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リンゴなどが描かれたジャケットの裏地を披露する三村候補(中央)=17日、弘前市 |
「全国の知事の中でも抜群の知名度。日本一と言ってもいい」と応援弁士。「知られているだけではない。愛されている」と続けた。
三村申吾候補は告示日の16日、青森市で第一声を終えると県南方面へ。三沢市、六戸町、八戸市など、各地で精力的に街頭に立った。行く先々では多くの聴衆が待ち受ける。選挙カーから降りれば走り回り、一人ひとりと握手したり抱き合ったり。一緒に踊る場面もあった。
マイクを握れば徐々に熱がこもる。「攻めの農林水産業と観光国際戦略。得意分野を思いっ切り伸ばしてきた」「食と命と文化の〝ゆりかご〟である農山漁村集落を絶対に残す」などと、4期16年の実績や決意を示す。聴衆の熱い激励に、感極まり涙ぐむことも多い。
地元のおいらせ町百石地区の歓迎ムードはひときわ強い。地域住民は親密に接し「申吾ちゃーん」と黄色い声も飛ぶ。三村候補は「知事選に勝たせていただいた、あの16年前を決して忘れておりません」と声を震わせ、深々と頭を下げた。
第一声に続く東北町では、応援弁士が話題にすると、すぐさま裏地に県産農林水産品が描かれたジャケットに着替え。聴衆にトップセールスの“戦闘服”を披露した。熱弁する中でも笑ったり泣いたり、ころころと表情を変える。人間味を表に出し、笑いを誘うサービス精神も「愛されている」要因だ。
17日は中弘南黒地区で遊説。津軽地方を巡るに当たり、この日のジャケットの裏地は「リンゴ」と「青天の霹靂(へきれき)」仕様だ。
弘前市では「日本で一番のリンゴ産業の場所はこの弘前。これからも市長さんと販売額1000億円、輸出額100億円を守り抜く」と述べ、コメなどとの複合経営で「強い農業」を進めると強調。「次の世代が『やっぱり古里は弘前だよな』と選んでくれる古里をつくっていくことを約束する」と力を込めた。
板柳町では応援弁士の演説中、三輪車に乗って近づいてきた女の子に対し、駆け寄って声を掛けた。「子どもたちの声がにぎやかになる地域社会をつくりたい」と、決意を新たにした様子だった。
演説を聴いた黒石市の無職男性(82)は「三村知事にはもっと頑張ってもらわないと。市と協力し、黒石を元気にしてほしい」と語った。