創生への道 人口減少時代を生きる 〈第1部〉

 

定時制高校=4

2017/1/5 木曜日

 

竹ケ原さん(左から2人目)らが仲間と過ごす市浦分校の放課後

 定時制高校に通う生徒たちにはさまざまな環境、生活があり、通うことになった経緯も多岐にわたる。昔に比べ、働きながら学ぶ生徒は少なくなったが、生徒の多様性を受け入れる場所としても重要性を増している。
 昨年10月、尾上総合高校で第66回県高校定時制通信制生徒生活体験発表大会が開かれた。ある女子生徒は家庭環境の変化に伴い中学校で不登校になったが、定時制高校の存在を知って進学。「同じような経験の人が多く、分かり合えた」と高校生活を振り返る。
 別の男子生徒は専門課程の高校に通っていたが「気付けば、自分と周囲の生徒との間に温度差ができていた」。不登校後は周囲の励ましで定時制高校でのやり直しを決めた。「いろいろなものを失ったが、それを補えるくらい可能性を見つけた」と定時制に感謝の言葉を述べる。
 一方で、少子化に伴い県内定時制高校の在り方が見直されている。津軽地域ではこれまで、弘前中央高校定時制と黒石高校定時制が閉課程となった。
 五所川原市の県立金木高校市浦分校(昼間定時制)は2017年度末の閉校が決まった。1年生が現在いないため、当初予定の18年度末閉校を早めた。
 もともとは1953年、地域の子どもたちに高校教育を受ける機会を増やそうと旧相内村が独自に設置。現在は市が施設を管理運営し、県費で教職員派遣を受けている。
 生徒数は2年生9人、3年生4人と小規模だが、白濱卯教頭は「心にハンディキャップ的な部分を抱える生徒たちの、受け皿としての側面がある」と、同校が果たしてきた役割を指摘する。
 生徒数が少ないからこそ、生徒一人ひとりと向き合う時間は濃密だ。「ここで学ぶ生徒は、不登校時代などの失われた時間を取り戻すように急激に成長する」と白濱教頭。「管理職となる前にここへ赴任し、もっと思い切り生徒たちと向き合ってみたかった」と笑う
 中学生時代に不登校だった同校2年竹ケ原藍花さん(17)は「市浦分校に来て、学校での学びが楽しいと思えるようになった」と話す。地元十和田市から親元を離れ、下宿しながら通学する生徒だ。
 新しい環境で高校生活を送りたい―と決心し、海と山に囲まれた市浦分校の環境に心引かれて入学。「昔は先生は『先生目線』でしか向き合ってくれないと思っていたが、ここでは先生が『生徒目線』にもなってくれる」と話し、「市浦分校がなかったら自分がどうなっていたか想像できない」と苦笑する。
 開校から60年余り経て、巣立った卒業生は400人余り。白濱教頭は「400人が多いか少ないかでいえば、多くないだろう」としつつ、「市浦分校がなければ高校教育を受けられなかった生徒が400人いたかもしれないと考えると、設置した地元を誇りに思っていい」と話す。
 少子化に伴う定時制高校の在り方を見直す流れは、やむを得ない。しかし、全日制と異なる形で多様な生徒を受け入れる定時制の可能性をいかに残すか、改めて考える必要性はありそうだ。

∆ページの先頭へ

児童のスポーツ活動=5

2017/1/6 金曜日

 

和徳小学校で室内練習に励む時敏レッドデビルズの選手たち=2016年11月

 進む少子化に、弘前市内の児童のスポーツ活動も影響から逃れられない。市内の学校やスポーツ少年団の中には、子どもの数が足りないため、サッカーや野球など団体競技のチームが組めない、あるいは子どもたちが挑戦できる種目が制限されてしまうといった問題が起こっている。現状打開へ必要な方策は何か。市や関係団体は連携しながら模索している。
 市内のスポーツ少年団の団数と団員数は年々減少している。市スポーツ少年団本部によると、2008~16年度までの9年間で87団体あった団体数は73団体に、団員数は2912人から1562人まで減少した。特に15~16年度にかけては、団員数の減少に伴い、卓球や野球、ミニバスケットボール競技などで合同チームが増えたため、一気に9団体も減った。

 同市の少年野球チーム時敏レッドデビルズは、選手の人数不足を受け15年に時敏小と和徳小の児童で構成する合同チームとなった。久保嘉広監督は「人数不足で学童野球新人戦への出場が危ぶまれたが、合同チームになったことにより無事出場できた」と安(あん)堵(ど)の表情を浮かべる。「選手数が増え、低学年を対象としたさまざまな大会にも出られるようになった。子どもたちと保護者のモチベーションがとても上がった」と合同チームを好意的に受け止めている。
 だが、合同チームがいいことずくめというわけでもない。父母会会員の1人としてチームを支える松枝泉さん(46)は「合同チームになり、練習場所が増えたことで送迎が必要になった。息子以外の選手を車に乗せることは、より重い責任も生じるため、最初は少し戸惑いもあった」と保護者の負担について指摘する。それでも「選手たちの練習環境を整えるためには保護者同士が協力しなければならない。それに、父母会の人数が増えたことで役割分担しながらチーム運営ができるようになった」と運営面でのメリットも実感している。
 同チームでショートを守る和徳小3年の蝦名翔人君(9)は「合同チームになる前は同期の選手が1人しかいなくて寂しかったし、人数不足で試合に出られないんじゃないかという不安があった。でも今はそんな心配はないし、先輩から上手なプレーを学べてうれしい」と笑う。

 このように合同チームになることで選手や保護者らにとって良い環境を構築できた例もあるが、選手不足に悩むチームも少なくない。総合型地域スポーツクラブとして活動しているNPO法人スポネット弘前(鹿内葵理事長)は、そのような環境で悩みを抱えた子どもの受け皿となっている。選手不足で公式戦に出られないにもかかわらず、保護者同士の意見の不一致などで近隣チームとの統合もできないスポーツ少年団に所属していたり、自分の通う学校にやりたい競技のチームが存在しないなど、悩みはさまざまだ。
 同法人は、河西地区を中心とした小学校で週1回、放課後スポーツゲンキッズ教室を開いている。小学校の体育館に児童を集め、人数不足で普段は行うことのできないバスケットボールやバレーボールなど多彩なスポーツを楽しむものだ。
 鹿内理事長は「スポーツの楽しさに触れられる子どもたちが少しでも増えるよう支援していきたい」と意欲を示し「現在存在する地域スポーツクラブやスポーツ少年団だけで児童のスポーツ活動を支えるには限界がある。自治体や学校、地域住民らが一体となって、問題解決に取り組んでいかなければならない」と訴える。

∆ページの先頭へ

Page: 1 2 3 4

当サイトでは一部、Adobe Flash・PDFファイルを使用しております。閲覧にはAdobe Flash Player・Adobe Acrobat Readerが必要です。最新のプラグインはアドビ社のサイトより無料でダウンロード可能です。

  • Adobe Flash Player ダウンロードセンター
  • Adobe - Adobe Reader ダウンロード