医療情報ほっと

 

生活習慣の乱れが子どもに及ぼす影響

2019/7/20 土曜日

 

 医療、看護、保育などでは子どもが元気で楽しく活動している姿を指標として捉え、子どもの心身ともに健康を包括的に見るために、子どものQOL(生活の質)を評価することがあります。子どものQOLは「普遍的な人間の権利に基づく、その子どもの文化と時代の中で生活の複数の領域における主観的かつ客観的な良好な状態である」とし、保護者のみからでなく、子ども自身による回答も評価します。
 いくつかの評価方法がありますが、KINDL(R)では(1)身体的健康(2)精神的健康(3)自尊感情(4)家族(5)友だち(6)学校生活―の領域の尺度で構成されます。それにより子どもの社会的機能・社会との関わり、物事の捉え方・認知的機能、心理的な良好状態、日常的機能の良好な状態において子どもの主観的評価を得るわけです。これらは、幼児・小学生・中学生版と分かれていますが、年齢的に子ども自身が回答できる、小・中学生の回答に注目すると、生活習慣がいかに子どものQOLに影響されるのかということに気が付きます。それは、今まで分かっていたことではありますが、十分な睡眠(8時間以上)、毎日朝食を取ること、食欲があること、それらが子どもの身体的健康、自尊感情、学校生活、家族の領域において、また総合的にもQOLが高いということです。
 子どもの心身の健康には十分な睡眠とバランスの取れた食生活が欠かせません。スマートフォンやインターネットを介したゲーム、動画鑑賞、SNSなどを布団に入ってからも寝つくギリギリまで行い、加えて社会全体の深夜化の影響を受け、睡眠時間が短くなり、睡眠が足りたという実感も減り、朝はなかなか起きられず、登校までに朝食を取る時間もなく、残っている眠気のせいで身体も目覚めていないため、食欲も出ない。これらの悪循環をご家庭で今一度見直していただき、家族全体で生活習慣をより良いものへと変えていきたいものです。
(オリーブ会診療所所長 箕浦恵)

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不眠について

2019/7/13 土曜日

 

 24時間社会とも呼ばれる現代では、多様なメディアの普及、コンビニエンスストアなど深夜営業の増加により、夜の光環境が急激に変化しました。睡眠不足、あるいは夜型の人が増え、老若男女を問わず誰でも不眠になり得る時代と言っても過言ではありません。
 不眠の身体的、生理的、心理的原因や精神疾患などの有無を除外して不眠の治療を行っています。いわゆる不眠とは、睡眠の質および量が不十分な状態がかなり長時間持続しているものをいいます。通常正常と考えられる睡眠量からどのくらい偏っているかを第一に考える必要はありません。人によっては、いわゆる短時間睡眠者たちのように最小限の睡眠しかとらないのに、自分のことを不眠症とは考えていない人もいます。反対に量的には、客観的にも主観的にも正常範囲の睡眠をとりながら、質的には不十分な睡眠しかとれないという人もいます。日本では「神経質不眠」「不眠恐怖症」と呼ばれる一群のことです。これに対しては、睡眠についてのイメージ、知識、生活習慣を検討し、睡眠へのこだわりを除いたり、薬物以外の不眠対策を勧めたりします。その上で、薬物療法を考えます。睡眠薬は医師の指示で正しく使用すれば安全です。
 睡眠については次のような正しい知識を持つことが必要です。(1)睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分。高齢者はぐっすり眠るのはせいぜい3時間程度(2)眠くなったら床に就き、就床時刻にこだわり過ぎないこと(3)同じ時刻に毎日起床し太陽にあたること(4)規則正しい3度の食事、運動習慣を心掛けること(5)眠りが浅い時はむしろ積極的に遅寝・早起きすること(6)昼寝をする場合は午後3時前の20~30分位にとどめる(7)眠る前には自分なりのリラックス法を行い、眠りにつく(8)年相応の眠りがあることを知る―。高齢者は若い時のように、深く眠りたいと望みますがそれはあり得ないことです。寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減るし、よく寝ようと早く、長く寝床にいると逆効果になるのです。
(弘前愛成会病院名誉院長 櫻田高)

 

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新しい風疹対策が始まります

2019/7/6 土曜日

 

 風疹にかかると発熱、発疹、リンパ節の腫れがみられ、その感染力は、患者1人から免疫のない5~7人に感染するほど強いとされています(ちなみにインフルエンザは患者1人から2~3人に感染します)。以前は症状から診断することが多かったのですが、2018年1月から保健所への届け出、ウイルス遺伝子検査の実施により、より正確な診断ができるようになりました。
 予防対策としての風疹予防接種は1977年に開始されましたが、無料で接種できる対象が限られた時期があり、1962年4月以前に生まれた女性(57歳以上)と79年4月以前に生まれた男性(40歳以上)は無料で接種できる機会がありませんでした。そのため、この年代では予防接種を受けた人が少なく、特に免疫が無い男性が多いことが現在の風疹流行の原因になっています。2012~13年の大きな流行では、患者1万6730人のうち76%が男性で、その65%は当時30~50歳代でした。
 風疹の大きな流行があると先天性風疹症候群という病気を持つ子どもが生まれます。12~14年には45人の発生が報告されました。先天性風疹症候群とは、妊婦が妊娠初期に風疹にかかりウイルスが胎児に感染して、生まれた子どもに障害が出る病気です。3大症状として先天性心疾患、高度難聴、白内障が多く、他にも網膜症、肝脾(ひ)腫、血小板減少、糖尿病、発育遅延、精神発達遅延など障害は多岐にわたります。しかし、この病気は、全ての人が予防接種を受けて風疹の流行を防ぐことにより、無くすることができます。
 そこで、新しい風疹予防対策として、1962年(昭和37年)4月2日から79年(昭和54年)4月1日の間に生まれた男性を対象に、風疹の免疫があるかどうか血液検査し、免疫がない人に予防接種をするという対策が始まります。どちらも無料です。今年度は、72(昭和47)年4月2日から79(昭和54)年4月1日の間に生まれた男性には無料クーポン券が配布されます。これ以外の期間に生まれた対象の方は市町村にお問い合わせください。対象の方は検査を受けて、免疫の無い方はぜひ予防接種を受けてください。
(かきざき小児科アレルギー科クリニック院長 柿崎良樹)

