医療情報ほっと

 

防ごう子宮頸がん

2020/4/25 土曜日

 

 子宮頸(けい)がんはハイリスクHPV(ヒトパピローマウイルス)の持続感染が原因です。日本では1999年まで徐々に減少していましたが、2000年以降は増加傾向にあり、毎年1万人以上の女性が発症して、約3000人が死亡しています。発症年齢は30代後半にピークがありますが、妊娠・分娩(ぶんべん)を考える20~30代で急増しています。
 性交経験のある女性の約80%がハイリスクHPVに一度は感染すると考えられています。この感染は一時的で、感染の約90%はウイルスが自然に消失します。しかし、約10%はウイルスが消えずに持続感染(がんではないが検査で異常を認める)して、将来、子宮頸がんに進む可能性があります。生涯では全女性の約73人に1人が子宮頸がんにかかります。
 この子宮頸がんを60~70%予防してくれるのが、HPVワクチンです。10年に公費での接種が始まり、13年4月から中1(小6の自治体もあり)~高1の女性を対象に定期接種化されました。その後、積極的な勧奨を中止したことから、自治体から対象者への通知がなくなり、ワクチンの存在すら知らずにいる方々や、痛い・怖いなどの注射への不安から、接種機会を逃している方がいるのではないかと心配しています。
 接種時の副反応は他のワクチンと同様で、主なものは、注射した部分の痛み・腫れ・赤みなどです。副反応の可能性として、広い範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさなどの身体症状が少数報告されていますが、接種との因果関係は不明です。万一の場合は救済制度がありますので、デメリットより子宮頸がん予防というメリットが断然上回っています。
 最後に、HPVワクチンに対する正しい知識を持って、接種のご検討をお願いします。HPVの持続感染から、がんを発症するまでに7~10数年かかります。産婦人科医の私としては、ワクチンの接種と検診を受けることで、増加している子宮頸がんをぜひ、予防していただきたいと思っています。
(弘前レディスクリニック院長 松尾健志)

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膝の痛みと変形

2020/4/18 土曜日

 

 変形性膝関節症は、膝に痛みを起こす代表的な病気です。膝の中には2種類の軟骨がありますが、変形性膝関節症は骨表面にある硝子(しょうし)軟骨が傷んですり減ってしまう病気です。軟骨がすり減ると、さまざまな症状が出ます。多いのが膝の痛みで、最初は床や椅子からの立ち上がり、しゃがんだ時、階段を下りるときなどに軽い痛みを感じますが、安静にしていると良くなります。変形性膝関節症は、膝に痛みを起こす代表的な病気です。膝の中には2種類の軟骨がありますが、変形性膝関節症は骨表面にある硝子(しょうし)軟骨が傷んですり減ってしまう病気です。軟骨がすり減ると、さまざまな症状が出ます。多いのが膝の痛みで、最初は床や椅子からの立ち上がり、しゃがんだ時、階段を下りるときなどに軽い痛みを感じますが、安静にしていると良くなります。
 しかし、病気が進行すると、長く歩いたときや安静にしても痛みを感じるようになり、生活に支障を来すようになります。また関節内に水がたまり、膝が腫れたようになって、重だるくなることもあります。症状が進むと次第に関節が変形してきます。膝はO脚変形になり、正座ができなくなります。
 今のところ、すり減った軟骨や変形した関節を「完全に治す」治療はありませんが、病院で正しい診断を受けて適切な治療を始めれば、痛みや腫れなどのつらい症状を軽くし、病気の進行を最小限に抑えることは可能です。病院ではまず保存的治療が行われます。痛みなどの症状に合わせた内服薬や湿布薬などの外用剤、ヒアルロン酸を中心とした関節注射、足底版やサポーターなどの装具療法、温熱治療などの物理療法が行われますが、それとともに筋力の衰えを防ぎ、関節の動きを良くするための運動療法が欠かせません。
 ただし、運動の効果はすぐにでるわけではありませんので、自宅でできる簡単な運動を毎日継続することが大切です。また無理な運動や不適切な運動は、かえって膝の痛みを悪化させ病気の進行を早めることもあります。運動を行う場合はまず医師に相談し、指導を受けるようにしましょう。これらの保存的治療を行っても症状が良くならない場合は、手術が考慮されます。
 手術には関節鏡視下手術、骨切り術、人工関節置換術などが病気の程度や患者さんの生活様式に応じて選択されます。
(よこやま整形外科院長 横山隆文)

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その痛み胆石かも

2020/4/11 土曜日

 

 胆石(胆のう結石)は身近な病気の一つで、成人の10人に1人は胆石を持っているといわれています。中年、肥満女性は胆石ができやすいのですが、ダイエットや胃の手術を受けた人もリスクがあります。生涯で症状がでる人は約半数です。超音波検査で発見される無症状の胆石は、年1回超音波検査を受けるようにして、痛みがでたら手術を考えます。
 胆のうは右肋骨(ろっこつ)の下に位置します。肝臓と十二指腸をつなぐ胆管という管があり、胆のうは胆管の中間くらいに連結する袋状の臓器です。胆石は胆のうの石のことですが、胆管結石、肝内結石もあります。
 胆石が出口に引っかかると、みぞおちから右の肋骨下に強いさしこみがでてきます。揚げ物を食べた後や就寝中に数十分から数時間強く痛みを感じるときは胆石発作を疑います。胸や背中、右肩が痛い人もいます。吐き気、嘔吐(おうと)もあり胃腸炎と紛らわしい時もあります。高齢者ではただ具合が悪いと訴えるだけの人もいます。発熱、黄疸(おうだん、白目が黄色くなる)は胆のう炎や胆管炎の始まりであり入院が必要です。
 胆石の治療には内服薬と手術があります。薬で溶けてしまう人はごく少数です。手術治療は腹腔(ふっくう)鏡下手術が主流です。おなかに小さな穴をいくつか開けて器具を使って胆のうを袋ごと取り除きます。回復が早く入院も1週間程度です。胆のう炎を起こし炎症が強い場合、開腹手術の可能性が高くなります。
 胆のうだけでなく胆管結石もあるときは、外科で胆のうの手術をする前に胆管結石を治療します。口から内視鏡を挿入して、胆管結石を取り除く治療です。胆管炎を合併しているときは重症化しやすいため早急に内視鏡治療します。
 胆石はこじらせると入院も長くなり、手術もやっかいになります。単なる胃の痛みだと思っていても胆石の痛みかもしれません。一度超音波検査を受けてみませんか。
(消化器内科中畑クリニック医師 中畑理恵子)

