医療情報ほっと

 

腎臓病の治療

2020/1/25 土曜日

 

 前回は腎臓病とはどのようなものかを簡単に解説しました。では、治療はどうしたらよいのでしょうか?
 腎臓病といってもたくさんの種類があります。それによって特に初期の治療が異なってくるので、ここで少し説明します。大きく分けると、腎臓だけが具合悪いもの(原発性あるいは一次性腎疾患)と全身の病気に伴って腎臓が侵されるもの(二次性腎疾患)になります。前者がいわゆる糸球体腎炎(Iga腎症など)で、後者は糖尿病性腎症、腎硬化症(高血圧による)、ループス腎炎(膠原(こうげん)病による)などです。この他、発症の様子から分ける方法(急性と慢性)や、腎臓の一部を採取した検査結果から分ける方法(腎組織による分類)などがありますがここでは省略します。
 この中で、原発性腎疾患の多くや、ループス腎炎などは、初期治療としてステロイドという薬が用いられます。この薬は病気により極めてよく効く、大変優れた薬です。しかし副作用もたくさん知られているため使用する際には副作用に十分注意が必要です。では糖尿病性腎症、腎硬化症などステロイドが効かない腎臓病患者や、ステロイドを用いたにもかかわらず徐々に腎臓の働きが低下してきた患者への治療はどうなるのでしょうか?
 残念ながら現時点で、このような腎臓病への特効薬はありません。このため、少しでもその進行を防ぐための治療が中心となります。つまり腎臓の周りの環境を整えることによって腎臓の負担を軽くして、その働きを長持ちさせるように努めることです。具体的には、血圧が高ければ降圧剤、血糖が高ければ糖尿病の治療、その他、コレステロール、中性脂肪、尿酸の治療などであり、なにより腎臓が心地よく働くことができる環境を整えることです。
 2回にわたり腎臓病について解説しました。まだまだ足りない部分がありますが、またの機会に説明できればと思っています。
(弘前大学大学院医学研究科地域医療学講座准教授 中村典雄)

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腎臓病とは?

2020/1/18 土曜日

 

 皆さん、腎臓病とはどのような病気かご存じでしょうか? 今回と次回にわたって腎臓の働きと腎臓病、そして治療法について解説したいと思います。
 まず、腎臓の働きです。腎臓は左右の腰のあたりに一つずつある長径10センチ程度のソラマメのような形の臓器です。主な働きは尿(おしっこ)をつくること、身体の中の状態をバランスよく保つことです。前者について説明すると、全身を巡った血液を腎臓で濾(こ)して老廃物を尿として体外に排せつするということであり、後者は、腎臓がさまざまなホルモン(昇圧ホルモン、造血ホルモンなど)を分泌して身体の中の状態をコントロールしているということです。
 では、腎臓病になるとどうなるのでしょう。まずは尿をつくる部分(血液を濾すところ)に影響がでて尿の異常がみられます。多くは蛋白(たんぱく)尿ですが、潜血尿(血液の成分が混じった尿)がみられることもあります。さらに進行して腎臓の働きが低下すると身体に老廃物(尿毒素という)がたまってきて具合が悪くなってきます。尿の量も少なくなり、むくみが目立つようになります。また、これだけではなく、本来、腎臓で産生されるさまざまなホルモンの異常も出てきます。このため血圧が上昇したり、貧血が進行したり、骨がもろくなり骨折しやすくなったりします。以上のような理由で、腎臓病が進行すると、全身にさまざまな症状が出てくるのです。
 一方、腎臓病の人は、心臓病にかかりやすい、または心臓病で亡くなる可能性が高いと言われています。具体的な理由については、なかなか難しいのですが、これはとても重要なことです。このため、腎臓が悪い人をみたら心臓の具合に注意しないといけないということ、また逆に心臓が悪い人に対しては腎臓に注意しないといけない、ということになります。
 では腎臓病の治療はどうしたらよいのでしょう。これは次回のお楽しみということで。
(弘前大学大学院医学研究科地域医療学講座准教授 中村典雄)

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B型肝炎の治療について

2020/1/11 土曜日

 

 今回は、B型肝炎の治療を中心にお話をさせていただきます。
 B型肝炎ウイルスは感染後に、肝細胞の中心の核に入り込み、安定した構造になります。これを元にウイルスが複製されます。この複製の途中を抑えるのが、抗ウイルス剤の核酸アナログ製剤です。また、急性感染の後にウイルスが排除された患者さんでも、核内にあるウイルスの情報は残っています。そのため、抗がん剤、免疫抑制剤の使用時にウイルスが再び活性化する可能性があるので、注意が必要です。
 B型肝炎ウイルスにはゲノタイプという遺伝子型があります。日本では、ゲノタイプCの頻度が高く、次にBが続きます。また、近年海外から持ち込まれたゲノタイプAが急性肝炎を中心に増加しています。ゲノタイプBやCは成人が感染しても、持続感染に移行する可能性は低いですが、ゲノタイプAは成人の感染でも、持続感染に至ることがあります。また、ゲノタイプCはゲノタイプBに比べ肝硬変や肝がんへの移行率が低いという特徴があります。青森県を含む東北地方は、ゲノタイプBが多く、悪性度の低いウイルスが多いことが知られています。
 B型肝炎の治療は、慢性肝炎の状態から行われます。治療には、インターフェロン製剤と、核酸アナログ製剤があります。インターフェロンは自分自身の免疫を活性化させウイルスを排除させる薬ですが、有効性が3割程と低いことや副作用が問題になります。一方、核酸アナログ製剤は、強力なウイルス抑制作用を持ちますが、原則的に長期投与が必要です。これらの薬剤も使用し、肝炎の活動性と、肝線維化進展を抑制することで、肝不全や肝がんの発症を防ぐことが目的となります。
 B型肝炎は、状態が落ち着いていても採血や画像検査を含めた、長期での医療機関の受診が必要な病気です。治療が必要ない方でも、定期的な医療機関の受診が必要です。
(弘前大学医学部附属病院消化器内科助教 飯野勢)

