敵なんです。かすり傷、軽い切り傷などの治療は簡単です。消毒薬は使わないで水道水で汚れをきれいに落として、ガーゼではなく傷の潤いを保つためにちょう付材(市販もされています)を貼る。それだけです。頭の縫合した傷は、何も貼らなくても次の日から頭を洗えます。
 私も医師になりたての頃、当たり前のように傷を消毒し、ガーゼを当てていました。しかし、この治療法に変えてからの治癒の早さに、今までの治療はなんだったのかと思うくらいの衝撃を受けました。しかも、今までの治療より痛くなく、傷がきれいに治るのです。
 とはいえ、その前にけがをしないように気をつけて下さいね!
(クロース・トゥ・ユーESTクリニック委員長 澤田光広)

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骨粗しょう症について

2020/2/1 土曜日

 

 「骨粗しょう症」という病名については、多くの方が聞き慣れていると思います。しかし、どんな病気かを理解している方は多くないようです。
 まず、骨粗しょう症は「がん」などのように、直接皆さんの命を危険にさらす病気ではありません。皆さんの体を支える運動器官の中でも、最も大事な「骨」を構成する主成分、特に重要な「カルシウム」が徐々に減り、骨が折れやすくなる病気をいいます。閉経後の女性、特に70歳以上に多い病気です。
 運動器疾患で最もよく見られる、正座がつらくなったり、階段の上り下りの際に膝が痛くなる「変形性関節症」や腰の痛み、それに伴いお尻や大腿(だいたい)部そしてすねに起こる神経痛を起こす「腰椎変性疾患」、腕や手のしびれ、痛みなどを起こす「頸椎変性疾患」などの原因ではありません。
 最近よく言われている「いつの間にか骨折」による背中の曲がりや「身長の低下」などは、その多くが骨粗しょう症によるものであり、あまり背中が曲がると「肺」などの呼吸器や「心臓」などの循環器を圧迫して息切れなど起こし、命に関わってきたり、高齢の方に多い「大腿骨頚部骨折(足の付け根、股の部分の骨折)」「脊椎圧迫骨折(背骨のつぶれ)」などの痛み、立ち上がる、座るなどが困難になる、機能障害で寝た切りになることもあります。ちなみにこれらの骨折は、脳卒中ほどではありませんが、高齢の方の寝たきりの原因の一つになっています。
 背中が曲がってきた、身長がだいぶ縮んだと感じている方は、残念ながら高齢の方の場合、栄養や運動だけでは骨粗しょう症の悪化を防ぐことは難しいと思われるので、早めに骨粗しょう症の検査を受けることをお勧めします。
 骨粗しょう症には年齢に伴ってはっきりと分かるもののほかに、ホルモン異常やごくまれにがんなどによるものもあるので、慎重な検査が必要です。
 手首の骨折や肩付近の骨折、前述の二つの骨折、そして肋骨(ろっこつ)骨折などが「骨粗しょう症」発見のきっかけになることが多く、多くの市販の「サプリ」「カルシウム剤」等に頼るのは結局コスト高かもしれません。牛乳も取り過ぎではコレステロールに影響が出ます。小魚は効果あるものの、塩分の取りすぎにつながることがあります。効果のある薬がたくさん誕生しつつありますので、まずは医師に相談することをお勧めします。
(原子整形外科医院院長 原子健)

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腎臓病の治療

2020/1/25 土曜日

 

 前回は腎臓病とはどのようなものかを簡単に解説しました。では、治療はどうしたらよいのでしょうか?
 腎臓病といってもたくさんの種類があります。それによって特に初期の治療が異なってくるので、ここで少し説明します。大きく分けると、腎臓だけが具合悪いもの(原発性あるいは一次性腎疾患)と全身の病気に伴って腎臓が侵されるもの(二次性腎疾患)になります。前者がいわゆる糸球体腎炎(Iga腎症など)で、後者は糖尿病性腎症、腎硬化症(高血圧による)、ループス腎炎(膠原(こうげん)病による)などです。この他、発症の様子から分ける方法(急性と慢性)や、腎臓の一部を採取した検査結果から分ける方法(腎組織による分類)などがありますがここでは省略します。
 この中で、原発性腎疾患の多くや、ループス腎炎などは、初期治療としてステロイドという薬が用いられます。この薬は病気により極めてよく効く、大変優れた薬です。しかし副作用もたくさん知られているため使用する際には副作用に十分注意が必要です。では糖尿病性腎症、腎硬化症などステロイドが効かない腎臓病患者や、ステロイドを用いたにもかかわらず徐々に腎臓の働きが低下してきた患者への治療はどうなるのでしょうか?
 残念ながら現時点で、このような腎臓病への特効薬はありません。このため、少しでもその進行を防ぐための治療が中心となります。つまり腎臓の周りの環境を整えることによって腎臓の負担を軽くして、その働きを長持ちさせるように努めることです。具体的には、血圧が高ければ降圧剤、血糖が高ければ糖尿病の治療、その他、コレステロール、中性脂肪、尿酸の治療などであり、なにより腎臓が心地よく働くことができる環境を整えることです。
 2回にわたり腎臓病について解説しました。まだまだ足りない部分がありますが、またの機会に説明できればと思っています。
(弘前大学大学院医学研究科地域医療学講座准教授 中村典雄)

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腎臓病とは?

2020/1/18 土曜日

 

 皆さん、腎臓病とはどのような病気かご存じでしょうか? 今回と次回にわたって腎臓の働きと腎臓病、そして治療法について解説したいと思います。
 まず、腎臓の働きです。腎臓は左右の腰のあたりに一つずつある長径10センチ程度のソラマメのような形の臓器です。主な働きは尿(おしっこ)をつくること、身体の中の状態をバランスよく保つことです。前者について説明すると、全身を巡った血液を腎臓で濾(こ)して老廃物を尿として体外に排せつするということであり、後者は、腎臓がさまざまなホルモン(昇圧ホルモン、造血ホルモンなど)を分泌して身体の中の状態をコントロールしているということです。
 では、腎臓病になるとどうなるのでしょう。まずは尿をつくる部分(血液を濾すところ)に影響がでて尿の異常がみられます。多くは蛋白(たんぱく)尿ですが、潜血尿(血液の成分が混じった尿)がみられることもあります。さらに進行して腎臓の働きが低下すると身体に老廃物(尿毒素という)がたまってきて具合が悪くなってきます。尿の量も少なくなり、むくみが目立つようになります。また、これだけではなく、本来、腎臓で産生されるさまざまなホルモンの異常も出てきます。このため血圧が上昇したり、貧血が進行したり、骨がもろくなり骨折しやすくなったりします。以上のような理由で、腎臓病が進行すると、全身にさまざまな症状が出てくるのです。
 一方、腎臓病の人は、心臓病にかかりやすい、または心臓病で亡くなる可能性が高いと言われています。具体的な理由については、なかなか難しいのですが、これはとても重要なことです。このため、腎臓が悪い人をみたら心臓の具合に注意しないといけないということ、また逆に心臓が悪い人に対しては腎臓に注意しないといけない、ということになります。
 では腎臓病の治療はどうしたらよいのでしょう。これは次回のお楽しみということで。
(弘前大学大学院医学研究科地域医療学講座准教授 中村典雄)

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