医療情報ほっと

 

ファイザー社新型コロナワクチンの副反応

2021/3/6 土曜日

 

 ようやく日本でもワクチン接種が始まりました。多くの方が心配している副反応について、現時点で分かっている事を紹介します。
 【副反応とは?】
 ワクチンは、体内に異物を投与することで免疫反応を誘導するため、効果だけでなく副反応も起こります。接種後に出た何らかの症状や亡くなった人は、すべてが副反応疑いとして報告されます。しかし、これらには、「本当にワクチンと関係するもの」と「おそらく関係ないもの」が混在していますので注意が必要です。
 【どんな副反応か?】
 接種部位の痛みが最も多く(7~8割程度)、他にだるさ、頭痛、筋肉痛、寒気、発熱、接種部位の腫れ、関節痛、吐き気などがみられています。強いアレルギー反応であるアナフィラキシーの起こる割合は、4・7例/100万回と報告されています(JAMA,Feb,12,2021)。インフルエンザワクチンの1・3例/100万回より多いですが、特別危険ではなく安全なワクチンとされています。ワクチンが原因で亡くなった人はいません。
 【接種を控えた方がいい方】
 アナフィラキシーの原因の一つは、ワクチンに含まれるポリエチレングリコール(PEG)と考えられています。PEGは、多くの化粧品・スキンケア製品や慢性便秘薬・大腸検査経口腸管洗浄剤に使用されています。米国ではPEGや同じように反応するポリソルベートにアレルギーがある人は、接種を控えるよう推奨しています。
 【医師に相談が必要な方】
 妊娠・授乳中の方は、理論上は安全なワクチンですが科学的データが不足しています。また、重度のアレルギー疾患がある方も接種できないわけではありません。感染や重症化のリスクを考慮して接種を判断することが重要です。
 【結局、接種した方がいいの?】
 副反応に関するさまざまな報道がありますが、副反応の種類や頻度をよく知った上で、本当にワクチンに関連したものか正しく判断することが大切です。年齢や基礎疾患などから効果と副反応をてんびんに掛けた上で接種するかどうか判断しましょう。
(弘前市医師会副会長 かきざき小児科アレルギー科クリニック院長 柿崎良樹)

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認知症4

2021/2/27 土曜日

 

 私たちの施設への入所に際して、認知症の大抵の兆候にはスタッフ一同が何とか対応できる自信がありましたが、あまりひどい暴力、特に他の入所者を襲うことを私は非常に心配しました。それがどうでしょう。入所した時点から、がらっと人が変わったように、全くあの恐ろしい暴力がなくなりました。家族も私たちもびっくりし、安心しました。時々理由は分からないが怒ったり興奮したりしますが、その程度は他の認知症の方にもよくあることです。
 入所して1年くらいで、暴力行為は全くなく、認知症状はありますが、家族が自宅で介護できそうなので、通所のことを息子さんに話したところ、「お願いだから、引き続いてこのまま入所させてください」と強く希望するのです。確かに帰宅して、暴力が再発する可能性はあります。
 それで現在入所以来3年6カ月になりますが、私たちは、認知症専門医と相談しながらケア(心を込めてお世話)をしております。最近ほとんど問題なく、穏やかに生活をしております。この症例は特例ではありません。最近2年間で本例以外に類似の経過をたどった症例を私は経験しています。
 【まとめ】(1)認知症は医療面だけでなく、いろいろな面からアプローチすることが大切で、医師だけでなく、家族、社会、自治体、地域などが連携して取り組む必要があります。最近はそのようなシステムが構築されています。一般の方々もそのことを知り、活用すべきです。
 (2)まず早めにかかりつけ医に相談し、その後の適切な対応をしていただく。
 (3)家族内だけで対応するのは、非常に難しい。自治体、地域社会にサポートする専門家がおられますので、気軽に相談するのがいい。認知症だからと恥ずかしがらずに適切な対応をしてもらいましょう。高齢になると誰でも認知症になる可能性があるのです。
 日本における認知症研究の第一人者長谷川和夫先生は、自分自身が認知症になって、「ボクはやっと認知症のことがわかった」という著書(発行KADOKAWA、2019年初版、2020年5版)を出しています。ぜひ参考にしていただきたい。
(弘前市医師会員 介護老人保健施設湖水荘施設長 小宅弘道)

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認知症Ⅲ

2021/2/20 土曜日

 