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B型肝炎について

2019/12/21 土曜日

 

 2回にわたってB型肝炎のお話をさせていただきます。B型肝炎はC型肝炎に比べ、肝硬変や肝がんの割合は低く、症状がない状態が長く続く疾患です。しかし、現在ではC型肝炎ウイルスは、内服治療によりほぼ排除できるのに対し、B型肝炎ウイルスは増殖の抑制はできますが、完全に排除することは難しく、長期にわたり定期的な医療機関の受診が必要となる疾患です。
 B型肝炎ウイルス感染が持続している人をキャリアといい、世界では約4億人、日本では約130万人がキャリアであると推定されています。B型肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染します。免疫が未発達の幼児期までに感染すると、症状がなく持続感染となりますが、免疫の発達した成人が感染すると、多くは一過性の急性感染となり治癒します。現在のキャリアの方の多くは、出生時や幼児期での感染です。現在では、ウイルスが陽性の母親から生まれた子どもに対して免疫グロブリン投与とワクチン接種が行われています。また、幼児期の感染を防ぐために、2016年から予防を目的に0歳児を対象に全員にワクチンを接種する取り組みが行われています。これにより、幼少期での新たな感染はほぼ無くなると考えられています。
 幼少期にB型肝炎ウイルスに感染すると免疫が未発達のため、症状のない無症候性キャリアとなります。その後、思春期、成人期となるにつれ、免疫が発達し、ウイルスに感染した細胞を、自分の免疫が攻撃を行うようになり、肝炎がおこります。多くの方が、その後にウイルス量が低下した非活動性キャリアとなり、ウイルスが排除された回復期へと向かっていきます。しかし、1割ほどの方は肝炎が持続し慢性肝炎や肝硬変へ移行するといわれています。この状態になると肝がんの発生頻度が上昇するため、治療が必要となってきます。次回はB型肝炎の治療を中心にお話させていただきます。

(弘前大学医学部附属病院消化器内科助教 飯野勢)

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食中毒予防の六つのポイント

2019/12/14 土曜日

 

 食中毒は飲食店だけでなく家庭でも発生しており、家庭にも食中毒の危険が潜んでいます。食中毒の予防の三原則は「菌を付けない」「菌を増やさない」「菌をやっつける」です。
 この三原則を実践する上で、具体的な六つのポイントが厚労省から示されています。
 まず「買い物」の際、消費期限の確認、肉や魚などの生鮮食品は最後に買う、肉や魚の汁が他の食品に付かないようにビニール袋に入れる、寄り道しないですぐに帰る等です。
 次は「家庭での保存」です。冷蔵や冷凍の必要な食品は持ち帰ったら、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れる、肉や魚の汁が他の食品に付かないように容器やビニール袋に入れる、冷蔵庫は10度以下、冷凍庫はマイナス15度以下に保ち、冷気の循環が悪くならないように詰め過ぎないこと等です。
 三つ目は「下準備」です。調理の前に丁寧に手を洗うことが大切です。野菜は流水できれいに洗い、生の肉や魚の汁が果物・サラダ等の生で食べるものや調理が済んだものに付かないようにする。また、生の肉や魚を触ったら手を洗う、肉や魚に使用したまな板等の調理器具はその都度、洗浄後熱湯をかけて殺菌する、冷凍食品の解凍は冷蔵庫や電子レンジを利用して自然解凍は避ける、冷凍食品は使う分だけ解凍し、冷凍と解凍を繰り返さない等です。
 四つ目めは「調理」です。調理の前には手を洗う、肉や魚はもちろん、野菜も加熱して食べれば安全です。肉料理は、中心部までよく加熱すること(75度で1分以上)が大切です。
 五つ目は「食事」です。食べる前に手を洗う、作った料理は長時間室温で放置しない、冷蔵庫でも菌はゆっくり増殖するので早めに食べることが重要になります。
 六つ目は「残った食品」です。残った食品を扱う前にも手を洗う、温め直すときも十分に加熱する、時間がたち過ぎた物や怪しいと思った物は食べずに捨てる等です。
 家庭での食中毒を防ぐのは、食材を選び調理する私たち自身です。予防の基本を守ることによって、大部分の食中毒は防止できます。
(かきざき小児科アレルギー科クリニック院長 柿崎良樹)

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