黒石力その4年~検証・高樋市政~

 

2018/6/8 金曜日

 

 任期満了に伴う黒石市長選が17日に告示される。高樋市政の誕生から市政運営、財政はどう変化したのか。1期目4年間の歩みを検証する。

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財政安定の土台築く ~上~

 

鳴海前市長時代からの財政再建計画を継続する高樋市政。休館したままの市民文化会館の掲示板は、再開の時を静かに待つ

 「黒石市はお金がないから…」。財政難から〝第二の夕張市〟と揶揄(やゆ)され、市民文化会館の休館をはじめ街中に空き店舗が目立つ黒石市。市民や職員は、よく自嘲気味にそう漏らす。
 2014年、高樋憲氏は「市民が失った自信と誇りを取り戻す」と、県議を辞して市長選に出馬。当時、市では鳴海広道市長の下、徹底した歳出削減で財政再建が目指され、高樋氏は鳴海市政継承を宣言、鳴海市長の支持を得て、政争なき市長交代を果たした。
 鳴海市政時代は、市民文化会館の休館をはじめ、純銀・純金こけしの売却など、あらゆる手を尽くし赤字経営からの脱却に注力し、10年以上かけて財政再建への筋道がつくり上げられた。その道中は市民生活へ負担をかけるものとなったが、同時に健全化への光が見え始めていたのも事実だ。
 その折の市長交代。失敗が許されないバトンを託された高樋氏だが、すぐに壁が立ちはだかることになった。
 全会計黒字化が最優先課題である高樋市政初の予算編成となった15年度は、歳出超過により財政調整基金を取り崩した結果、残高はわずか700万円に。除雪対策など緊急の追加案件が生じた場合、対応できない危険性をはらんだ極めて厳しい財政運営を強いられる結果となった。
 注目された〝高樋カラー〟を打ち出す新規事業も、財政難の中では華々しく行うこともできず、予算額が数十万円の少額なものにとどまった。
 さらに同年度決算時には、医師の退職などで黒石病院事業会計が赤字決算となり、事業会計すべてでの黒字化は達成ならず。高樋市政最初の予算編成は、厳しい船出を余儀なくされた。
 緊縮型財政を敷き、堅実な財政の回復を図ってきた高樋市政だが、終始守りに徹していた訳ではない。
 自身や職員の給与削減、予算要求基準目標の前年度比3%減を実施。緊縮型でも効果のある事業を厳選し、16年度には5年ぶりに財調を取り崩さない予算編成を実現した。また、17年度決算では、枯渇寸前だった財調を7億5000万円にまで回復させ、着実に財政の安定化の土台を築いてきた。
 中心市街地に廃虚となってたたずむ大黒デパートの跡地問題、市民文化会館の休止、市庁舎の耐震問題など、市が抱える課題は多く、特に多額の予算が必要な〝箱物〟に絡んだ懸案は山積みだ。
 その諸課題に関しても、限られた予算の中で少しずつ取り組みを進めてきた。大黒デパートの跡地問題対策や空き店舗対策としての中心市街地活性化基本計画の策定作業を進めているほか、雇用対策としての黒石インターチェンジを活用したロジスティクス戦略、新たな特産品開発としてのムツニシキ研究などが動きだしている。
 高樋市政1期目は農業で例えると、種まきの時期と言える。今後取り組みが形として表れるには短くない時間を要するが、種の芽が出て花が咲くかは〝次の4年〟で問われることになる。

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地域の活力引き出す~下・完~

2018/6/9 土曜日

 

地域コミュニティー、人、土地…。黒石の資源を活用した〝高樋カラー〟の事業を展開し〝黒石力〟向上を目指した

 〝黒石力(コミュニティー力)〟。高樋憲氏が就任当初から掲げてきた言葉だ。10の地区協議会が独自の地域コミュニティーを形成する黒石市。〝高樋カラー〟の政策の多くは、黒石ならではのこの特徴を生かした街づくりを土台としている。
 政治の基本姿勢も「市民との対話」を貫く。就任直後から地区協議会との意見交換会を開催する他、地区の総会や運動会などに積極的に顔を出し、市民の生の声に耳を傾けるとともに市の目指す方向性を浸透させることに心を砕いてきた。
 高樋氏が黒石力結集の先に目指したのは、各地区協議会への〝小さな市役所〟機能の付与。地区協議会という単位で自立を促し、共助精神や郷土愛の醸成、地域活性化につなげようとするものだ。
 その一歩として、2017年には独り暮らし高齢者の見守り事業の委託先を宅配業者から地区協議会に転換。住民同士の交流の他、市の財政の一部を委託金として地区に配分することも合わせ、自立への布石を打った。
 「人口減少のために対策を練るのではなく、資源、人、土地を有効に活用しながら黒石のあるべき姿に向かって政策を立案する必要がある」と話す高樋氏。政策立案にはいつも〝あるもの生かし〟の精神が根底にあった。
 祖父・竹次郎元市長の残した功績を継承、発展させた事業も展開する。竹次郎元市長が提唱した「田園観光都市」を礎に、里山を活用した6次産業にバイオマス産業の育成を加えて雇用などを創出する「田園観光産業都市」を提唱。
 その他にも、竹次郎元市長が実現させた東北自動車道黒石インターチェンジを活用したロジスティクス戦略を始動。インターチェンジ付近の土地を民間企業の物流拠点にし、雇用創出を目指すもので、すでに民間企業が名乗りを上げ、具体的に動き出している。
 黒石市の事業展開にはいつも財政難の三文字がつきまとう。多額の予算を投入する事業展開が難しい分、話題性で勝負を仕掛けることも。県内初の制定となった「地酒による乾杯を推奨する条例」「手話言語条例」もその一例といえる。
 「掲げてきた公約に取り組むことができた。基金も増え、投資的な部分にも着手できるようになった」とこの1期4年間を振り返る高氏。
 黒石市の諸課題に対する〝種〟はまいたとするが、特に市民から再開の要望がある市民文化会館や設置を求める市立図書館、旧大黒デパートの跡地問題などハード面に関する事業はまだ形として見えるものがなく、市民からは「箱物を将来どうするのか先の見えない回答で、パワーが足りない」と取り組み不足を指摘する声も上がる。
 堅実な予算編成で健全化に向け財政を安定的な軌道に乗せた高市政だが、その財政難に足を引っ張られたのも事実。地域活性化の実感に結び付いたというところまでは行かず、物足りなさを感じた市民も少なくない。
 高樋氏は1期目を「黒石市の歩むべき姿が見えてきた」と評する。持続可能な黒石市の将来に向けて舵(かじ)を切った4年間だが、課題解決への道のりはまだ遠い。

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