創生への道 人口減少時代を生きる 〈第1部〉

 

児童のスポーツ活動=5

2017/1/6 金曜日

 

和徳小学校で室内練習に励む時敏レッドデビルズの選手たち=2016年11月

 進む少子化に、弘前市内の児童のスポーツ活動も影響から逃れられない。市内の学校やスポーツ少年団の中には、子どもの数が足りないため、サッカーや野球など団体競技のチームが組めない、あるいは子どもたちが挑戦できる種目が制限されてしまうといった問題が起こっている。現状打開へ必要な方策は何か。市や関係団体は連携しながら模索している。
 市内のスポーツ少年団の団数と団員数は年々減少している。市スポーツ少年団本部によると、2008~16年度までの9年間で87団体あった団体数は73団体に、団員数は2912人から1562人まで減少した。特に15~16年度にかけては、団員数の減少に伴い、卓球や野球、ミニバスケットボール競技などで合同チームが増えたため、一気に9団体も減った。

 同市の少年野球チーム時敏レッドデビルズは、選手の人数不足を受け15年に時敏小と和徳小の児童で構成する合同チームとなった。久保嘉広監督は「人数不足で学童野球新人戦への出場が危ぶまれたが、合同チームになったことにより無事出場できた」と安(あん)堵(ど)の表情を浮かべる。「選手数が増え、低学年を対象としたさまざまな大会にも出られるようになった。子どもたちと保護者のモチベーションがとても上がった」と合同チームを好意的に受け止めている。
 だが、合同チームがいいことずくめというわけでもない。父母会会員の1人としてチームを支える松枝泉さん(46)は「合同チームになり、練習場所が増えたことで送迎が必要になった。息子以外の選手を車に乗せることは、より重い責任も生じるため、最初は少し戸惑いもあった」と保護者の負担について指摘する。それでも「選手たちの練習環境を整えるためには保護者同士が協力しなければならない。それに、父母会の人数が増えたことで役割分担しながらチーム運営ができるようになった」と運営面でのメリットも実感している。
 同チームでショートを守る和徳小3年の蝦名翔人君(9)は「合同チームになる前は同期の選手が1人しかいなくて寂しかったし、人数不足で試合に出られないんじゃないかという不安があった。でも今はそんな心配はないし、先輩から上手なプレーを学べてうれしい」と笑う。

 このように合同チームになることで選手や保護者らにとって良い環境を構築できた例もあるが、選手不足に悩むチームも少なくない。総合型地域スポーツクラブとして活動しているNPO法人スポネット弘前(鹿内葵理事長)は、そのような環境で悩みを抱えた子どもの受け皿となっている。選手不足で公式戦に出られないにもかかわらず、保護者同士の意見の不一致などで近隣チームとの統合もできないスポーツ少年団に所属していたり、自分の通う学校にやりたい競技のチームが存在しないなど、悩みはさまざまだ。
 同法人は、河西地区を中心とした小学校で週1回、放課後スポーツゲンキッズ教室を開いている。小学校の体育館に児童を集め、人数不足で普段は行うことのできないバスケットボールやバレーボールなど多彩なスポーツを楽しむものだ。
 鹿内理事長は「スポーツの楽しさに触れられる子どもたちが少しでも増えるよう支援していきたい」と意欲を示し「現在存在する地域スポーツクラブやスポーツ少年団だけで児童のスポーツ活動を支えるには限界がある。自治体や学校、地域住民らが一体となって、問題解決に取り組んでいかなければならない」と訴える。

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増えるスポーツ“連合”=6・完

2017/1/7 土曜日

 

室内練習場でトスバッティングに励む鶴田高野球部員。指導者らは人数が少なくても試合に出たいという思いをかなえてやりたいと力を込める

 少子化に伴い、県内の高校や中学スポーツでは野球やソフトボールなどの団体競技で連合チームによる出場が増えている。特に西北五地域では顕著で、部員不足により休部状態となっている部活も少なくない。関係者は「スポーツをやりたい子どもたちの望みをできるだけかなえさせてやりたい」と話す。
 10校が県高校野球連盟に加盟している五所川原地区。昨年の秋季地区大会では半分の5校が部員不足のため、鶴田高、鯵ケ沢高、木造高深浦校舎の3校と金木高、板柳高の2校がそれぞれ連合チームとして出場した。
 鶴田高の平山智順監督は「平日は合同練習ができず、移動時間がかかるので土日も限られた時間しかできない」と苦労を話す。それでも工夫を凝らして練習を重ね、昨春は金木高との連合チームで県大会出場を果たした。
 「合同の全校応援など、これまでにない学校同士での交流ができた。とても貴重な経験になっている」と振り返る平山監督。現在の部員は1年2人、2年3人の計5人。吉﨑海斗主将(2年)は「単独出場したいが現状では厳しい。昨年の経験を生かし、勝てるよう練習に励みたい」と話す。
 昨春の時点で部員が6人だった鯵ケ沢高は、夏の甲子園予選では木造高深浦校舎との連合チームで出場した。工藤恭一監督は「生徒減少は避けられない事実。来年度以降も覚悟しないといけない」と話す。藤木直人主将(2年)は「週1、2回の合同練習ではサインプレーの確認がなかなかできない」としながら「連合でも試合に出られるうれしさの方が大きい。この冬しっかりと力を付けたい」と練習に励む。
 スポーツの世界では有望な選手が実力校へ進学することが多い。両監督は「町村部の子どもたちはスポーツができなくなってしまうのではないかと不安。人数が少なくても、野球がしたいという生徒を何とか試合に出させてやりたい」と話す。
 少子化の波は中学校にも押し寄せている。北五地区では昨秋の大会の野球競技で小泊中、市浦中、五所川原第四中の3校が連合チームを組んだ。また部員減少により北五地区と西つがる地区の中学校体育大会では、陸上、水泳、相撲、サッカー、バドミントン、柔道、剣道で合同開催を実施しており、新年度からはバスケットボールも合同開催になるという。
 北五中学校体育連盟会長の新潟春夫板柳中学校長は「両地区の試合を見ることで選手の刺激になるし、選手や保護者との交流にもつながっている。経費も抑えられ、合同開催は悪いことではない」としながらも「バスケットボールまで合同開催になるとは思ってもいなかった」と驚く。
 「中学校では、部員が足りないチーム同士でないと連合を組めないため、1校だけ出られないという状況も出てくる」と新潟会長。「部員がいないため、やりたい競技を断念するケースも出てくる。人数のいる学校やある程度裕福な家庭でないとスポーツができなくなってしまう可能性がある」と危惧する。
 このままでは少子化が右肩下がりで続いていく。新潟会長は「今後は中体連という枠組みを超えた考えも必要となってくる。子どもたちの笑顔のため、地域ぐるみで何ができるか考えていかないといけない」と力を込めた。

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