医療情報ほっと

 

血尿について

2021/7/31 土曜日

 

 血尿には肉眼的血尿と、顕微鏡的血尿があります。
 肉眼的血尿は色調で明らかなもので、真っ赤な、コーヒー様、赤ワイン様などと表現されます。尿路結石や膀胱炎でも見られますが、その場合は強い腹痛や腰痛、排尿痛、頻尿などの症状が伴います。本日の話は何の前触れもない無症状の場合です。突然おしっこで便器が赤くなったらビックリですね。
 原因として、心臓病や脳梗塞などで服用している血液サラサラのお薬の副作用による腎出血、特発性腎出血(左腎よりが多い)などもありますが、尿路上皮由来(腎盂~尿管~膀胱)の悪性腫瘍の可能性があります。とりわけ膀胱がんが頻度的に多く心配です。
 超音波検査で診断可能ですが、膀胱内視鏡検査で直接腫瘍を確認します。早期のがんで粘膜に限局したものは、経尿道的内視鏡手術で切除します。膀胱がんは細胞の悪性度にかかわらず、多発性で再発しやすく、臨床的には厄介です。患者さんには大変ですが、術後は3カ月ごとに内視鏡検査で再発の有無をみる必要があります。
 再発予防にBCGの膀胱内注入療法が有効です。進行したものでは、がん化学療法や放射線治療で腫瘍を弱くしてから、膀胱全摘術・尿路変更術が必要となり、膀胱本来の畜尿・排尿機能が損なわれます。無症状で血尿が一度でも見られたら躊躇(ちゅうちょ)せず泌尿器科を受診してください。
 膀胱鏡検査で膀胱内に腫瘍を認めなくても、左右どちらかの尿管口から血尿がみられたら、腎盂・尿管がんが疑われます。腎盂・尿管がんは早期発見が難しい予後不良ながんの一つです。無症候性の肉眼的血尿は早期発見の大きなサインです。
 顕微鏡的血尿は、健診などで尿潜血反応が陽性の場合です。一般的に女性に多く、遊走腎や原因不明で治療の必要のないものがほとんどですが、知らないうちに腎機能障害が進み、腎不全の原因となる慢性腎臓病や腎尿路腫瘍が隠れている場合もあります。尿潜血陽性の通知を受けたら、一度は精査を受けてください。
(やぎはし腎・泌尿器科医院院長 八木橋勇治)

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目のかすみについて

2021/7/24 土曜日

 

 かすみ目は、視覚情報の通り道のどこかに濁りが生じることで起こります。かすみ目が起きることが多い代表的な病気を紹介します。
 (1)ぶどう膜炎は「目の中に炎症を起こす病気」です。ぶどう膜炎は、免疫やアレルギーが原因だったり、ウイルスや細菌の感染が原因だったりして起こります。症状はかすみ目の他に、目の痛み・涙が流れる・目の充血・視力の低下・飛蚊症(※1)があります。
 ※1…飛蚊症とは、目の前を虫や煙のススが飛んでいるように見える症状のことです。
 (2)白内障は「水晶体が白く濁る病気」です。白内障の原因はさまざまなのですが、加齢が最も多い原因です。症状はかすみ目の他に、まぶしく見える・物が二重に見える・視力の低下があります。
 (3)ドライアイとは「涙の量が足りなくなったり、涙の質に異常が起こったりすること」です。ドライアイは、加齢やコンタクトレンズの装着、VDT作業(パソコン等の使用)などが原因で起こります。よく知られる症状は、目の乾燥やゴロゴロする感じですが、角膜に細かい傷ができてかすみ目が起こることも。その他に、目やにや充血なども起きます。
 (4)糖尿病網膜症の場合、かすみ目以外に、飛蚊症や物が見えにくくなるという症状が現れます。糖尿病網膜症が進行すると硝子体出血が起こることもあります。突然の視力の低下、出血の量が多いと目の前が真っ暗になることもあります。
 糖尿病網膜症は、糖尿病の治療をせずに放置した場合は7~10年で約50%、15~20年以上で約90%発症すると言われています。ですので、特に症状がなくても糖尿病と診断されたら定期的に眼科を受診することが大切です。また、発症や進行を防ぐためには適切な血糖コントロールが大切になります。
(松本眼科院長 松本光生)

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社交不安症

2021/7/17 土曜日

 

