医療情報ほっと

 

紫外線と皮膚がん

2019/10/19 土曜日

 

 皮膚がんの患者さんは年々増えてきており、国内で新たに皮膚がんと診断された患者さんは2000年には約7000人だったのが、14年には約1万8000人まで増加したと推計されています。この推計には、前がん状態(皮膚がんの予備軍)の病気は含まれていないため、それらを含めるともっと多くの人が皮膚がんのリスクがあるといえます。
 皮膚がんの原因は何でしょうか。これまでの研究で、多くの皮膚がん発生に紫外線が関わっていることが明らかになっています。オーストラリアのある地域では紫外線が非常に強いため、メラノーマという皮膚がんが、日本と比べ約100倍発生しやすいことが知られています。しかし、1980年代から子供たちを主な対象に日焼け防止キャンペーンを続けた結果、その子供たちが成人になった世代で皮膚がん発生率が減少し始めました。
 紫外線を浴びすぎると、なぜ皮膚がんが発生しやすくなるのでしょうか。紫外線が皮膚の細胞に当たると、DNAに傷のような変化が起こります。細胞には、このような傷ができても修復する機能があるので大部分は修復されるのですが、ときどき修復ミスが起こり、DNAの傷が「遺伝子変異」という形で残ってしまうことがあります。この遺伝子変異が、がんに関係している遺伝子に起こり、さらに別の遺伝子にも起こり蓄積されると、ついには皮膚がんが発生してしまうのです。
 このように、がんの発生には「遺伝子変異の蓄積」が関わっているため、皮膚がんを予防するためには、紫外線によるDNAダメージを子供の頃から予防しておく必要があります。これからの時期は、夏場ほど紫外線は強くないものの、屋外での活動時には帽子や衣類、サンスクリーンで紫外線から皮膚を守りましょう。すぐには効果が見えないので実感しにくいですが、小さな積み重ねが、数十年後の皮膚がん発生を抑えるために、とても大切なことなのです。
(弘前大学大学院医学研究科皮膚科学講座助教 六戸大樹)

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妊婦のインフルエンザ対策

2019/10/12 土曜日

 

 そろそろ、インフルエンザが流行する季節が近づいてきました。インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる感染症で、感染すると38度以上の発熱・頭痛・関節痛・筋肉痛などの症状を認めます。一般的な感冒(風邪)症状に似ていますが、症状が強いのが特徴です。
 よく聞かれる質問ですが、インフルエンザワクチンを妊婦さんや褥婦(じょくふ)さんに打ってもいいのでしょうか?答えは、「YES」です。打ってもいいどころか、「打った方がいい」のです。妊婦さんがインフルエンザに感染した場合、肺炎や脳炎など「重症化」することがあります。また、流産や早産の可能性も上がるとされています。インフルエンザワクチンを打っておけば、たとえ妊娠中にインフルエンザに感染したとしても、「重症化」を防ぐことができます。また、生まれてくる赤ちゃんにもワクチンは効いており、生後6カ月までインフルエンザに感染しにくくなります。
 ここで重要なのは、「打つ時期はいつでもいい」ことです。妊娠初期の妊婦さんでも、もうすぐお産を控えている妊婦さんでも大丈夫です。妊娠期間に関係なく、インフルエンザワクチン接種は推奨されます。インフルエンザワクチンを打ってから効果が出るまで2~3週間かかるので、流行シーズンが始まる10月、11月に打つことを勧めます。
 では、妊婦さんがインフルエンザにかかってしまった場合はどうでしょうか?答えは「インフルエンザ治療薬を早めに服用しましょう」です。早めに服用することにより、「重症化」を予防するとともに、症状が早く良くなります。
 また、旦那さんやお子さんなど、同居する家族がインフルエンザに感染した場合は、妊婦・褥婦さんへのインフルエンザ治療薬の予防投与が勧められます。うがい、手洗い、マスク着用などの予防対策も大事ですが、インフルエンザワクチンを早めに打っておきましょう!
(ゆざわ産婦人科クリニック院長 湯澤映)

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血圧の測り方について

2019/10/5 土曜日

 

 血圧というのは一日の中で一定ではなく、高くなったり低くなったりしています。血圧は運動食事ストレスで変化します。一般的に、血圧は朝から段々上昇し、夜になるにつれ下降していき、寝ている時はさらに下降します。夏は冬よりも低い傾向があります。
 血圧を測る時間は朝起きてからできれば15分以内長くとも1時間以内排尿後食前服薬前に座った姿勢で1~2分間安静にした後に測定してください晩の血圧は就寝前、もしくは医師に指示された時間に1~2分間安静にした後に測るのがいいとされています。測定回数については測るたびに血圧の値は異なるので、2回測ってその平均値を記録するのがいいとされます。血圧計に関しては、手首や指で測るのが簡単ですが、腕で測る方が正確です。血圧の値は、家庭内血圧では最高血圧が135ミリメートルHg、最低血圧が85ミリメートルHgです。
 なぜ血圧が高いとよくないかということについては、血圧が高い状態が長く続くと動脈硬化などが進み脳出血、脳梗塞、心筋梗塞などの発症の一因になるためです。たまに、家庭では血圧が正常なのに、病院・診療所で血圧が高い人がいます。白衣高血圧といいますが、その方はただ緊張して血圧が高いだけですので、特に治療の必要はありません。ただし、そういう方は将来、高血圧になる可能性がありますので、治療の必要はありませんが、血圧測定は継続した方がいいです。
 一方、健診や診察時の血圧が正常で、家庭で測定すると高い人がいます。そういう方は仮面高血圧といいます。そのような方は、脳梗塞、心疾患による可能性があり、治療をする必要があります。血圧測定し、少しでも高いと思った人は、最初に規則正しい生活減塩減量運動禁煙、また、節酒を心掛け、それでも高い人は降圧剤等の治療をした方がいいと思いますただし頭痛・めまい・胸痛・呼吸苦などの症状のある方はすぐに受診してください。
 最後になりますが、健康寿命を延ばし、楽しく笑いながら人生を過ごしましょう。
(はせがわ内科クリニック院長 長谷川武久)

