医療情報ほっと

 

網膜剥離について

2021/10/16 土曜日

 

 皆さんは網膜剥離という疾患をご存じですか。眼球の内側にある、物を見るために大切な神経の膜を網膜といいます。これが剥がれて視野が欠けたり、視力が低下したりする病気です。
 初期症状は、小さい虫が飛んで見えたり、突然視界に墨を流したように見えたりします。これを飛蚊症(ひぶんしょう)といいます。また、暗いところで雷が走るように見える光視症(こうししょう)というものもあります。これらをきっかけに眼科を受診することがほとんどです。この時は網膜剥離には至らず、その原因となる網膜裂孔という前段階の場合が多いです。
 この段階では、無症状のことも多く、コンタクトレンズ検診などで偶然に見つかることもあります。網膜裂孔(れっこう)の原因は、加齢により網膜が薄くなる、アトピーの方で目をよく擦る、スポーツなどの外傷、特にボクシングは有名です。
 また近視が強い方は網膜が薄い傾向があり、剥離を起こす可能性が高いといわれています。この段階では、網膜剥離を起こしていませんので、網膜裂孔だけで見つかった場合は、レーザーで裂孔の周りを光凝固することで網膜剥離の発生を抑えることができ、その方は幸運だったといえます。
 網膜剥離が起こってしまうと、見える範囲に、上からカーテンが下がってくる、雲が下から湧いてくるなどの表現で、視野が欠けて見えます。このように網膜が剥がれてしまった状態で見つかった場合は、手術が必要です。
 そのため、飛蚊症、光視症などちょっとした症状が気になった場合はすぐに眼科を受診することが大切です。
 また、網膜裂孔は眼底周辺部に見つかることが多く、健康診断の眼底写真ではその周辺部まで写せませんので、健康診断に眼科の項目があったからと安心してはいけません。
 眼科を受診することで、他の目の病気が見つかることもあります。今回紹介した症状があった場合は、放っておかずに、すぐに眼科を受診してください。
(おおた眼科院長 太田卓也)

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睡眠時無呼吸症候群

2021/10/9 土曜日

 

 日本では300万人以上の無呼吸症候群の患者がいると推定されています。この数は極めて多いにも関わらず、その社会的インパクトは十分に周知されていません。睡眠が不足すると、日中の眠気や倦怠(けんたい)感のために仕事に身が入らなかったり、トラブルや事故の増加を招いたり、自分自身のみならず、周りの人たちにも大きな損害を与えることにもなります。また高血圧や糖尿病、脂質代謝異常症などの生活習慣病と密接な関わりを持っています。
 ▽睡眠時無呼吸症候群とは?
 眠っている間に呼吸が止まる病気です。気道(鼻やのど)が何らかの理由でふさがってしまい、呼吸ができず、窒息状態になります。症状は激しく、大きないびきです。そのいびきが10秒以上、時には60秒くらい消失し、再度激しいいびきが出現、その繰り返しが認められます。
 ▽治療がされないと?
 高血圧症、心筋梗塞、脳卒中の発症や悪化の原因となり、また居眠りによる自動車事故や仕事上のトラブル、学習、労働の遂行能力の低下、生活の質(QOL)の低下など、生活上の危険性が増えます。居眠り運転による交通事故率は健常人の7倍も高いという報告もあります。重症の睡眠時無呼吸症候群は寿命が短いといわれています。
 ▽罹患しやすい人の特徴と危険因子は?
 太っている、くびが短く太い、あごが小さい、舌や扁桃腺(へんとうせん)が肥大している、飲酒、喫煙、鼻閉(びへい)(アレルギー性鼻炎)など。
 かかりつけ医に相談の上、睡眠障害専門の医師の診断をお勧めします。診断には簡易検査をした後に終夜、「睡眠ポリグラフィー検査」が必要です。この検査は睡眠と呼吸の状態を調べます。結果に基づき、医師は患者に最も適した治療方針を決定します。短命県返上のため、まずは近くの医院にご相談ください。
(よしだ耳鼻科・小児科院長 秋田三和興)

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巻き爪と陥入爪

2021/10/2 土曜日

 

 今回は「巻き爪」と「陥入爪(かんにゅうそう)」のお話です。巻き爪の治療が医療かどうかは難しいところです。さまざまな爪ケア用品あるいは巻き爪用品がドラッグストアや通販で購入可能です。器用な方はご自身で工夫し、適切に対応されています。医療機関で巻き爪の矯正を行うところもありますが、自費診療です。かつて巻き爪矯正は何度も繰り返すことが多かったのですが、最近は付け外し可能な矯正器具ができたことから、長期維持が可能になりつつあります。
 陥入爪は、爪の端が足指に食い込み刺激し、炎症を起こした状態をいいます。もちろん巻き爪も関係しますが、爪の打撲や外傷、爪の切り込み過ぎ、薄い爪、合わない靴(特に長靴、安全靴、パンプスなど)の着用なども原因となります。陥入爪を悪化させるとひどく痛みます。足指が腫れ、肉芽が盛り上がり、膿が溜まり、臭いのするツユがじわじわ出ます。痛みのために歩けなくなり、学校の体育や部活、あるいは仕事に支障を来すこともあります。
 陥入爪の治療は保険適応です。軽症では、食い込んだ爪を引き離すように指にテーピングを行います。また食い込んだ爪の一部を切除し、その部位に綿球を当てて除圧するコットンパッキングもあります。重症で痛みがひどい場合には、爪先が足指に食い込んだ部分をプラスチックチューブで覆う陥入爪手術(ガター法)を行います。チューブは炎症が鎮静化するまで留置します。
 手術の際には痛みを減らすように伝達麻酔を行います。伝達麻酔は足指の根元に麻酔薬を注射する方法です。除痛までに少し時間がかかりますが、局所麻酔と比べて圧倒的に痛みが少ない利点があります。手術でかかる時間は5~10分間です。陥入爪の治療はある意味で虫歯の治療と似ています。「痛いことされるかも~!」と恐れて放置し、受診が遅れると、かえってその代償は大きくなりがちです。悪化させる前に医療機関の受診をお勧めします。
(のだ眼科・血管内科クリニック院長 野田浩)

