挑戦!健康寿命 弘前大COIプロジェクト

 

企業の参画=2

2019/1/28 月曜日

 

弘大COI参加企業が連携してヒロロで行った健康イベント=2018年11月

 2019年1月27日現在、ライオンや花王など12の企業が弘前大学大学院医学研究科との共同研究・寄付講座を開設している。18年は特にカゴメ、クラシエホールディングス、テクノスルガ・ラボ、アツギ、ハウス食品グループ、明治安田生命保険相互会社と、日本を代表する大企業が続々と講座開設を表明し、話題を集めた。
 講座は「QOL推進医学」「健康と美」「未病科学研究」など、いずれもヘルスケア分野での成長を視野に入れたもので、各企業は一様に岩木健康増進プロジェクトのビッグデータに関心を寄せる。
 弘大で行われた講座開設式では、企業のトップが「(岩木ビッグデータのようなものは)世界中どこを見てもない。弘大と一緒に解析する機会は一番の魅力」とその価値と研究成果に期待した。
 健康寿命延伸が国の重要な政策課題となっている中、ヘルスケア産業の市場規模は拡大が予想され、運動、栄養管理、食、生活支援など多くの分野でビジネスチャンスも広がる。弘大COIによると、ヘルスケア産業の規模は、2030年に国内だけで37兆円規模にまでに成長すると言われているという。
 日本の大手企業出身の和田啓二・弘大COI社会実装副統括は「(参画する企業の)目的は一つ。健康寿命延伸、健康増進、ヘルスケア。これは青森だけでなく日本、世界の課題だ」とし、弘大COIへの参画企業の増加について「社会の課題を解決し得るビッグデータが求心力になっている。産学官民の真ん中に『学』があるからこそオープンイノベーションとクローズイノベーションが共存できる。こういう場所はなかなかない」と解説する。
 弘大COIという大きな枠から、参画企業間の連携も生まれた。昨年11月、通信教育大手のベネッセコーポレーションと地元企業のウェバランス、ヒロロが連携し、スタンプを集めながら大型商業施設ヒロロ内をウオーキングする健康イベント「Dr・中路の健康道場」がスタートした。
 短命県返上、健康寿命延伸に向け、健康に関心のない人を健康づくりにどう巻き込むかという視点で、ヘルスケアと教育の分野をリンクさせてイベント化した。当日の健康講話やウオーキング講座に加え、継続のため館内のQRコードを読み込むとウオーキングした日時や距離を記録できる仕組みをつくり、健康知識向上を狙って減塩や歯の健康などについて学ぶことのできる“教材”も開発した。
 中路重之弘大COI拠点長は「ヘルスリテラシーの向上なくして、健康寿命の延伸はない」とし、「多くの人が集まり健康知識を付けてもらい、同時に商業施設を活性化させ街をにぎやかにしたい」と趣旨を語る。
 2月9日、「楽しく体験型」をコンセプトに、ヒロロで第2弾のイベントが行われる。料理研究家の浜内千波さんのクッキング講座や企業ブース、健康グッズの“福袋”プレゼントなどの新企画で幅広い年齢層にアプローチする予定だ。
 ベネッセコーポレーション事業戦略本部事業戦略部の吉田富美子プロデューサーは「(弘大COIでは)ヘルスリテラシーを上げるための、子どもから大人までが分かりやすく学ぶことのできる教育プログラム開発が期待できる」とし、「実証実験が成功すれば、一つのパッケージとして全国展開の可能性もある」と、未病や病気予防の分野での新ビジネスを見据える。

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健康づくりリーダー=3

2019/1/29 火曜日

 

ひろさき健幸増進リーダー高橋さん(中央)によるいきいき教室。健康づくりは地域、職域、学校で広がっている=2018年12月

 弘前市内の静修会館で2018年12月、地域の人たちを対象とした「いきいき教室」が開かれた。笑い声が絶えない教室で「さあ、腕を真っすぐ上げて背筋をぐっと伸ばすよ」と軽快な口調で指導するのは、ひろさき健幸増進リーダーの高橋ゆみ子さん(65)だ。
 21年間、福祉分野に携わってきた高橋さんは、60歳で定年を迎えた後、健幸リーダーとして活動し始めた。「体操だけでなく、いろんな問題点を地域で解決する、その一員になりたい。何かあった時に心配し合える関係をつくりたい」と健幸リーダーの役割を語る。
 高橋さんは地元町会だけでなく、“ご縁”のあった地域で健康づくりの場を広げる。高齢者の独り暮らしが多い現状から、町内会と連携し、119番の仕方や救急対応など、生活に必要な情報も伝えている。
 弘前市と弘前大学は12年度、ひろさき健幸増進リーダーの育成を独自に開始した。市が弘大大学院医学研究科に設置した寄付講座「地域健康増進学講座」で約6カ月、健康概論や疾病、運動・健康管理などの講義や実習を受け、生活習慣と病の全体像をつかみ、知識の伝え方を学ぶ。6年間で累計184人を認定した。
 健幸リーダー育成に当初から関わる弘大社会医学講座の沢田かほり助教(35)は「短命県の原因は県民の健康リテラシーと健康意識の低さ。住民に近い存在がリーダーとして一人ひとりの意識に働き掛けていくことが重要」と指摘する。
 健幸リーダーによる17年度の普及活動は、13年度の約5倍となる997回で、参加者の延べ人数は2万人を超えた。これに加え、職域で活躍する健幸リーダーは、職場(北星交通、東北化学薬品、シバタ医理科、栄研など)で社員の健康づくりを提案し、働き盛り世代に働き掛けている。
 沢田助教は「リーダーによる市民への健康づくりの普及が進んでいる」と強調する。
 15年、市のバックアップを受け、リーダーが主体的に運営する「ひろさき健幸増進リーダー会」が発足した。月例会を開いて情報交換し、スキルアップを目指している。
 健幸リーダー1期生で、自身も積極的な活動を展開する八木橋喜代治会長(76)は「リーダーは運動が得意な人や老人クラブなどとの連携がうまい人などさまざま。得意分野を生かし多種多様な活動をしている」と話す。
 市健康づくり推進課は「リーダーと、市の健康づくりサポーター、食生活改善推進員、地域の保健師らとの連携で広がりが期待できる」と、地域で活動する健康づくりの担い手たちが連携する重要性を述べる。
 15年、県医師会による「健やか力推進センター」が開所し、健康づくりを広める“健康リーダー”育成は全県展開された。17年度は約100の小中学校で健康授業(教育)が行われ、県の健康経営認定制度では、認定企業が150社を超えている。県内の多くの市町村は「健康宣言」を実施し、首長が前面に立ち健康リーダーの育成や学校での健康教育強化、健診受診率向上などに取り組む。累計数は年度内に39市町村になる見込みだ。
 「自分も健康でいたいし、地域の人が一人でも長生きでき、一人でも楽しい老後を過ごすことができるように頑張りたい」と高橋さん。本県ではきょうも健康づくりのリーダーたちが地域、職域、学校で声を張り上げる。

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