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皮膚の不思議

2019/9/28 土曜日

 

 人は皮膚がないと生命を維持できません。皮膚は粘膜とともに外界と接する臓器です。保護膜としてだけでなく、いろいろな機能を持ち合わせており非常に興味深い臓器です。
 皮膚は体の部位により厚さが異なります。手のひらや足の裏は皮膚が厚く、首などは薄くなっています。皮膚が薄いと薬の吸収がよいので、薬(ステロイドなど)の副作用も強くなります。また、手のひらや足底は外からの刺激が多いので皮膚が厚くなり、ひび割れを起こしたり、皮膚の一部に刺激が多くなるとウオノメ、タコの原因となります。
 皮膚は呼吸します。体の表面を覆い、細菌、ウイルス、ハウスダストなどの異物から体を守っています。紫外線から体を守るためメラニン色素を作り、皮膚がんにならないようにします。また体温の変化に応じて、汗を出すなど体温調節の働きをします。
 皮膚の表面には様々な微生物が存在します。表皮ブドウ球菌やにきび菌などの細菌、マラセチア菌、カンジダ菌など真菌(カビ)が生息し他の病原菌から体を守っています。ただこれらの常在菌は時に悪さをすることがあります。例えば、抗生物質を服用すると、皮膚表面の細菌がいなくなってしまい、かわりにジメジメを好む真菌が増殖し陰部や口角の皮膚カンジダ症、汗をかく首や胸などにマラセチア毛包炎、癜風(でんぷう)などを発症します。いずれも投薬中止や発汗後の清潔、乾燥で次第に治っていく病気です。
 皮膚は免疫機能にも関係します。細菌が侵入すればそれを白血球に伝え、侵入を阻止し体を守ります。食物アレルギーも皮膚の隙間から原因が体内に入り感作(アレルギー反応の準備状態)されることで起こります。
 このように皮膚には様々な役割があり寝不足や食生活の乱れ、便秘や下痢などで肌が荒れるといろいろな病気を引き起こす可能性があります。日々規則正しい生活を心掛け皮膚を正常に保つことが病気の予防に大切です。
(弘前城東皮膚科院長 木村定勝)

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長引く風邪の対処法

2019/9/21 土曜日

 

 風邪が長引いて3カ月たちますが、喉のイガイガ痰(たん)せきが治りません―との質問を受けることがあります。今回は慢性上咽頭炎について紹介します。
 風邪のウイルスは、まず鼻から侵入して、上咽頭(鼻の奥、のどちんこの裏に位置する)の粘膜に付着し細胞内に侵入します。そこで異物から体を守るための免疫反応が起こります。これがいわゆる炎症反応です鼻汁鼻閉(はなづまり)、痰、せき、咽頭痛、発熱は体が一生懸命ウイルスと戦っている証しなのです。
 また関連痛と言って違う部位も痛くなります。頭痛、耳痛、首こり、肩こりなどです。この時期は風邪薬を内服してゆっくり休むしかありません。いくら薬を飲んでも忙しく仕事をしたり、寝不足、たばこ、酒、暴飲暴食、身体を冷やす行為は風邪を長引かせます。慢性化すると喉にネバネバした痰が鼻から落ちてきたり、鼻の奥がイガイガした症状を訴える人が多いです。
 また上咽頭には多くの神経線維が存在するので自律神経のバランスを崩しやすいです。また厄介なことに慢性上咽頭炎が原因で離れた部位に炎症性物質が放出して新たな炎症を起こします。これを病巣感染と言います。IgA腎症、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、関節リウマチなどが有名です。
 慢性上咽頭炎にならないためにも、急性上咽頭炎の段階でしっかり治療することが大切です。耳鼻咽喉科では昔から鼻に血管収縮剤をスプレーして鼻の通りを良くしたり、鼻汁を丁寧に吸引し咽頭に収れん、殺菌薬を塗って炎症を抑える局所治療に重点を置いています。この治療が一番効果的です。慢性化すると抗生物質はあまり効果がありません。
 慢性上咽頭炎になりやすい人は、急性期に休息を取らずストレスのある生活をしていた人や、いつも口呼吸をしている人です。つまり、鼻づまりのある人やいびきをかく人、冷え性の人、総入れ歯の人、口周りの筋肉が弱っている人に多いです。有酸素運動や鼻うがいが有効です。まさに風邪は万病の元です。風邪の時はまずはしっかり休息してくださいね。
(福島耳鼻咽喉科院長 福島龍之)

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