 【治療・介護・支援(日常生活、経済、精神、社会、家族などいろいろ関連あり)】認知症は明解、単純ではないのです。私たち医師を含めて、一般の人も認知症についてもう少し理解を深めていくことが必要と思っています。
 (1)薬物療法 アリセプトは、1999年にアルツハイマー型認知症の使用承認を厚生労働省から得て、現在、国際的にもよく使用されているエーザイが開発した内服薬です。初期認知症の進行を抑えるには有効ですが、進行した認知症には効果はありません。私もアルツハイマー型認知症の85歳男性に4年間継続して服用していただきましたが、認知症症状は徐々に進行し、原因不明ですが最期を迎えた症例を経験しています。
 (2)介護・支援が著効したと思われる症例 86歳男性、職業農業、性格は元来優しく誠実で妻と仲が良い。
 経過…80歳ごろから物忘れがよくあった。82歳ごろ、妻が金を盗んだと妄想、人が変わったようになり、妻に暴力を加えるようになった。
 息子夫妻が青森にある精神病院に、アルツハイマー型認知症の診断で入院させた。暴力行為はやや治まったが、認知症の他の症状はほとんど変わりなく続いていた。
 1カ月して、青森の病院からもっと自宅に近い五所川原の精神病院に転院した。ひどい暴力行為はないものの、はっきりした理由が分からないが介護者に対して怒り、介護拒否や帰宅願望があった。午前中はいいのだが、午後になるとひどくなる傾向が見られた。6カ月入院して、問題行為が軽減したということで帰宅した。
 自宅では暴行がひどく、妻を殴る、蹴る、農業用のフォークを振り回すなどし、息子夫妻はそれを制止することができない状態になった。それも以前よりひどく連日で、家族一同困り果てた。
 それで以前入院していた精神病院の認知症専門医に相談したところ、私たちの老健施設に入所する手配をしてくださった。すると暴力は全くなくなり、家族は、一応ほっとしたと言っています。発症初期から継続的に認知症専門医に4~5種類の内服薬を処方していただいて、欠かさず服用しておりました。
(弘前市医師会員 介護老人保健施設湖水荘施設長 小宅弘道)

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認知症Ⅱ

2021/2/13 土曜日

 

 【脳の病理的所見】アルツハイマー先生が、前述の婦人の脳を病理学的検査したところ、特徴的な変化を発見しました。著しい脳の萎縮、脳神経細胞の脱落、老人斑と呼ばれるシミ状の斑点などです。特に脳の海馬(かいば)という部位に著明に見られました。その後の研究で、脳神経細胞の外側にアミロイドβ(ベータ)というタンパク質が沈着し老人斑というシミを形成し、神経細胞が死んでゆくことが分かりました。
 【家族が認知症を疑うきっかけとなった高齢者の変化】多いものから順番に挙げると、(1)忘れ物、物忘れ、置き忘れを頻繁にするようになった(2)時間や日にちが分からなくなった(3)仕事や家事が以前のようにできなくなり、支障をきたすようになった(4)クレジットカードや銀行通帳の取り扱いができなくなった(5)服薬がきちんとできなくなった(6)ふさぎ込んで、何をするのもおっくうがり、嫌がるようになった(7)気候に合った服を選んで着ることができなくなった(8)入浴しても洗髪は困難になった(『認知症の人と家族の会』のアンケート調査報告書より)
 このような変化は、認知症の初期症状である可能性が考えられます。しかし、85歳以上の後期高齢者では、このような変化は、認知症でなくても多少はあるもので、直ちに初期認知症と決めつけてはいけない。とにかく、このような変化が目立つ場合は、早めの受診をお勧めします。
 【初期認知症が疑われた場合、どこで診てもらうか】このことで家族も本人も迷うことがよくあります。認知症を本格的に担当するのは、精神病院や基幹病院の認知症専門医がおられる精神科・脳神経内科です。「もの忘れ外来」とうたっているところもあります。
 弘前市内には、5、6カ所あります。医師会では、認知症を専門としていない医師のために、「かかりつけ医認知症対応力向上研修」などを毎年実施しておりますので、まずかかりつけ医に相談するのがいいでしょう。その後、必要に応じて認知症専門医に紹介していただくことになります。
(弘前市医師会員 介護老人保健施設湖水荘施設長 小宅弘道)

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認知症Ⅰ

2021/2/6 土曜日

 

 【はじめに】私はもともと小児科医です。認知症は子どもにはない疾患なのに、その私が認知症について書くのは、甚だ「出しゃばった」ことと思われる方もおられるかもしれません。しかし、今や日本は超高齢化社会に突入、さらに進んでおります。
 10年ほど前から私は、強い社会的要請もあり、高齢者の診療、介護、支援などの仕事が多くなってきています。4年半前から、ある老健施設の医師(施設長)として、楽しく勤務しています。施設室に泊まり込み、70人のスタッフと協力し、男女100人の高齢者と生活を共にしながら、care(ケア)(心を込めたお世話)をしています。入所者全員がいろいろな病気を持っています。また、現在、入所者100人のうち65人が認知症を抱えております。
 【認知症の定義】ここでは、日本の介護保険法での定義を紹介いたします。「アルツハイマー病、脳梗塞、その他の原因に基づく脳の器質的な変化により、日常生活に支障が生じる程度にまで記憶機能およびその他の認知機能が低下した状態をいう」となっております。
 認知症には多くの種類があり、約60種類もあると言われています。厚生労働省の資料によると、アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)67・6%、脳血管性認知症19・5%、レビー小体型認知症4・3%、前頭側頭型認知症1・0%、その他7・6%となっています。
 【アルツハイマー病】アルツハイマー先生はドイツの精神科医で、最初に以下のような症例を報告しました。
 1900年ごろ、50歳代の女性を診察しました。彼女には嫉妬や妄想の激しい症状がありました。夫が浮気していると思い込み、夫とその相手と考えられる女性に暴力を振るい、周辺の人たちが自分のことをうわさし、自分に危害を加えようとしていると言い張るようになりました。
 先生は彼女の気持ちを和らげるように努力しましたが、彼女の症状は、なかなか軽快しません。5年ほどして、入院してもらいました。入院中、肺炎を起こし、死亡しました。先生は彼女を解剖し、特に彼女の脳を詳細に病理学的検査をしたのです。
(弘前市医師会員 介護老人保健施設湖水荘施設長 小宅弘道)

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