県立高校再編~少子化社会での在り方~

 

2017/6/18 日曜日

 

 県教委が示した県立高校再編に関する第1期実施計画案(2018~22年度)に関し、県民に説明し意見を募る地区懇談会は当初予定していたスケジュールを終えた。津軽地方では、統廃合の対象となった高校のある地域を中心に計画案の見直しを求める声が相次いでいる。

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西北地区統合は「将来に影響」=上

 

金木高校を応援する会は金木高校の存続を求めて署名活動を行い、地区住民数を上回る数の署名が集まった

 西北地区では金木、鶴田、板柳、五所川原工業の4校を統合し、五所川原工業の校舎に普通科(2学級)と工業科(3学級)から成る高校を新設する方針が盛り込まれている。17年の各高校の第1次志望倍率は金木が0・64倍、板柳が0・81倍、鶴田が0・87倍。定員割れが続いていることなどから、県立高校の半数以上が小規模校の西北地区では、さらなる小規模校化に歯止めをかけ、一定規模の学校配置とする狙いもある。
 県教委は学校規模について弘前、青森、八戸の3市では6学級以上、その他の地域では4学級以上が望ましいとしている。小規模校では教員の確保が難しく開設可能な教科が限られること、学校行事や部活動などの活動が困難なことなどを理由に挙げる。
 一方で教育行政に詳しい青森中央学院大学の高橋興教授は「学校は地域社会の核。町から学校がなくなることで、人口流出が懸念される」と警鐘を鳴らす。高校や大学への進学を機に生まれ育った地域を出て行く若者も多く、本県は転出者数が転入者数を上回る状況だ。板柳高校を卒業した板柳町の男性(50)は「子どもが少なくなったから学校を減らすというのは短絡的では。町に学校があるのとないのとでは、活気が全然違う。町の将来にも大きく影響が出る」と危機感を示す。

 金木、鶴田、板柳の3校は周辺市町村からの入学者数が半数近くを占める。高校がなくなる地域では生徒と保護者の時間的・経済的な負担増加が避けられず、県教委が県内各地で行った地区懇談会では、地域住民からスクールバスの整備や経済的な補助を求める声も多く上がった。
 郡部の学校は地域のイベントやボランティアに積極的に参加するなど、地域と密接した活動をしていることが多く、地区には欠かせない存在だ。
 鶴田高校同窓会の花田正逸会長は「鶴田高校は手作りのねぶた運行をし、よさこいソーランで盛り上げるなど地域と一体となって祭りを楽しんだり、国際交流も盛んに行ったりしている。住民の愛着は非常に強い。市から郡部に人が来るような政策に取り組んでほしい」と話す。

 統合の対象とされた高校では存続を目指した動きが活発化してる。西北地区の統合対象となっている4校の関係者からは、各校の存続や計画案の見直しを求める意見書や要望書が県教委に相次いで提出された。
 金木高校の存続を訴え活動する「金木高校を応援する会」は存続を望む1万人余りの署名を県教委に提出。同会の発起人の1人である斎藤真紀子さんは「大きな地域に大きな学校を―ということではなく、小さくても教育資源の豊富な場所で学ぶということも子どもたちの選択肢として考えてほしい」と存続を訴える。

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中南地区 多様な育成に懸念も=下・完

2017/6/19 月曜日

 

黒石市で開かれた地区懇談会には約65人の住民が参加。計画の見直しを求める声が相次いだ

 中南地区では黒石高校と黒石商業高校を統合し、黒石高校の校舎に普通科(3学級)、情報デザイン科、看護科の5学級からなる高校を置くことが、県教委が示す県立高校再編に関する第1期実施計画案(2018~22年度)に盛り込まれている。このほか弘前工業高校のインテリア科を建築科に統合、弘前実業高校の農業経営科を募集停止、柏木農業高校に集約する。この地区で学級減の対象となっているのはいずれも専門学科だ。
 第1期実施計画の策定に当たり県立高校の在り方を協議した「県立高校将来構想検討会議」の答申にもあるように、県教委では同一地区の同学科は一つに集約する形で対応している。黒石市で開かれた地区懇談会では「商業科などの専門学科の希望者が減っているのか」との質問が上がり、県教委は「他地区と比べて従来から県立高校の普通科の割合が低く、普通科の割合を高めてほしいという市町村や学校関係者等からの要望もあったことから現在の案を示した」と説明した。
 黒石高校の校舎に新設する中南地区の統合校は、学科で見ると実質的には黒石高校の学科はそのままに、黒石商業高校の商業学科のみを3学級減らし、1学級残すという形になっている。
 県教委は黒石市の中学校卒業者の5~6割が市外の高校に進学していることや、08~17年度の第3次計画で中南地区11学級減のうち同市は1学級のみにとどめたこと、学科により定員割れが生じている年度もあるとして理解を求めている。
 長年、黒石商業高校に勤務したという男性は「開校以来資格習得に力を入れ、芯のしっかりした人材育成に取り組んだ地域社会にとってはなくてはならない学校。生徒数の減少で学校規模を維持するためというのは理解できるが、驚きと落胆を隠せない」と話す。
 また同校PTA会長を経験した男性(55)も「弘前を中心に考えられた計画案で、黒石の高校だけに集中しているという印象。黒石は青森市浪岡地区からも近いし、実際にこの地区から来ている生徒もたくさんいる。もっと広い目でみて考えてほしい」と訴える。
 「全国でも有数のリンゴ農家が集まる弘前市からなぜ農業科がなくなるのか」。そう話すのは弘前実業高校農業経営科を卒業した男性だ。
 弘前市は全国市町村別農業産出額で9位を誇る農業地帯。リンゴの生産量全国1位の本県の中でも、全国のリンゴ生産量約2割を占める中弘地区から農業科をなくすことに市民やリンゴ生産者らから疑問の声が上がっている。実際に同科の人気は高く、第1次調査での志望倍率は17年度は1・70倍、16年度は2・23倍と高倍率を保つ。
 同高校の元PTA会長で現在は後援会の理事を務める金田実さん(45)は「農業の盛んな弘前市新和地区や三和地区などでは、親の姿を見て農業をやりたいと思う子どもたちも多いが、柏木農業高校も五所川原農林高校も遠く、交通の便からも選択肢にないのが現状」と指摘。「農業の担い手不足と言われる中でさらに拍車が掛かることになりかねない。むしろあえて農業科を増やすことを考えても良いのではとも思う」と第1次産業の衰退を危惧する。

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