’19県議選 票の行方

 

2019/4/9 火曜日

 

  激戦となった県議選が終わった。津軽地方の各選挙区の結果を振り返り、今後知事選や参院選を控える各政党への影響を探る。

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弘前市区=1

 

弘前市区は立憲民主党の鶴賀谷貴(左から2人目)が同党の県内初議席を獲得。“オール立憲”での戦いが功を奏した

 「投票率がこれほど低いとは」。県議選弘前市区の投票率は合併前の旧市を含め、平成に入って行われた計8回で最低の44・14%。各陣営も当初から有権者の関心は低いとみていたが、結果は予想を超えるものだった。
 トップで2期目当選を飾った自民現職の谷川政人は「特に序盤は手応えがなく、正直なところ今回は駄目なのかとさえ思った」と吐露。前回選(2015年)に続き、1万票以上を獲得した共産現職の安藤晴美も「有権者の選挙への期待が薄いのではと感じる部分も多々あった」と語る。
 有権者の「選挙離れ」がますます顕著になり、上位当選した陣営でさえ難しい戦いを強いられた。その中で、独特の戦略が奏功したのが立憲民主新人の鶴賀谷貴だった。民主新人で出馬して落選した前回選より、3000票以上も伸ばし、立憲初の議席を獲得した。
 党県連が発足したのは昨年7月。本人が出馬表明したのも今年1月と、まさに短期決戦。2月には党本部から代表の枝野幸男、選挙戦では党代表代行で選対本部長の長妻昭がてこ入れに訪れた。後に続く弘前市議選と参院選の党公認候補予定者も積極的に街頭に立つなど“オール立憲”を前面に打ち出し、党の政策を明確に訴え続けた。
 県連レベルで初めて政策協定を結んだ社民の支援も後押し。非自民系元県議の支持者ら立憲の政策に共感する層も取り込み、自民批判票の受け皿になった。
 選対本部長で県連代表の山内崇は「県連設立以来、半年程度でよく議席を獲得できた」とし、鶴賀谷は「知名度不足に本当に苦労したが、選挙戦後半は日に日に立憲への期待を感じた」と語った。
 各陣営から驚きを持って受け止められたもう一つが、無所属の現職菊池勲の落選だ。若手経営者らに支持されて前評判も高く、トップ当選も有力視されていた。しかし、得票数を前回選より500票以上減らし、減り幅は全7陣営で最大。惨敗だった。
 陣営は前回選同様、支持を受ける企業回りを中心に選挙戦を展開。加えて今回は公明の推薦も受け、盤石の態勢で臨んだかに見えた。しかし、票の上積みにはつながらず、陣営関係者からは、推薦を受けたことで政党色が強まり、逆に票が離れた―といった指摘も出ている。
 陣営幹部は「(経済界の反応には)手応えを感じていたが、末端にまで支持を広げることができなかった」と悔やむ。
 弘前市で長年選挙活動に携わってきた関係者の一人は、近年の有権者について「“誰かに投票しよう”という明確な意識が薄くなっているようだ」と分析し、かつてより票読みが困難になっている―と強調。さらに「有権者に分かりやすく、明確な主張が求められている」とし、ターゲットを絞った選挙戦を展開する必要性を指摘した。
(本紙取材班、文中敬称略)

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五所川原市区・西郡区=2

2019/4/10 水曜日

 

7日夜、落選が濃厚となり渋い表情を見せる成田一憲陣営。自民県連筆頭副会長の落選は大きな衝撃だった

 「(選挙期間中は)自民党だけではいけないという声を多くいただいた」と振り返る国民民主元職の今博。“野党集結”を合言葉に社民党や連合青森などから推薦を受け、国民代表の玉木雄一郎や参院議員の田名部匡代らも支援に駆け付けた。結果、五所川原市区の「自民1強」に風穴を開け、8年ぶりの返り咲きを果たした。
 今は「自民県連筆頭副会長の成田(一憲)さんを破った意義は大きい。わが党が県民に定着していくことを期待したい」と力を込めた。
 その成田には、知事・三村申吾や中泊町長・濱舘豊光が街頭でマイクを握ったほか、前回選で同町から出馬した塚本悦子ら町議全員が支援に回った。しかし高齢多選批判などから票をまとめ切れず、議席を逃した。
 陣営は「地元では手応えもあったが、五所川原市の(候補者)3人が激戦で、票がこちらに流れなかった」と分析。小泊地区出身の前衆院議員升田世喜男が今を支援したことも挙げ「中泊から県議がいなくなってしまった。当選した3人には中泊にしっかり目を向けてほしい」と注文を付けた。
 自民現職の櫛引ユキ子と寺田達也は、昨年の五所川原市長選の“延長戦”を展開。櫛引には市長・佐々木孝昌や与党市議9人が応援に回り、寺田には野党市議12人が付いた。前回より約900票伸ばしてトップ当選を果たした櫛引陣営は「圧倒的勝利こそならなかったが、トップを取った意義はやはり大きい」と強調する。
 一方、「正直、落選という文字も浮かんだ」と相当の危機感で臨んだ寺田陣営。組織の引き締めを図って懸命に票固めに奔走した。得票数は前回選を下回ったものの「五所川原市での櫛引との差は約350票。市長選でわれわれが推薦した候補者と佐々木市長との票差(約650票)を考えれば、今後に希望が持てる数字」との認識を示した。
 「鯵ケ沢町の親分たちは、みんな向こう」。西郡区で5選を決めた自民現職の工藤兼光は、同町舞戸町の事務所で支持者らに感謝の言葉を述べた後、語気を強めた。「親分」とは、無所属新人の齋藤孝夫を支持した町長・平田衛や過半数に及ぶ町議、元県議の冨田重次郎ら町有力者を指すのは明らか。
 工藤、齋藤の一騎打ちは結果的に一昨年の町長選と同じ対立軸で、代理戦争の様相を呈した。工藤には深浦町長・吉田満や同町議の多くが支援に回った。
 最初に名乗りを挙げた前鯵ケ沢町議会議長の長谷川統一(のりかず)が急逝後、齋藤が出馬を表明。西郡区16年ぶりの選挙戦が確実視されると、工藤は歓迎しつつ危機感を募らせ、「これまで全力でやってきたので簡単に(県議職は)渡せない」と懸命に票固めに走った。同町とのねじれは今後も続くが「ねじれては住民サービスにつながらない。溝を深めず、こちらから出向き、話したい」と語った。
 齋藤陣営は工藤支持層が厚い深浦町の敗北は想定内とし、鯵ケ沢町での善戦で当選を見込んだが大差で敗北。有力支持者は「知名度のなさと出遅れが原因だ。町長票もだいぶ工藤に行った」と肩を落とした。
(文中敬称略)

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