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糖尿病とフットケア

2021/9/25 土曜日

 

 「糖尿病フットケア」のことをご存じでしょうか? 糖尿病3大合併症の一つである神経障害は感覚異常をきたし、足の乾燥や足底肥厚、ヒビ割れ、キズの原因となります。神経障害が進行すると筋肉萎縮や足の変形が進み、大きな胼胝(たこ)を形成します。これに動脈硬化が加わると足の潰瘍や壊死、そして足切断に至ります。糖尿病フットケアは患者さんの足を切断から守ることが目的です。
 そのために大事な点が三つあります。一つ目は、医療者が足の解剖、機能、内分泌代謝および靴や装具の知識を正しく習得し、正しく評価、技術的に正しい治療を施すことです。爪や胼胝を安全に処置し、キズのある足をパッドや装具・インソールで保護し、足病変の悪化を予防します。二つ目は、患者さんや家族に正しく理解してもらうことです。患者さんは自分の足が傷つきやすいことを知らずに足病変を悪化させることが少なくありません。
 三つ目は、複数の診療科そして医療者の連携です。フットケアだけで患者さんの足を守ることはできません。糖尿病など基礎疾患を厳格にコントロールし、動脈硬化で閉塞した血管を拡張し、足の痛みを管理し、壊死部の切除や植皮を行うこと。それは一つの診療科で完結することは困難であり医療連携が必要です。
 全国でフットケア外来を開設する医療機関は増加していますが、医療連携にはハードルがあるのが現状です。フットケア関連学会の全国調査ではわが国での糖尿病の悪化による足切断は年間1万人以上とされます。青森県は糖尿病による死亡率が4年連続で全国最悪です。であるならば、糖尿病悪化の過程で足を失った青森県民が相当数存在するものと推定できます。
 フットケアは患者さんの大切な足を守り、最期まで自分の足で歩くことをサポートし、心や体といったその人すべてを守るケアなのです。私たちは、地域の方に少しでも糖尿病フットケアへの関心をもってもらい、連携の輪が広がることを期待しています。
(のだ眼科・血管内科クリニック院長 野田浩)

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下肢静脈疾患の話

2021/9/18 土曜日

 

 今回は足の静脈疾患についてお話しします。下肢静脈瘤(りゅう)はよく知られた静脈疾患です。立ち仕事の方に多く、足のだるさ、むくみ、痛み、かゆみ、湿疹、色素沈着など皮膚のトラブルを起こします。ボコボコした見た目の悪さも気になるところです。治療は弾性ストッキングによる圧迫療法やスキンケアで対応します。また硬化療法や血管内焼灼(しょうきゃく)術などの静脈瘤手術を行うこともあります。
 血栓性静脈炎は皮下静脈や下肢静脈瘤内にできた血栓が原因となり炎症が起きる病気です。炎症が皮膚に及ぶと赤く腫れ、痛みます。治療は血栓除去、圧迫療法、内服薬で行います。深部静脈血栓症は下肢の筋肉内や筋肉間の静脈(深部静脈)の血栓により血流が停滞し、腫れと痛みで発病します。まれに血栓が進行して一部が遊離し、血流に乗って肺動脈に詰まるといった肺塞栓症を起こします。原因は活動低下による下肢の血流停滞、体質、肥満などであり、旅行での長時間の移動や大災害時に発病するエコノミークラス症候群として知られています。
 最近では普段通りの生活をしている人でも血栓ができることがあります。特に婦人科でホルモン剤服用中の人が急に足が腫れた時にはこの病気を疑う必要があります。血栓は採血し、血液中に含まれるDダイマーという物質の量を調べることですぐに判定できます。一般に肺塞栓症は恐ろしい病気というイメージですが、実際は無症状のことも多いです。無症状の場合は内服薬だけで肺の血栓を消失させることが可能であり、適切に対応すれば決して恐ろしくはありません。深部静脈血栓症と肺塞栓症は超音波検査やCT検査など、画像診断の進歩によって発見される機会が増えています。これらをまとめて静脈血栓塞栓症といいます。
 最近、「静脈血栓塞栓症」と「がん」とは密接に関係していることが明らかになってきました(がん関連血栓症)。血栓を見たらがんの可能性を疑い、がんの治療では血栓に注意する。そんなふうに病気同士のつながりを考える時代になりつつあります。
(のだ眼科・血管内科クリニック院長 野田浩)

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