’19知事選 崩れぬ牙城

 

2019/6/4 火曜日

 

 2日投開票の知事選は現職の三村氏が大差で勝利し、県政史上初の5選を果たした。事実上の信任投票となった選挙戦を振り返る。

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三村陣営=上

 

三村陣営は当選確実の報道後に拍手が湧いたが、低投票率を懸念して与党幹部の表情には厳しさも残った=2日、青森市

 「とにかくやってみろ、答えを出してみろよ、ということだと思う。絶対に見てるぞと。最大限、県知事の仕事を示していくための叱咤(しった)であると感じている」。三村申吾知事は3日の定例会見で、有権者の約6割に上った棄権者についての見解を示した。
 県政史上初の5選に向け、事実上の信任投票となった今回選。攻めの農林水産業など各分野での実績を示しながら県政の継続を訴え、新人佐原若子氏に約22万票差で圧勝した。
 初当選した2003年の選挙こそ接戦となったものの、以降は圧勝を重ねてきた三村氏。昨年11月の出馬表明を受け、自民、公明両党は同12月に早々と推薦を決め、万全の態勢で準備を進めてきた。知名度抜群の現職に挑む対抗馬が現れたのは告示1カ月を切ってからで、出足の遅れは明らか。自民党県連の江渡聡徳会長は今年2月の会合で、三村氏の当選に自信をのぞかせた。
 一方で「得票数が伸びないと信任されたのかと言われる。大丈夫な選挙ほど汗を流してほしい」と続け、投票率、得票率を合わせた「圧倒的勝利」にこだわる姿勢も見せた。選挙戦に入り、有権者の関心の低さを実感する中においても投票率50%を目標に掲げ、陣営は投票行動を強く呼び掛けてきた。
 しかし、対抗馬が無名に近いことから支持者の「楽勝ムード」は消えず、関心の低下を招いた。低投票率について陣営は「投票しなくても大丈夫だと思っていた人が多かったのだろう」と分析する。
 選挙期間中、ある自民関係者は盛り上がらない選挙戦を嘆き「競っていれば違うんだろうけど…」とぼやいた。陣営内の“緩み”を指摘する声もあり、別の関係者は「なぜ日曜日に(三村氏に)公務を入れるのか。(出なくても)選挙中は理解してもらえる」と不満を漏らした。
 選挙戦は最後まで盛り上がりを欠き、投票率は辛うじて30%台は回避したが過去2番目の低さ。前回選と比べ得票率は伸ばしたものの、得票数は約2万7000票減らした。
 江渡会長は「結果として投票率が最低にならなかったこと、(得票数が)トリプルスコアになったことは安堵(あんど)している」と及第点を与え、課題を認識しつつ「参院選へのステップになった」との見方を示す。自民と共に三村氏を全面的に支援した公明党県本部の伊吹信一代表は「県民に三村申吾知事が定着していることの一つの表れ。投票率が低かったことで県民の信任がなかったとは言えない」と述べた。

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佐原陣営=下・完

2019/6/5 水曜日

 

佐原氏の街頭演説に立った4野党幹部=5月25日、弘前市

 「全野党の応援に感謝している。今までにない形なので、次のステップへとつながってほしい」。知事選に初挑戦した佐原若子氏の選対本部長を務めた市民団体「市民連合あおもり」の大竹進共同代表は投開票が行われた2日夜、選挙戦で支援を受けた4野党県組織に向けてこう感謝の言葉を述べた。
 野党連携を後押しする市民連合は、今夏の参院選を見据えて知事選を「野党共闘の在り方を模索する場」と位置付けていた。佐原氏の擁立決定が告示日の約1カ月前だったことを理由に、市民連合側は推薦などの枠にこだわらない協力態勢を求め国民民主、共産、社民から支援、立憲民主から応援を受けた。
 大竹共同代表が出馬した前回選(2015年)は共産、社民両党の推薦を受けたものの、当時の民主党は自主投票だった。「今までにない形」という前述の言葉はその経緯を踏まえたもので、今回の知事選では旧民主系の国民と立憲の協力態勢も加わった「足並みがそろった」(佐原陣営幹部)状態を意味する。
 選挙期間中は、共産が街頭演説に連日張り付き全面的にサポートしたほか、社民は選挙カーや事務所を貸し出した。国民は田名部匡代代表や佐原氏と同郷の今博副代表が何度も応援に入り、立憲は県連役員がマイクを握ってそれぞれ支援した。休日には4野党幹部が並ぶ姿も見られた。
 大竹共同代表は「いろんな形で支援してもらった」と振り返り、投票率が下がった中で前回選並みの約10万票の獲得を「野党の協力のおかげ」と話す。
 「次のステップ」である参院選は、本県選挙区の野党統一候補に立憲公認の小田切達氏が決まり、市民連合は今後の野党連携に期待を寄せる。「知事選と国政選は別物」といった考えはあるものの、佐原氏への協力態勢には各党で温度差が見られたのも事実で、参院選に向けた今後の連携が課題となる。
 今回の知事選を踏まえ国民県連の田名部代表は、市民団体が擁立する候補者を政党が支援する態勢に「新しい形だった。関わり方が難しかったが、一つの成果も出た」と総括。立憲県連の山内崇代表も「野党単独の対応で本格的な野党共闘には至らなかった」としながらも「県連役員が街頭演説を含め応援してきた。県連としての意思は示せたかと思う」と話す。
 共産県委員会の畑中孝之委員長は「参院選では単なる一本化ではなく、本気の共闘に発展させるべき」と指摘。社民県連の齋藤憲雄幹事長は「(知事選では)一つになって運動したという感触がない。参院選で一緒に活動するには野党連携を強化していくしかない」と強調した。

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