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「安心カード」について

2019/6/29 土曜日

 

 団塊の世代が後期高齢者になるまであと5年ほど。65歳以上のお年寄りが急速に増える時代がもうすぐそこまで来ています。病気がちなお年寄りがたくさん増えた場合、急変して救急車で輪番の病院に搬送される機会が増える可能性があります。搬送先で、入院の手続きをするのに、身寄りのない1人暮らしの方は、搬送先の病院の事務員やソーシャルワーカーの方が、あちこちに手を回して大変な苦労をされて情報収集しているのが現状だと聞いています。
 このたび、市医師会では切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築や、在宅患者の救急受診時の対応体制を整備しようと、「安心カード」を作成しました。関東や関西でも似たようなカードがあるようで自治体が無料配布しています。
 「安心カード」は、弘前市介護福祉課や市内7カ所の地域包括支援センターと市医師会がメンバーとなり、計5回の打ち合わせ会議を開いて作り上げました。その後は、輪番病院を担当している院長や市議会厚生常任委員会の方々との懇談会、町会連合会保健衛生委員との懇談会、市医師会役員と報道関係者との懇談会などで話題提供して、「安心カード」について認知していただく努力を重ねてきました。
 「安心カード」の対象は基本的に65歳以上の独居高齢者で、そのほか、事業に関わる実施者が適当と認める方に配布します。配布するのは(1)A4サイズの安心カード(2)保管容器(3)たか丸くんシール2枚―です。シールは玄関の内側に貼り容器は冷蔵庫へ保管します。
 「安心カード」は弘前市役所、地域包括支援センター、市内の医療機関で配布します。記入する内容は氏名、住所などのほか、自分の事をよく知っているキーパーソンの名前、かかりつけ医、病名、飲んでいる薬の情報、居宅介護支援事業所や担当ケアマネなど介護の情報です。医師以外でも記入できるので、皆さん記入をよろしくお願い致します。
(弘前市医師会救急災害対策委員会担当理事・佐藤内科医院長 佐藤博彦)

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プール熱とヘルパンギーナ

2019/6/22 土曜日

 

 咽頭結膜熱(プール熱)は、子どもの夏風邪の一つで、発熱、咽頭炎、結膜炎を主な症状とするアデノウイルスが原因の病気です。幼児から学童の間に流行します。プールで感染することがありプール熱ともいわれますが、プール以外でも感染します。
 39~40度の高熱が数日続き、喉が痛く、目が赤くなり目やにが出ます。さらに、首のリンパ腺が腫れることもあります。症状から診断しますが、アデノウイルスの迅速診断法もあります。
 病院では、症状に合わせて、熱や喉の痛みを和らげる薬を処方します。家庭での注意点は、高熱が続くので不安になるでしょうが、解熱剤は6~8時間ごとに1日3回を目安にして、使いすぎないようにしましょう。
 高熱と喉の痛みのため、食欲がなくなるので、食べ物はプリン、ゼリー、アイスクリーム、冷めたおじや、豆腐などにして、水分は十分に飲ませてください。高熱や元気がない時以外は入浴してもかまいません。学校・保育所・幼稚園は、熱が下がって喉の痛みがなくなり、結膜炎がよくなった後2日間は、登校(園)停止になります。
 ヘルパンギーナも子どもの夏風邪の一つです。前回紹介した手足口病と同じようなウイルスが原因で、7月を中心に夏に、4歳以下の乳幼児に流行します。突然の発熱(39度以上)と喉の痛みが出て、喉の奥に赤い発疹と小さい水ぶくれがみられます。病院では、熱や喉の痛みを和らげる薬を処方します。1~2日ぐらいで熱は下がり、喉の痛みも数日以内になくなります。保育所・幼稚園は、熱が下がって水分が取れるようになるまで休ませましょう。
 咽頭結膜熱とヘルパンギーナのどちらも、高熱が3日以上続くとき、喉の痛みが強くて水分を飲めないとき、元気がなくてぐったりしているときなどには、病院を受診するようにしましょう。また、症状がなくなった後も喉から1~2週間、便へ数週間ウイルスの排出が続きます。感染予防として、排便やおむつ交換の後の手洗いが大切です。
(かきざき小児科アレルギー科クリニック院長 柿﨑良樹)

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