医療情報ほっと

 

脳卒中の予防は高血圧の治療から

2020/8/8 土曜日

 

 「手始めに高血圧から治しましょう」
 これは日本脳卒中協会が脳卒中を予防する注意点を川柳調にまとめた十か条のその一です。脳卒中には脳の血管が詰まる脳梗塞、脳の細い血管が破裂し血腫をつくる脳出血、脳の太い血管にできた動脈瘤(りゅう)が破裂し脳表面に出血するくも膜下出血の三つがあります。脳卒中は半身麻痺(まひ)や歩行障害、言語障害など重度の後遺症が出ることが多く、寝たきりの最大の原因で、認知症の原因にもなります。脳卒中の発症には高血圧、糖尿病、不整脈(心房細動)、脂質異常症、肥満などとともに、喫煙、大量飲酒、運動不足、ストレス過剰などの生活習慣の乱れも関係しています。
 その中でも高血圧が最大の原因と考えられています。健診で高血圧を指摘されても「症状がないし、たいしたことない」と思いがちです。サイレントキラー(沈黙の殺し屋)と言われるゆえんです。高血圧を放置すれば全身の動脈硬化が進行して脳卒中や心臓病、腎不全の原因になります。高血圧を治療すれば脳卒中発症率が4割減るというデータもあります。
 当院に軽度の半身麻痺で入院した50歳代の男性Aさんは「血圧はいつも上(収縮期血圧)が180くらいだったが、症状がないのでこれまで病院受診してない」とのこと。脳MRIでは入院のきっかけになった脳梗塞の他にも、症状なく発症していた過去の脳梗塞がたくさんありました。このように脳卒中を繰り返すと脳は萎縮します。
 一方、同時期に頭痛で受診した90歳代の女性Bさんは畑仕事もする元気な方です。以前から減塩に心がけ、血圧に気を遣っているそうです。血圧は正常で脳MRIで脳卒中病変はありませんでした。
 MRIではAさんの脳は脳卒中による傷だらけに対して、Bさんは傷のない脳です。高血圧を含めた危険因子の管理と生活習慣の違いが、この2人の40年近い年齢を逆転させているのです。
 血圧は身近な健康指標です。家庭血圧で最高血圧135/最低血圧85以上が高血圧です。
(弘前脳卒中・リハビリテーションセンター副院長 萩井譲士)

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健康をめざして (1)酒

2020/8/1 土曜日

 

 青森県はご存じのように短命県です。これを克服するには生活習慣の改善、すなわち適度な運動、食生活の改善、十分な睡眠のほか、度を過ぎない飲酒、喫煙習慣などが必要です。また健診受診率向上と精密検査必要項目は精査することが重要です。今回は嗜好品(しこうひん)である飲酒のことを考えてみましょう。
 お酒は百薬の長として古くから知られていますが、過度な飲酒は酩酊(めいてい)時の事故のほか、健康にとっても害を及ぼします。そこでお酒の中の主成分アルコール量についての計算の仕方を学びます。日本酒1合くらいなら、アルコール不耐症(お酒を飲むと顔が赤くなり、動悸(どうき)、頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)などが現れる)を除いて重大な病気がない限り問題ないといわれています。1合は約180ミリリットルです。アルコール度数は14度なら(100ミリリットルに14グラムのアルコールがある)、約25グラムのアルコール(エタノール)を含むことになります。このアルコール量が80グラム以上を1日に飲み続けると、大酒家になります。日本酒では3合以上になります。ほかのアルコール飲料だと、ビール5%を500ミリリットルの飲むとアルコール量25グラムとなり日本酒1合に相当します。ウイスキー、ブランデーなどはアルコール度数40度とすると(ダブルの場合で)アルコール量24グラムになります。焼酎は25度なら100ミリリットル飲むとアルコール量は25グラムになり日本酒1合分、ビール(発泡酒)500ミリリットル、ウイスキー、ブランデー60ミリリットルに相当するアルコール量になります。ワインは日本酒とほぼ同じ度数です。薄めて飲んでも濃いまま飲んでもアルコールをどれだけ飲んでいるかが問題になるわけです。
 焼酎を割る方は一度はアルコールをどのくらいとっているかを計算してみてください。
 糖尿病の人はアルコールの中に糖が入っているか否かで多少血糖に影響を与えますので、糖尿病治療薬との関連も含めて主治医と相談してください。
(弘前市医師会健診センター所長 中村光男)

