医療情報ほっと

 

意外に多い緑内障

2020/11/28 土曜日

 

 緑内障は、目から入ってきた情報を脳に伝達する視神経に障害が起こり、視野が狭くなる病気です。日本では中途失明原因の1位となっています。失明に結び付いてしまう理由としては、緑内障は末期になるまで自覚症状が出にくく、患者さんが受診に至らないためであると考えられています。年齢とともに頻度も上昇し、40歳以上の20人に1人(5%)、80代では6人に1人(16・4%)の有病率です。しかし、このうち眼科に通院しているのは10%にすぎず、残りの90%は病気があることに気付いていません。
 緑内障による視神経の障害は、目の硬さである眼圧が高くなることによって起こります。一部の緑内障では、急激に眼圧が上昇することで、眼の痛みやかすみ、充血に加えて、頭痛や吐き気などの症状が出ますが、日本では眼圧が正常範囲内であるにもかかわらず視神経が障害される「正常眼圧緑内障」が7割以上で、この場合眼圧による自覚症状は出ません。
 緑内障の主な症状は視野が狭くなることです。視野障害はゆっくりと進行していきます。そして、人は日常生活では両目でものを見ていますので、もし片方の目に悪いところがあっても、もう反対の目で補って隠してしまいます。そのため、視野障害は自覚しにくく、症状が出たときには緑内障はすでに進行してしまっているということが少なくありません。
 緑内障の治療の基本は、点眼により眼圧を下げることです。毎日点眼を継続する必要があります。患者さんがきちんと治療を継続するかどうかが予後に大きく影響します。一度失われた神経は回復も再生もしないため、欠けてしまった視野は元に戻せないものの、眼圧を下げる治療をすれば緑内障の進行を遅らせることが期待できます。
 緑内障は自覚症状が出にくい病気です。できるだけ早期に発見することが重要です。緑内障を発症するリスクが高くなる40歳を過ぎたら、自覚症状がなくとも、まずは眼科を受診することをお勧めします。
(めとき眼科クリニック院長 目時友美)

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よく見られる皮膚腫瘍

2020/11/21 土曜日

 

 皮膚は自分自身で見る、触れることができる体の一部のため、今までと違う変化がみられたことに気付き、治らずに大きくなってきたものが気になっている方も多いのではないかと思います。皮膚関連の良性腫瘍は頻度の高いものからまれなものまで含めると数十種類もあります。
 皮膚にそんなにも多くの腫瘍があるのかと驚かれるかもしれませんが、皮膚・皮下組織を構成する組織には表皮系、毛包系、汗腺系、脂腺系、神経系、脈管系、線維組織系、脂肪細胞系、その他があり、それぞれに複数の腫瘍があります。その中で頻度の高い良性腫瘍として皮膚の表面が隆起する脂漏性角化症(老人性疣贅)、皮内にできる粉瘤、皮下にできる脂肪腫が挙げられます。
 脂肪腫は皮膚自体に変化はないのですが、深部から押し上げられ隆起し、皮下に数センチから大きければ10センチ以上にもなる軟らかめのしこりがみられます。治療は小さければ局所麻酔による日帰り手術が可能ですが、大きくなると全身麻酔が必要になります。
 粉瘤は皮膚の中にできる1~2センチ台のドーム状隆起で中央に点状のくぼみがみられるのが特徴です。内容物は独特な匂いがする角質で、よく化膿(かのう)して赤く腫れます。非常に頻度が高く、多くの場合は局所麻酔での日帰り手術が可能となりますが、化膿した後の手術は、困難な場合もあります。
 脂漏性角化症は顔面に多発することも多い腫瘍で80歳以上のほぼ100%にみられます。薄い褐色のしみから始まる褐色~黒色の数ミリメートル~2センチ程度の隆起で、表面がイボ状にざらざらしています。治療は多くの場合数回の液体窒素による凍結療法で平坦にすることができます。黒い腫瘍の多くは脂漏性角化症やほくろですが、一部には見た目で判断しにくい悪性腫瘍(基底細胞がん、悪性黒色腫)の場合もあり自己診断が危険なこともあります。良性腫瘍である限りそのまま様子をみることは可能ですが、気になる変化がみられる時にはお近くの皮膚科医院を受診することをお勧めします。
(あいづ皮ふ科クリニック院長 会津隆幸)

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糖尿病について(2)

2020/11/14 土曜日

 