 みなさんは、社交不安症という心の病気をご存知でしょうか? 社交不安障害とも言い同義語です。この病気は人前でスピーチする時など、他人から注目されるような場面で大きな恐怖や不安を感じてしまう病気です。
 症状としては、例えば人前で話すのが怖い「スピーチ恐怖」があり、震えが止まらない症状もあります。あいさつするのも怖い「対人恐怖」では、軽い会話にも返事が出来ません。その他、食事が満足にできない「会食恐怖」、人に見られるのが怖い「視線恐怖」などがあります。ただの「あがり症」とは違って、その場面を避けるようになってしまうことが問題です。学業や仕事に支障をきたすようになります。
 治療としては、薬とカウンセリングがあります。薬としてはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という抗うつ薬が第1選択です。うつ病とは違う病気ではありますが、良く効く場合が多々あります。
 医師や心理士によるカウンセリングを行う場合もあります。苦手となってしまった社交場面を克服するため、一緒に作戦を立てながら少しずつ近づいてみるのです。徐々に成功体験を積み上げていけば次第に不安が軽減されていきます。
 社交不安症は治療法が確立されている病気です。お困りの方は心療内科や精神科にご相談ください。
 長引くコロナ禍の中、社交不安症の患者さんに変化が起きています。新型コロナウイルス感染対策による新しい生活様式による変化です。ステイホームと自宅に引きこもる生活が続き、外出時にはマスクが必須となり、会話を避けることが、社会の新しいマナーとなりました。
 その結果、社交不安症の人にとってつらい社交場面が格段に減ったのです。人前がとても苦手な患者さんですが、オンライン対面は負担が少ないのです。このまま自粛と在宅勤務が続いてほしいと願っている社交不安症の患者さんは少なくないようです。IT環境の進化により社交不安症は減っていくのかもしれません。
(弘前駅前メンタルクリニック院長 菊池淳宏)

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泌尿器科疾患と糖尿病

2021/7/10 土曜日

 

 私の専門は泌尿器科ですので当然のことながら外来にいらっしゃる患者さんの訴えは、排尿・蓄尿などのお悩みが多くなります。それでは泌尿器科だけの知識・技術だけで解決できるのかというとそうとは限りません。他科の知識、さらには他科の先生方のご助力を得てはじめて解決できるケースもしばしば経験されます。
 今回はそのような他科の疾患との関連の中から、糖尿病と泌尿器科についてお話ししたいと思います。
 糖尿病はその名前のごとく尿の中に糖が混入することがあり、膀胱炎や外陰部の真菌症(カンジダ)が発症しやすくなります。通常、これらの疾患は治療をすると治りますが、尿中の糖が細菌や真菌にとっては良いお食事になり増殖しやすくなるので、糖尿病のコントロールが安定しないと繰り返すことが多々あります。また逆に外陰部の真菌症がきっかけで糖尿病が見つかることもあります。
 「血糖値が高い」と血管内が傷んで血流障害を引き起こし、さまざまな臓器に障害(合併症)をもたらします。糖尿病の三大合併症といえば腎障害、眼障害、神経障害ですが、今回は神経障害を取り上げてお話しします。
 指先のシビレが有名ですが、膀胱の動きにも影響を及ぼします。神経因性膀胱と呼ばれ、膀胱に貯まっている尿量を感じ取れなくなり(知覚障害)、膀胱の収縮力も低下します。患者さんご自身は気付かないことも多く、一度このような状態になると治ることがありませんので、悪化すると最終的には尿道カテーテル(オシッコの管)を留置することになってしまいます。
 血流障害・神経障害により男性の場合は勃起障害も起こり得ます。
 その他、夜間に作られる尿量が増加する(夜間多尿)ことがあり、結果として夜に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)原因となります。
 糖尿病による合併症は一度発症すると治らないものも多く、日頃からのコントロールが大事であるなぁ、とつくづく感じます。
(やまとクリニック泌尿器科・内科院長 大和隆)

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予防接種に思う

2021/7/3 土曜日

 

 日本は長らく予防接種後進国と呼ばれていました。しかしここ十数年の間に本邦で導入された新しいワクチンは10種類を超え、ようやく世界の標準に近づいてきました。昨年10月から長年要望していたロタウイルス感染症のワクチンが世界の中で100番目くらいでようやく定期接種になりました。
 その前の2016年10月からは、これも待ちに待ったB型肝炎の予防接種が定期接種になりました。ここで出てくる定期接種という言葉は一般の方には聞き慣れないものかと思います。国の予防接種法で規定され、公費負担で接種できるものを言います。それ以外に日本では任意接種という独特の分類があり、原則保護者負担の予防接種です。おたふく風邪、A型肝炎、髄膜炎菌ワクチンなどがあります。おたふく風邪ワクチンが国の予防接種プログラムに入っておらず、任意接種なのは世界の先進国では日本だけです。
 ワクチンの種類は徐々に後進国状態を脱しつつあります。さらに他の国では普通に行われていた、異なるワクチンの同時接種が日本でも行われるようになりました。また一つの予防接種を受けた後に一定の期間を空けないと次のワクチンを受けられないという制限も昨年10月に世界標準に沿った改正がなされてきています。
 このように子どもに対する予防接種は、時間がかかりましたがよくなってきています。しかし現在の緊急課題である新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種はどうでしょう。このたびのワクチン接種の混乱は09年にあった新型インフルエンザパンデミック時の再現のようです。09年と同様今回も外国頼みのワクチン入手が遅れに遅れ、接種体制の確立もスムーズに行かず、前回からの学習ができていないかのようです。今回の試練を乗り越えた後は、日本がワクチンをはじめ、感染症制圧で世界をリードする国になることを心から期待したいと思います。
(河内小児科・内科クリニック院長 河内暁一)

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