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医療情報ほっと~200回を記念して~

2020/7/25 土曜日

 

 2016(平成28)年8月6日より陸奥新報のご協力を得て、市民の健康生活に役立つ医療・介護の最新情報を毎週土曜日に連載し、今回で第200回を迎えることができました。これもひとえに、本連載を楽しみに読んでいただいている読者の皆さまのおかげと感謝申し上げます。
 本企画は小生と弘前市医師会広報委員会主担当理事福島龍之先生のご努力により弘前市医師会A会員(開業医)、勤務医の先生方に広く呼び掛け原稿を収集してまいりました。200回までに弘前市医師会A会員101人、南黒医師会A会員1人、弘前市薬剤師会2人の先生方にご協力いただきました。
 中でもかきざき小児科アレルギー科クリニック院長の柿﨑良樹先生には計17回分の原稿を書いていただきました。その中で私が興味深かったのは199回の「エコバッグでも食中毒の予防に注意」で、その内容はエコバッグは食品を入れることが多いので意外に汚れるものだとし、エコバッグを衛生的に使うための五つのポイントを示し、食中毒を予防しようというものです。7月からプラスチック製のレジ袋が原則有料化された現在、ぜひ再読をお勧めしたいと思います。
 また、病院勤務医の先生方にも加わっていただければ内容の幅がさらに広がると考え、積極的に原稿依頼をしてまいりました。その結果、第25回の原稿を国立弘前病院長の藤哲先生にお願いし「デュピュイトラン拘縮の新たな治療法」を皮切りに第100回までに16人の先生方、特に弘前大学の水上浩哉、青木昌彦両教授からはそれぞれ4回分、健生病院の先生方からは11回分の原稿を書いていただきました。
 第101~200回では12人の先生方に寄稿していただきました。特に第116回から5回連載していただいた弘前大学神経精神医学講座の古郡規雄准教授のうつ状態・そう状態・興奮状態等に「修正型電気痙攣療法」が脚光を浴びていること、第155回から3回連載いただいた弘前大学泌尿器科講師(当時)の畠山真吾先生の前立腺癌(がん)ロボット(ダ・ヴィンチ)手術が開腹手術の出血量800ミリリットルに対し50ミリリットルで、膀胱(ぼうこう)癌においては膀胱全摘手術の平均出血量2リットルに比べロボット手術では150ミリリットルで済むこと、第188回から4回連載いただいた弘前大学乳腺外科診療講師の西村顕正先生の「乳がんと遺伝」の中で遺伝性乳癌・卵巣癌症候群の主因はBRCA1またはBRCA2の病的変異であり、その治療に予防的乳房切除術もしくはオラパリブ内薬が有効等という記事を興味深く拝読させていただきました。
 このように興味深い記事満載の「医療情報ほっと」。今後も澤田美彦医師会長を中心に多くの先生方のご協力を得て市民の皆さまへ最新情報が提供されることを願っています。
(弘前市医師会名誉会長今村クリニック院長 今村憲市)

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エコバッグでも食中毒予防に注意

2020/7/18 土曜日

 