 今回は糖尿病の合併症(三大合併症と大血管障害)についてお話しします。
 糖尿病三大合併症には神経障害、網膜症、腎症があります。糖尿病神経障害は両足先がしびれる、痛む、感覚が鈍感になるといった感覚神経の障害や、立ちくらみ、便秘、下痢、勃起不全といった自立神経障害があります。網膜症については、初期には全く症状がなく、眼底検査をしなければ分かりません。ただ、ある程度進行すれば、飛蚊症(黒い点が走るような症状)、視力低下、失明などの症状があります。腎症も初期には、全く症状がありませんが、進行すると下肢のむくみ、息切れなどの症状が現れてきます。さらに悪化すると、人工透析が必要になる場合もあります。
 大血管障害は、脳、心臓、下肢の血管が狭窄することによって引き起こされます。脳の血管が狭窄(きょうさく)すると脳梗塞、心臓の血管が狭窄すると狭心症、心筋梗塞、下肢の血管が狭窄すると慢性閉塞性動脈硬化症を発症します。心筋梗塞の場合、重度の神経障害があると痛みを自覚できず発見、治療が遅れることがあります。慢性閉塞性動脈硬化症の場合、下肢の血管が狭窄し足壊疽を起こし下肢を切断することもあります。さらに神経障害が進行した状態で足の壊疽(えそ)が発症すると、痛みなどの症状が出ず発見、治療が遅れることがあります。
 また、糖尿病の患者さんは感染症にも注意が必要です。高血糖状態が続くと、白血球をはじめとした免疫機能が低下するため胆のう炎、膀胱(ぼうこう)炎、腎盂腎炎、肺炎、肺膿瘍といった感染症になりやすくなります。
 しかし、糖尿病だから合併症が必ず起きるわけではありません。血糖コントロールがうまくいっていれば、これらの合併症も防ぐことができます。また、合併症が進行するのも年単位ですので、早期発見、治療継続が重要です。糖尿病は血糖を上手にコントロールできれば、決して恐ろしい病気ではありません。早期発見、特に治療継続を心掛けうまく付き合っていきましょう!!
(ひろさき糖尿病・内科クリニック院長 長谷川範幸)

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糖尿病について(1)

2020/11/7 土曜日

 

 2016(平成28)年の「国民健康・栄養調査」では、糖尿病が強く疑われる人(糖尿病有病者)、糖尿病の可能性を否定できない人(糖尿病予備群)はいずれも約1000万人と推計されています。
 糖尿病が強く疑われる人の人口に対する割合は男性16・3%、女性9・3%と男性に多く、年齢が高いほど糖尿病有病者の割合が高くなる傾向にあります。また、糖尿病有病者の割合は最近20年間で増加傾向にあります。糖尿病患者さんの平均寿命は一般人と比べて男性が8年、女性では11年短いという統計があります。
 では、糖尿病の人は何の病気で亡くなっているのかというと、その内訳は1位が悪性新生物(癌=がん)、2位が感染症、3位が血管障害(心筋梗塞や脳卒中など)です。悪性新生物の中では肺癌が最も多く、次に肝臓癌、膵臓癌の順です。一方、心筋梗塞等の虚血性心疾患による死亡は減少しています。
 本県については、19(令和元)年の人口10万人当たりの糖尿病による死亡率は、47都道府県中最も高く18・0人でした。死亡率の改善は認めるものの、4年連続でワースト1位でした。本県は糖尿病の合併症でもある脳卒中や心筋梗塞による死亡が多く、その原因として、食塩摂取量の多さ、多量飲酒者の多さ、喫煙率の高さがあるとされ、雪国ゆえの運動不足による肥満、検診受診率の低さなども原因の一つと考えられます。全国と比べても糖尿病の病状が進行し合併症を発症している方の割合も多いようです。
 また、糖尿病の合併症は、糖尿病特有の三大合併症と大血管障害に分けられます。そして糖尿病三大合併症とは、神経障害、網膜症、腎症を指します。また大血管障害とは、心筋梗塞、狭心症といった心血管障害、脳梗塞などの脳血管障害、下肢の動脈閉塞があります。
 次回は糖尿病の合併症についてお話ししたいと思います。
(ひろさき糖尿病・内科クリニック院長 長谷川範幸)

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C型肝炎の治療

2020/10/31 土曜日

 

 C型肝炎と診断されたら、次に行うのは肝臓の超音波やCTなどの画像検査です。昔は痛い思いをして肝臓に太い針を刺し、組織を一部取ってきて顕微鏡で肝臓の線維化(硬さ)を調べていました。しかし、今は治療の前に痛い検査をすることはありません。腹部超音波検査やCTなどで間接的に評価していきます。特に、最近では腹部超音波の機械に肝臓の硬さを調べたり、脂肪肝の程度を調べたりする機能が付いているものもあり、その精度は直接組織を取ってくる検査に匹敵します。その際には、肝癌(がん)ができていないかを調べることもできます。
 C型肝炎の治療は内服薬で行います。慢性肝炎では8週間、肝硬変では12週間毎日内服するだけです。ほぼ全例ウイルスは体から排除されます。かつてのC型肝炎治療といえば、半年から1年にわたるインターフェロン治療が中心でした。インターフェロンという薬は注射することで体全体の免疫を高めて、ウイルスを排除しようとする薬でした。しかし、ウイルス排除ができるのはわずか6割程度でした。治療中は年中インフルエンザにかかっているような状態で過ごさなければならないため、発熱やうつなど重篤な副作用がたくさんありました。現在の内服治療を始めてから治療後につらかったと話す方はほとんどいません。隔世の感があります。公費の助成があるため、高価な薬ではありますが経済的負担は小さいと言えます。
 これまでの医学の進歩により、ウイルスや細菌が悪さをして癌を作り出している病気が幾つかはっきりしてきました。一つはヘリコバクターピロリ菌による胃癌、もう一つはヒトパピローマウイルスによる子宮頸癌、そして三つ目が今回の話題である、肝炎ウイルスによる肝癌です。ピロリ菌は1週間の内服治療で、ヒトパピローマウイルスは予防接種で防ぐことができます。
 世の中には防ぐことができない病気もたくさんありますが、対処できるものにはあらがっていきたい。それがわれわれ医療者の願いです。
(沢田内科医院院長 沢田直也)

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