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候補者の街頭演説に耳を傾ける町民。1人区の北郡、西郡、東郡はいずれも激戦となっている=鶴田町 |
自民党議員が独占してきた1人区の北郡、西郡、東郡。今回は各選挙区に自民系の新人が名乗りを上げ、現職との保守一騎打ちの激戦を繰り広げている。
【北郡】
定数1を2人で争う北郡区。板柳町を主な地盤とする自民現職の齊藤直飛人(43)と、鶴田町の無所属相川順子(61)は今回が3度目の顔合わせだが、一騎打ちは初めて。両陣営の多くが激戦と受け止めている。
齊藤は街頭でも「これまでで一番厳しい戦い」と語り、危機感をあらわにする。演説ではリンゴ黒星病対策やリンゴの国外輸出への取り組みなどを訴え、2期の実績と43歳という若さ、行動力をアピール。告示後には三村申吾知事も2度にわたって街頭でマイクを握り「政治は実際に行動に移すのが大事」と齊藤の実績を強調した。
一方の相川は「大きな組織の後ろ盾はない。草の根選挙で戦うしかない」と街頭演説を重ね、地道に票を掘り起こす構え。児童養護施設勤務や全国高校PTA連合会長の経験から「日本一子育てしやすい県に」と福祉や教育格差解消への取り組みを強調。聴衆には女性の姿も目立ち「男性の声も、女性の声も届ける」と訴える。
【西郡】
「鯵ケ沢町を制した方が勝つ」とされる西郡区。4期16年を務める自民現職工藤兼光(75)は高い知名度と自民の組織力を背景に選挙区内2町で安定した戦いを展開する。ただ、地元の鯵ケ沢町は同じく地盤とする無所属齋藤孝夫(65)と競合、町を二分する様相を呈するだけに、互いに警戒感を見せ、票固めに奔走する。
深浦町では、工藤の知名度と支援者の数が圧倒的だが、同町での知名度不足を自認する齋藤は人脈がある北部の北金ケ沢地区を中心に追い上げを見せる。
2人の支援体制はくっきりと分かれた。工藤陣営の応援には吉田満深浦町長と同町議の過半数が顔をそろえる。一方、齋藤陣営は平田衛鯵ケ沢町長と町政与党の町議が多数支持を表明している。
工藤陣営幹部は1人区で初の選挙戦だけに「手応えは悪くないが、両候補どちらも新人のようなもの。16年の実績を訴えていくだけだ」と語った。齋藤陣営幹部は「接戦までいけると思う。逆に向こう(工藤陣営)が焦っているのでは」と話した。
【東郡】
9期目を目指す自民党県連幹事長の現職神山久志(71)に、出馬表明により同党の除名処分を受けた新人福士直治(48)が挑む。16年ぶりの選挙戦は、選挙区内を二つに分ける激戦となっている。
神山側に外ケ浜、今別両町長、福士側には平内町長、蓬田村長がつき、町村議員も各町村内で二分。元首長らも対応が分かれている。選挙期間の折り返しの2日は終日、両候補とも地元を離れ、飛び地の大票田・平内町で終日奔走した。
第一声には党の国会議員、三村知事らが駆け付けた神山陣営。2日も神山は、産業振興の実績や太いパイプ、“働き盛り”を強調し「若い首長たちの成長を援護するため、もう1期頑張りたい」と声をからした。
福士の街頭にも支援する議員らがずらりと並ぶ。福士は1次産業振興や子育て支援を訴え「東郡と青森県は変革を求めている。今までと同じやり方では伸びない」と力を込め、若さとフットワークの軽さも訴えた。両陣営は実績や姿勢をめぐり応酬しており、舌戦は過熱している。
(文中敬称略)