医療情報ほっと

 

健康診断の受け方

2022/5/28 土曜日

 

 健康診断は、主に無症状の人々を対象にして隠れた疾患を見つけるために行われる検査です。
 働いている方については1年に1回、健康診断を実施することが事業者に義務づけられており、40才以上では、血液検査や尿検査、心電図、胸部X線などの複数の検査を受ける必要があります。働いていない方についても、年齢などの規定がありますが、各自治体により特定健診と呼ばれる健診が受けられるようになっています。
 厚生労働省の調査によると、健康診断を受けた人のうちの4割の方に、経過観察で良いものから精査や治療が必要なものまで、なんらかの所見が認められます。健康診断は受けるだけでは意味がなく、要精査や要医療などに該当した時は速やかに医療機関を受診して、見つかった疾患の精査や治療を受けるようにされてください。
 また、風邪などで体調が悪いときやワクチン接種後の副反応で発熱やリンパ節の腫れが出た時に健康診断を受けると、血液検査や胸部X線検査などで異常所見が出る時があります。これにより平常時であれば不要な精密検査が必要になることもあります。このため、体調が悪い時やワクチン接種後は、無症状の期間が数週間程度続くまで待ってから健康診断を受けるのが望ましいです。
 何か体調不良がある時は、健康診断を受けるのは延期して、症状に応じて適切な診療科を受診されてください。
 コロナ禍の初期においては、感染を恐れて健診控えという現象が起きていました。
 昨今の医療機関では、マスク着用の徹底、密の防止、換気、アルコール消毒、一部の業務のオンライン化などのさまざまな感染対策が行われています。感染を恐れるあまり、健康診断を受けないことによって、治療できる疾患を発見する機会を逃してしまっては元も子もありません。
 感染対策に気をつけながら、一定年齢以上の方は1年に1回は健康診断を受けるようにしましょう。
(場崎クリニック院長 場崎潔)

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どのくらいの人が感染したか?

2022/5/21 土曜日

 

 新型コロナウイルスにどのぐらいの人が感染したかについては、ワクチン導入前の2020年12月調査では0・14~1・35%でした。同年4月の米国ニューヨーク22・7%や英国ロンドン17・5%と比べて極めて低い結果でした。22年4月27日、ワクチン導入後に初めて実施された大規模調査結果が国立感染症研究所より報告されました。
 ▽調査方法
 調査は21年12月と22年2月の2回、宮城、東京、愛知、大阪、福岡の20歳以上の一般住民1万6296人を対象とした。感染した時だけにできる抗ヌクレオカプシド抗体を測定し、さらに、感染しても抗体ができない人がいることから、抗体陽性または診断歴のある人を感染者として推計した。
 ▽感染者の割合
 2回の調査の感染者の割合は、それぞれ2・5%(1・5~4・1%)、4・3%(2・0~6・4%)であった。そのうち、ワクチン未接種者では7・6%、10・5%であり、1回以上のワクチン接種者2・3%、4・0%に比べて高かった。
 職業別でみると、21年12月調査では、教育関係者5・9%、飲食業関係者4・7%、学生3・0%が他の職業に比べて高かった。一方、22年2月調査では、飲食業関係者8・1%、保育関係者7・9%が多くなり、学生6・2%、介護関係者5・9%で高かった。特に保育関係者は、21年12月の0・8%から大きく上昇した。また、無職と回答した者では、それぞれ1・8%、2・1%と低かった。
 接触歴別でみると、家庭内の感染者との接触では、それぞれ44・4、44・8%と著しく高かった。家庭外の感染者との接触では、それぞれ11・8%、18・7%であり、家庭外での感染機会が増加していると考えられた。
 ▽結論
 22年4月26日の米国では、全人口の58%(11歳以下75%、12~17歳74%、65歳以上33%)がすでに感染したと推計されています。米国に比べて、日本の20歳以上の感染者は4・3%とかなり少ない結果でした。このことから、日本では自然感染によって免疫を得た人の割合が低く、多くの人はワクチン接種により免疫を得ていると考えられています。ワクチン(追加)接種がまだの方はぜひご検討ください。
(弘前市医師会副会長 かきざき小児科アレルギー科クリニック院長 柿崎良樹)

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100年前のパンデミック

2022/5/14 土曜日

 