 7月からプラスチック製のレジ袋が原則有料化されました。有料化をきっかけにエコバッグの売り上げが急増しています。エコバッグは、コンパクトにたためてお買い物で役に立つエコなアイテムです。しかし、食品を入れることが多いので、意外に汚れているものです。目につく汚れやニオイがなくても、知らぬ間に肉や魚の汁、野菜の土がエコバッグに付着することがあります。そのまま使い続けると、食中毒菌が増殖してしまい、新たに購入した食品に菌が付着してしまいます。そこで、農林水産省では、エコバッグを清潔に使うために日ごろから気を付けたいポイントを紹介しています。
 エコバッグを衛生的に使うための普段から注意したい五つのポイント。(1)「定期的に洗いましょう」エコバッグの取り扱い表示などに従い、洗濯機か手洗いで洗い、洗った後は、しっかり乾かしましょう(2)「肉、魚、野菜はポリ袋に入れましょう」肉や魚の汁、野菜の土がエコバッグや他の食材に付着しないようポリ袋に入れ、使用したポリ袋は、再利用せず適切に捨てましょう(3)「エコバッグに入れる順番に気を付けましょう」肉、魚、冷蔵・冷凍食品などの冷たい物はまとめ、温かいものと密着しないように入れます。硬いものや重いものを下に入れると荷物が安定し、食品の汁がこぼれにくくなります。底が平らなエコバッグも荷物が安定します(4)「食品と日用品を入れるエコバッグを区別しましょう」食品を入れるバッグと、日用品など入れるバッグは使い分けると、衛生的に使用できます(5)「エコバッグの持ち運びは、短時間にしましょう」肉、魚、冷蔵・冷凍食品などが入ったエコバッグを持ち運ぶときは、短時間で家に戻り、直ちに冷蔵庫に入れましょう。車で運ぶ場合は、涼しく衛生的な場所に置き、トランクに置くのを避けましょう。
 気温の高い時期が続きますので、ポイントに気を付けて食中毒を予防しましょう。
(かきざき小児科アレルギー科クリニック院長 柿崎良樹)

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医師会長就任にあたって その2

2020/7/11 土曜日

 

 今回は、弘前市医師会の新しい会長はどういう人物なのか、どのようなことをしてきたのかを書いて、自己紹介としたいと思います。
 私は西目屋村生まれの68歳です。当時は今のように交通が便利ではなく、高校と大学は弘前の叔母の家に住んで通っていました。1977年に大学を卒業。内科の中でも消化器や血液、免疫の分野を担当する弘大医学部第一内科に就職しました。具体的に目には見えないためか、多くの人が敬遠する血液疾患を専門にしたいと思い選びました。
 医学博士の学位論文は、出血に関する内容で書きました。82年から84年までの2年間は、アメリカのメイヨークリニックという大きな病院で血液の研究に従事しました。この後の88年から92年までは、県立中央病院消化器内科に勤務しました。ここは消化器内科の中に血液内科がありましたので、半分が消化器、半分が血液という仕事内容でした。92年に弘前市立病院に移り、95年には市内で沢田内科医院を開業しました。
 血液の病気は白血球が少ないなど免疫が低下していることが多く、半分は感染症との闘いです。朝は元気な患者さんが夜には亡くなるなど急激な経過を取ることが時々あり、検査に頼っていては手遅れになることが少なくありません。ですから、症状の変化を聞き出したり、自分の体を使って診察するということが自然に身に付きました。このことは、詳しい検査がすぐにはできない開業医になって非常に役に立ちました。
 自分の専門を生かして開業している人もいますが、多くの内科の開業医に要求されるのは、高血圧症、糖尿病、脂質異常症など患者さんの数が多い病気を診ることです。糖尿病は目が悪くなったり腎臓が悪くなったり、全身の病気が起こってきます。また、血圧やコレステロールなどと密接な関係にあります。ですから、沢田内科医院では看護師には糖尿病の勉強をしてもらっています。これまで日本糖尿病療養指導士の資格を取得したのは7人です。
 ちょうどいいタイミングで、この4月に沢田内科医院を長男にバトンタッチしました。これまで医師会理事、副会長として14年間活動してきましたので、引き続き医師会長として運営していきたいと思っています。
(弘前市医師会会長・沢田内科医院 澤田美彦)

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