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公示翌日の11日、3候補は雨が降りしきる下北地域にいた。区割りの改定で新たに選挙区に加わったむつ市は青森市に次ぐ票田。3候補とも選挙戦開始直後から足を踏み入れ、支持拡大に奔走した。
自民前職の津島淳候補(51)は公示日の10日、他候補に先駆けてむつ市入り。11日にかけて大間町や東通村、風間浦村などくまなく回った。政策を訴えた後、一段と声に熱を込めて「よろしくお願いします」と繰り返し、深々と一礼。すぐさま雨の中を
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右から津島淳候補、赤平勇人候補、升田世喜男候補 |
長靴で走り回り、街頭の聴衆一人一人と握手を交わした。
選挙区の定数1減による候補者調整のさなかに決まった解散。津島氏は「周回遅れの認識がある中、それを覆せたぐらいの手応えは感じている。でも挽回し切れていない」と危機感を募らせ、有権者に「実物の自分を見せる必要がある」と積極的に街頭に立つ。
街頭には前回選まで同地域が選挙区だった党県連会長の江渡聡徳氏をはじめ首長、多くの地方議 員の姿も。陣営幹部は「組織が固まり、ようやくスタート台に立った。これからが戦い」と気を引き締め、津島候補も「より気持ちを高ぶらせて熱く訴え、支持を広げたい」と意気込んだ。
共産新人の赤平勇人候補(27)は6月から各地で街頭活動を行ってきたが、解散風が吹いて以降、むつ市に入るのは11日が初めて。若者の働き方や子育てに関する思いを、同世代の立場から自らの経験も交えて訴える。
陣営幹部は「演説が評判になっている。『比例は共産党へ』という声が立場を越えてきている」と語る。
昨年の参院選同様、9月末までは民進、社民両党と共闘に向けた協議が進み「本当に出馬するのか分からなかった」(党関係者)ため、これまでの活動は青森市中心だったが、11日は同市浪岡地区を回った後にむつ市へ。自民、希望との対決軸をアピール、安全保障関連法と憲法改正反対票の取り込みを図る。
比例票上積みに向けた訴えも重視。赤平候補は「(共産の)市議の地元は多くの人が集まってくれる」と手応えを実感。他候補に比べ大票田での活動は一歩遅れた格好だが「まだまだこれから」と闘志を燃やした。
「2日目なのにこんな声になってしまいました」。11日夕、朝から続く雨の中で街頭演説を繰り返した希望前職の升田世喜男候補(60)。最後にむつ市の「むつ来さまい館」での演説会に登壇、苦笑いをしながら語った。
マイクを握れば熱が入る。同日はむつ・下北地域の7カ所で街頭演説の合間に辻立ちを入れ、公示後2日でかすれ声に。「政治の流れを変えるチャンスの選挙にしたい」とかれた声を絞り出した。
陣営は新たに選挙区に加わった同地域を重視。解散後の9月29日にすぐ現地に入り、公示後も11日から2日かけて集中的な活動を展開した。同地域の後援会幹部は「むつ地域の戦いが勝負の雌雄を決する」と意気込む。
ただ下北地域は自民党の牙城でもある。別の後援会幹部は「厳しい状況だが6対4のラインまで引き上げられればいい勝負になる」と語り、昨年の参院選同様“口こみと足”で地道な活動を展開するしかない―とした。