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鼻づまりの手術について

2020/4/4 土曜日

 

 現在アレルギー性鼻炎の有病率は39%といわれ、鼻づまりに困っている方は少なくないのではないでしょうか。耳鼻科では鼻づまりを内服薬や点鼻薬で治療してくれますが、なかなか良くならないとか薬がないとすぐつまるとか、困っている方がいるのではないかと思います。

(左)は下鼻甲介粘膜が正常で鼻腔に通気スペースがある(中央)は下鼻甲介粘膜腫脹で鼻腔に通気スペースがない(右)は手術で下鼻甲介粘膜に切開を入れて粘膜下組織を削り取って減量

 実は鼻づまりには手術という方法があります。
 鼻の構造から説明しますと、鼻腔という鼻穴から咽頭までのスペースは、鼻中隔といわれる骨で左右に分けられており、鼻腔内は空洞ではなく、三つの鼻粘膜が存在します。鼻粘膜には、鼻から入った空気を加湿したり、異物を除去するという大事な役割があります。正常では鼻腔内の鼻粘膜は適度なサイズであるため鼻通りが得られるのですが、鼻炎などで鼻粘膜が腫脹してしまった場合、鼻がつまってしまうわけです。
 内服や点鼻でも改善しますが、炎症を繰り返して腫れた粘膜が元に戻りになりにくくなってしまっていることがしばしばあります。血管収縮薬を点鼻すると、鼻粘膜も収縮して鼻づまりが速やかに改善されますが、使いすぎると、効果が得られにくくなったり、反動で鼻粘膜がかえって腫れてしまうことがあるので、注意が必要なのです。
 手術は腫脹した鼻粘膜を減量するというものになります。手術の方法は、腫れた鼻粘膜に切り込みをいれて、そこから機器を挿入し、余分な粘膜下組織を削り取るという手術になります(下甲介粘膜下切除)。以前は鼻粘膜を大きく切除するのが主流でしたが、鼻粘膜の加湿や異物除去の機能が損なわれ、乾燥や痂疲(かひ)の付着がおこることがありました。現在の方法では、鼻粘膜表面が保たれます。鼻中隔の弯曲(わんきょく)で物理的に鼻腔が狭いという場合も多く、鼻中隔を矯正する手術とあわせて行われることが多いです。1~2時間の手術です。
 大学病院では積極的に手術を行っていますので興味のある方はかかりつけ医にまずご相談ください(大学には紹介状が必要です)
(弘前大学医学部附属病院耳鼻咽喉科講師 高畑淳子)

 

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花粉症の免疫療法

2020/3/28 土曜日

 

 スギ花粉症の季節になりました。くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状にお困りの方が多いのではないでしょうか。現在、花粉症の症状を緩和してくれるさまざまな薬が開発され、以前より花粉症治療の質は向上しています。しかしながら、花粉症の薬は症状を抑えるだけのもので、アレルギー自体を治すわけではありません。そのため、薬を長年飲んでも花粉症が治るわけではありません。薬を休むとまた症状が出てきてしまうのです。
 そんな中、アレルギー自体を治す治療があることをご存知でしょうか?それは免疫療法です。アレルギーの原因となるものを少量ずつ投与しているうちに免疫ができて、症状が出にくくなるというものです。治癒から無効まで効果には個人差がありますが、眠れないほどの花粉症が画期的に軽くなるなど劇的な効果も期待できるため、症状が強い方には特に試してみていただきたい治療です。
 免疫療法は主にスギ、ダニを対象として、皮下注射、舌下投与の2種類があります。各々長所と短所があり、皮下注射は、注射が必要であり、低濃度、少量から開始して徐々に増やしていくため、維持するための投与量に至るまで週1回の通院を数カ月要するという短所があります。
 ただ、維持量に達した後は月1回の注射だけで継続できます。舌下免疫療法の多くは1週間低用量の薬を舌下に投与し、その後維持量を毎日投与すればいい自宅でもできる治療です。維持量になれば通院は月1回でOKです。ただし毎日の継続が必要です。いずれも効果持続のためには3~5年の継続が必要です。小児適応もあります。舌下免疫療法には、喘息の発症を抑える効果やアレルギーの原因がどんどん増えていくのを抑えてくれる効果もあると言われています。
 花粉症は一度発症するとずっと付き合っていくことが多いため、免疫療法で治す治療を試みる価値は大きいと思います。興味のある方は、大学病院など治療可能な施設でご相談いただきたいと思います。
(弘前大学医学部附属病院耳鼻咽喉科講師 高畑淳子)

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