医療情報ほっと

 

不整脈も脳梗塞の原因!?

2020/9/19 土曜日

 

 脳梗塞は頭の血管が詰まって血液が届かず脳細胞が死んでしまう病気です。前触れなく突然表れ、治療が遅れると重い後遺症を残してしまいます。急に、片方の手足が動かしにくい、言葉が思うように話せない、見え方が変など「いつもと違う」と思ったら脳梗塞かもしれません。すぐに病院での受診を考えてください。
 現在、地域医療がスクラムを組み、早期受診、早期治療を実現し、多くの患者さんが回復してきましたが、まだまだ救えない患者さんがいることも事実です。
 そこで、病気を発症させない予防策が重要となります。脳梗塞発症の原因の一つに、血管自体がもろくなり詰まってしまうタイプがあります。動脈硬化というものです。動脈は年齢とともにもろくはなりますが、そこに拍車を掛ける4大要因が、高血圧、糖尿病、脂質異常、喫煙習慣と言われています。これらは、食事や運動といった生活習慣の改善によりある程度予防できます。
 もう一つ脳梗塞の原因となるやっかいな病気が心房細動という不整脈です。心臓は左右の心房、心室と四つの部屋に分かれていますが、心房細動とは上の二つの部屋である心房がけいれんを起こし結果として脈が乱れ不整脈を引き起こす病気です。けいれんした心房は十分に収縮できなくなるため、そこによどみが生じ、血液が固まりやすくなり、できた血栓が血流に乗って脳に飛んでゆき脳梗塞を発症します。ゆっくり詰まる動脈硬化性と違い、突然詰まるため、このタイプの脳梗塞は治療には一刻一秒を争い、受診が遅れると非常に重症化しやすい特徴があります。
 予防策は不整脈を見つけて、抗凝固薬という血液をサラサラにする薬を飲むことです。皆さんも時々自分の脈をとってみてください。普通は規則正しく脈打ちますが、リズムがバラバラな時は、この心房細動という不整脈かもしれません。そんな時は病院を受診して心電図をとってもらってください。将来起こりうる脳梗塞を予防できるかもしれません。
(弘前脳卒中・リハビリテーションセンター内科部長 目時典文)

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脳ドックと脳動脈瘤

2020/9/12 土曜日

 

 日本医師会長に中川俊男先生が就任されました。中川先生は、新さっぽろ脳神経外科病院の先生です。この病院は1988年に、脳ドックを初めて開設した病院として有名です。
 くも膜下出血は脳動脈瘤(りゅう)が主な原因であり、突然発症し、死亡や後遺症を生じる重篤な病気です。この脳動脈瘤を出血する前に発見し、治療することを目的として脳ドックが始まりました。
 MRIの普及もあり脳血管の検査が増加すると意外に多くの人が脳動脈瘤を有していることが分かりました。一説では30歳以上の人の3%、33人に1人が脳動脈瘤を有しているといわれています。脳動脈瘤がすべて破裂するわけではないということも明らかになりました。ですから、破裂する脳動脈瘤を見分ける必要があります。
 日本脳神経外科学会等の研究によりますと、大きなもの、形のいびつなもの、急に大きくなるもの、特定の部位にあるものが破裂しやすいということが分かりました。一般的に女性、高血圧、喫煙者がくも膜下出血を発症しやすいということが分かっています。これらの発症要因を統計学的に処理して、その脳動脈瘤の破裂率が計算されます。しかし、どの人がいつ破裂するのかということは分かりません。不安に感じる方が多いので、未破裂脳動脈瘤が確認された場合には、十分な説明とサポートが必要になります。脳ドックを受診したがために生活の質が低下するようなことがあってはなりません。
 脳動脈瘤の破裂率は年間何%という数値で示されます。同じような脳動脈瘤を持つ同じような人間が100人いれば1年間に何人がくも膜下出血になるかを示しています。この頻度を実感することは難しいですが、身近な数値としては、交通事故で死亡したり受傷したりする頻度がほぼ年間1%です。この数値と比べてみるといいかもしれません。脳動脈瘤があっても普通に生活している人も多数いらっしゃいます。脳動脈瘤が見つかってもむやみに恐れないで、適切な対応を医師と相談してください。
(弘前脳卒中・リハビリテーションセンター副院長 脳神経外科 内沢隆充)

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在宅医療の勧め その2

2020/9/5 土曜日

 

