昨年7月にオープンしたつがる市立図書館。集客力の高い大型商業施設内に設置し、市の新たな魅力として注目されている

 “気軽さ”を売りに、つがる市で最も集客力の高い大型商業施設に設置する新たなスタイルが話題となった市立図書館。開館から半年余りで年間目標の20万人を突破し、福島弘芳市長は「喜びと同時に予想を上回る来館者数に驚いた。西北地域においても大切な役割を担う施設と実感している」と自信をにじませさらなる地域活性化への役割に期待した。
 これまで県内10市の中でも市立図書館がない自治体は同市を含めわずか2市のみで、市民待望の施設だった。
 民間の集客力を生かし、官民が連携することで、コストを抑制。設置を要望していた市議の1人は「図書館は文化のバロメーターであり、人を育てる。設置は遅かったが誇れるものができた」と市長の決断を評価する。
 同図書館は昨年7月、同市のイオンモールつがる柏別館1階にオープン。カフェを併設し、営業時間は仕事終わりの買い物ついでに利用できる午後8時まで。開館から約2カ月で10万人を達成、懸念されていた冬場の入館者数も順調で平日500人、土日は1500人のペースを保つ。教育関係者や自治体のまちづくり担当者らが視察に訪れ、県内外からの注目度も高い。
 各地で中心市街地の空洞化が課題となる中、開館式に出席した村上教行イオンモール会長は「地方の中のコミュニティーの場として地域になくてはならない商業施設になるため、さらに生まれ変わっていくことが大切だ」と意欲を語った。
 地域活性化の核となる施設づくりは前進したが、一方で、市の活力の源となる“人”は先細る。同市は県内10市で人口減少率が最も高い状況にある。
 福島市長は「人口減少対策は非常に難しい」と述べつつ、子育てや定住、結婚支援といった施策を展開。中でも「市民が住み続けたいと思えるまちづくりを目指す」として、福祉政策に重点を置き、市民の“引き止め”を図ってきた。
 子育て環境の充実もこの一環で、2008年度から妊婦健診費、11年度からは中学生以下の医療費の無料化を実現。子育て世帯から歓迎の声が上がるが、地方で加速する少子高齢化の波は止めきれてはいないのが現状だ。
 市財政に目を移すと、同市では使い方の自由度が高い財政調整基金などの基金を70億円近く確保する。「これは奇跡に近い」と市幹部は胸を張る。安定した財政の基盤を築いてきたのは、地方自治体の厳しい財政環境の中でも、国の施策に歩調を合わせ合併特例債過疎債など有利な財源を活用したから。大規模事業も計画的に展開する福島市長の堅実な市政運営がなせる技だろう。
 ただ、米軍の「Xバンドレーダー」が同市車力地区に配備されたことに伴う国の米軍再編交付金は10年目を迎えた今年度で終了する。人口減などを背景に自主財源を増額させる手だても先が見えない。こうした中で、際立つ魅力をつくり、移り住みたい、住み続けたいまちづくりをどう展開していくのか、リーダーの手腕が問われている。