 新型コロナウイルス感染症はなかなか終息せず、文字通り息苦しい日々が続いています。
 頼みの綱はワクチンです。いろいろな事情でまだ1回も接種を受けていない方もおられると思いますが、今からでも遅くはありません。自分のためだけでなく周りの人を守ることにもなりますから、可能な限りワクチンの接種をお願いします。
 さて今から100年前にも世界的な感染症の流行、パンデミックが起こっていました。それはスペイン風邪と呼ばれるインフルエンザの流行で、少なく見積もっても5000万人以上の人が亡くなったと言われています。「史上最悪のインフルエンザ」(A・W・クロスビー著、みすず書房刊)によると、このインフルエンザの初発はおそらく米国で、1918年早春、国内にある軍隊の駐屯地内でクラスター(感染者集団)が発生しました。しかし当時は第1次世界大戦中のため国にとって都合の悪い事実は伏せられ、兵士の移動によって感染はヨーロッパから世界中へ、兵士から民間人へと広がりました。
 この感染症の正体についてはなかなか分かりませんでした。その頃すでに細菌学の研究が進んでおり、コッホが結核菌やコレラ菌などを発見。細菌より小さい病原体(ウイルス)の存在も確認されていたのですが、結局、その原因がA型インフルエンザウイルス(H1N1亜型)と確定したのは何と1997年と言うから驚きます。
 歴史学者のW・H・マクニールは75年に名著「疾病と世界史」(新潮社刊)を著し、感染症が古代から現代まで人類の歴史にいかに大きな影響を与えてきたかを示しました。彼はその著書の最後に「創意と知識と組織がいかに進歩しようとも、寄生する生物の侵入に対して人類がきわめて脆弱(ぜいじゃく)な存在であるという事実は覆い隠せるものではない」と書いています。今回のパンデミックはまさにそれを実証したものになりました。
(富野町内科医院院長 石岡昭)

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新型コロナウイルス後遺症について

2022/5/7 土曜日

 

 新型コロナウイルスの後遺症について、大阪大学の忽那賢志教授がまとめたものをご紹介します。
 ▽症状は?
 さまざまな症状があります。咳(せき)、息苦しさ、胸痛、倦怠(けんたい)感、関節痛、筋肉痛、しびれ、記憶障害、集中力低下、不眠、頭痛、抑うつ、下痢、腹痛、脱毛、動悸(どうき)、嗅覚・味覚障害など。大阪府への7708件の後遺症に関する相談では、倦怠感、嗅覚・味覚障害、咳、呼吸苦、脱毛、頭痛が多くみられています。
 ▽頻度は?
 英国の大規模調査では、発症後12週で37・7%の人で症状が続いており、女性、高齢者、重症だった人、喫煙者、肥満の人に多くみられています。また、大阪府の後遺症相談者では、50代以下の世代が全体の8割を占めています。
 これは、若い世代の重症化は少ないものの感染者自体が非常に多いためと考えられます。現在主流のオミクロン株でも後遺症がみられており、大阪府の後遺症相談件数は、昨年12月は200件でしたが今年2月には1246件に増加しています。
 ▽いつまで続くのか?
 日本の国内調査では、発症から6カ月時点で26・3%、12カ月時点で8・8%に少なくとも一つ以上の症状が残っていました。つまり、半年後も4人に1人、1年後も11人に1人が何らかの症状に悩んでいることになります。
 ▽他のリスクは?
 米国の臨床研究では、感染1年後の心血管系のリスクは、脳梗塞(のうこうそく)1・5倍、不整脈1・7倍、心筋炎5・4倍、心筋梗塞1・6倍、肺塞栓2・9倍、深部静脈血栓症2・1倍と軒並み高くなっています。この他にも、入院患者の1割が1年後も関節炎がある、男性が感染すると精子が減少し、感染後2カ月間はパートナーが妊娠しにくくなることも報告されています。
 ▽後遺症を防ぐためには?
 後遺症がなぜ起こるのか、どうすれば防げるのか、どうすれば症状が良くなるのか、についてはまだ分かっていません。現在のところ、感染しないこと、感染した場合も重症化しないことが重要になります。ワクチン接種により感染しても後遺症が起こりにくくなると考えられています。後遺症を防ぐためにも、ぜひワクチン追加接種をご検討ください。
(弘前市医師会副会長 かきざき小児科アレルギー科クリニック院長 柿崎良樹)

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3回目接種について

2022/4/30 土曜日

 

 ▽抗体価
 新型コロナウイルスワクチン3回目接種後の免疫のでき方(抗体価)に関する厚生労働省の調査結果が報告されました。下表にように、すべての年代で抗体価の著しい増加がみられ、3カ月後も接種前よりかなり高い抗体価が持続しています。

 ▽抗体価と副反応
 2回接種後のデータでは、接種後副反応が出た人の抗体価は、出ない人より15~28%高いと報告されており、3回目接種でも同じことが推測されています。
 ▽発症予防効果
 ワクチン2回接種による発症予防効果は、2021年7~9月では89%でしたが、接種後の時間経過とオミクロン株への置き換わりにより22年1~2月では43%と大きく低下しました。しかし、3回目接種により発症予防効果は69%へ大きく増強しています。3回目を接種していない方は、早めの接種をご検討ください。
(弘前市医師会副会長 かきざき小児科アレルギー科クリニック院長 柿崎良樹)

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