 国民の多くは、最期は「自宅」で迎えたいと考えていますが、現実的には60%以上の国民が「最期まで自宅での療養は困難と考えている」との報告があります。その理由として最も多いのが「介護してくれる家族の負担」を挙げています。確かに、在宅医療を続けるには家族の理解と家族の体力、精神力、物質的な支援が必要となります。
 しかし、在宅医療には本人のみならず、家族にとっても入院では得られないさまざまな利点があるのです。
■在宅医療の利点
 在宅医療の利点を紹介します。
1、自分らしく普段の生活ができ、住み慣れた環境の中で不眠の改善・食欲増進などが期待される。
2、周囲に気を遣わず自分のペースで療養できる。
3、多職種とのチーム連携をとり、生活全体を支える治療・介護が受けられる。
4、穏やかな療養をすることで、患者さま・ご家族が最期の準備(心構え)をする時間ができる。
5、費用は、入院より安くなることが多い。
 このように在宅医療は、家族にとっても大切な時間を共有することで、日常の生活の延長線上に行われていくのです。
■在宅医療を受けるには
 弘前市内には在宅医療が可能な医療機関が31施設あり、そのうち24時間対応可能な在宅医療機関は12施設あります。在宅医療を希望する場合、まずは主治医にご相談ください。
 主治医がいない場合、もしくはどこに相談したらよいか分からない場合は、前回もご紹介した弘前市医師会内の在宅医療・介護連携支援センター「そよかぜ」(電話0172-32-2371)までお問い合わせください。
 ぜひ、ご家族と一緒に「在宅医療」を前向きに考えてみてください。家族や仲間、ペットと一緒に最期までご自宅で有意義な日々を過ごしましょう。私共も精いっぱい応援させていただきます。
(坂本アレルギー呼吸器科医院院長 坂本祥一)

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在宅医療の勧め その1

2020/8/29 土曜日

 

■最期の場所について
 「もし皆さまが治る見込みのない病気になった場合、最期を迎えたい場所はどこですか?」
 全国の55歳以上の男女に聞いたところ、半数以上が「自宅」と答えました。しかし、実際には自宅で最期を迎えられる方は、全死亡数の10%ほどです。理想と現実が大きくかけ離れているのが現状です。
 日本では1950(昭和25)年ごろまで約80%の人は自宅で家族に見守られながら最期を迎えました。75(昭和50)年ごろには自宅と病院がほぼ半数となり、2010(平成22)年ごろには病院で亡くなる方が90%、自宅での看取(みと)りが10%と逆転しています。
■国の対応
 2025(令和7)年には年間死亡数が現在の130万人から150万人に増えると推計されており、今後ベット数が削減される予定の病院だけでは、「看取り」の対応ができなくなることが推定されます。そこで、政府は医療費の抑制も兼ね、「看取り」まで行う在宅医療を推進しています。
■在宅医療とは
 国が求める在宅医療とは、医師による「訪問診療」「24時間対応」「最期の看取り」が柱であり、身体的に通院が難しくなってしまった患者さまを医師・歯科医師・薬剤師・訪問看護師・理学療法士・作業療法士・ケアマネジャー・ホームヘルパー等の多職種が連携し、医療から介護、生活指導までの必要なサポートをすることをいいます。医師、歯科医師、薬剤師、訪問看護師は、おおむね24時間対応しています。
 在宅医療について詳しく知りたい方は、弘前市医師会内の在宅医療・介護連携支援センター「そよかぜ」(電話0172―32―2371)まで問い合わせください。
 次回は、在宅医療の利点についてお話します。
坂本アレルギー呼吸器科医院院長 坂本祥一

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多量飲酒と平均寿命

2020/8/22 土曜日

 

 「酒は百薬の長」(お酒はすべての良薬にまさる‥漢書)と言われますが、2000年程昔の中国で塩や酒や鉄を国家管理して徴税するために出した文書にある言葉です。ちなみに、吉田兼好は「徒然草」で「酒は百薬の長といへど、よろづの病は酒よりこそ起これ」、つまり「酒は万病のもと」と見抜いています。確かに飲酒は会食を円滑にしたり、疲れを癒やしたりなどの社会的利点もありますが度の過ぎた飲酒は健康に害を与えます。
 本県は平均寿命が全国一短い、最短命県の地位を独走し続けていますが、短命の原因である生活習慣として、喫煙率の高さ、運動不足、塩分の取り過ぎ、多量飲酒習慣等が指摘されています。
 昨年3月に策定された「青森県アルコール健康障害対策推進計画」の中に、男女別の都道府県別「高リスク飲酒者と平均寿命」のグラフがあります。厚労省の平成27(2015)年の特定健康診査受診者(40~74歳)のデータと同年の平均寿命をプロットしたものです。国が定めた「健康日本21」(第2次)では生活習慣病のリスクを高める量は、純アルコール換算で男性では1日平均40グラム(日本酒なら2合、ビールならロング缶2本)以上、女性では半分の20グラム以上とされていますが、このグラフでは特に男性では高リスク飲酒者と平均寿命との間には緩やかな逆の相関関係があること、つまり高リスク飲酒者が多いほど平均寿命が短くなる傾向が示されています。
 本県男性では1日平均40グラム以上の高リスク飲酒者の割合は33・5%で、全国平均の24・5%を大きく上回り、全国トップ(最悪)です。一方、平均寿命は本県が78・67歳で、全国平均の80・77歳に対して2・10歳も短いのです。机上の計算ではあるものの、本県男性の高リスク飲酒者の割合を全国平均並みに下げることができれば、平均寿命が1歳程度長くなる可能性があるということにもなるのです。
(藤代健生病院名誉院長 坂本隆)

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