創生への道 人口減少時代を生きる プロローグ

 

2016/12/24 土曜日

 

 少子高齢化などの進展により人口減少の局面にある日本。その影響は地方において色濃く、教育、産業、地域・コミュニティーなどさまざまな分野で人口減少時代に向けた見直し、対策が迫られている。本紙は新年から企画「創生への道 人口減少時代を生きる」を随時、掲載。地方衰退が叫ばれる中、新たな「創生の道」を探る取り組みや人々の活動を取り上げる。そのプロローグとして、3回にわたり、本県の人口減少社会の現状を紹介する。

∆ページの先頭へ

本県人口の推移=上

 

 県統計分析課がまとめた本県推計人口(国勢調査人口確定値含む)によると、本県人口がピークに達したのは1985年10月1日現在の152万4448人(男73万1439人、女79万3009人)。その後、人口は減り続け現在は既に130万人を割り込み、2040年には100万人を下回るというデータもある。果たして将来の本県人口はどうなるのか―。
 県は15年8月、合計特殊出生率を40年に2・07まで上昇させるなどし、減り続ける本県人口を約80万人規模で安定させることを目指す―とした県総合戦略と長期人口ビジョンを取りまとめた。
 そこに紹介された本県人口の将来展望は、国立社会保障・人口問題研究所の推計で、人口減少に対して何も手を打たない場合、40年に100万人を、2100年には30万人を割る、というものだった。「80万人規模で安定」とは、ビジョンに盛り込んだ▽若い世代の結婚・妊娠・出産・子育ての希望の実現▽健康長寿県の実現▽魅力あふれるしごとづくり▽住んでよしの青森県づくり―の方向性に基づく対策を実施した場合の目標値だ。
 本県人口は、ピークの1985年から5年後、90年の国勢調査で148万2873人(男70万6758人、女77万8115人)となり、既に150万人を割っていた。人口の右肩下がりは止まらず、2010年には137万3339人(男64万6141人、女72万7198人)。今年4月1日には、ついに130万人を割った。これ以降も本県人口は1カ月当たり数百人から約900人という範囲で減少を続けている。
 本県人口を年少(0~14歳)、生産年齢(15~64歳)、老年(65歳以上)別に見ると、人口減少と並行して少子高齢化も進行している様子が分かる。
 国勢調査の3区分人口・人口割合の推移によると、平均年齢が男女とも40歳余りだった大正期は全人口に占める老年人口の割合はわずか約4%、対して年少人口40%台、生産年齢人口50%台だった。その後、年少人口は35年の41・6%をピークに微減を続け、生産年齢、老年両人口は微増傾向に。その結果、1985年には老年人口の割合が10%を突破。この時点で年少人口は22・2%にまで落ち込んでいた。
 2000年には老年人口が年少人口の割合を逆転。直近の15年では年少11・4%、生産年齢58・4%、老年30・1%と典型的な少子高齢化の構図を示している。
 県企画調整課の担当者は「対策を講じたとしても、効果が出るまで時間がかかる。当面の人口減は避けられない」と語った。

∆ページの先頭へ

産業への影響=中

2016/12/25 日曜日

 

 人口減少に伴う課題は多岐にわたるが、最も影響を受けるのは地域産業だ。本県の基幹産業である農業は産出額が増加傾向にあるものの、就農者の減少に歯止めがかからない。一方、地域の小売業を支えてきた商店街も郊外型大規模店との競争、後継者不足など厳しい状況が続いている。
 国の「農林業センサス」によると、2015年の本県の農業就業人口は6万4746人で、前回(2010年)から1万5737人(19・6%)減少。20年前の1995年比では、約5万5000人も落ち込んだ。
 年齢階層別にみると、65歳以上が54・4%を占める一方、39歳以下は8・0%。平均年齢は63・8歳と前回から1・2歳上がり、この20年間では8・2歳も上昇した。
 生産基盤を維持するためには若い農家を増やすしかないが、15~29歳は2221人で10年比40・0%減。また高齢化に伴う離農も目立ち、70~74歳が同27・4%減、75~79歳が同23・6%減となっている。
 法人化する農業経営体が増え、経営の大規模化が進む一方、耕作放棄地は年々増加している。農業はコミュニティー維持や食料供給など多面的な機能もあり、一定の就農者は不可欠。県は集落を一つの経営体と捉える「地域経営」を推進し、核となる担い手の育成から地域全体の産業の維持・発展を目指す。
 一方、地域住民の買い物だけでなく、地域コミュニティーの場としての役割を持つ商店街も、郊外への大型商業施設の進出、後継者不足など取り巻く環境は厳しさを増している。
 県の14年度商店街および地域団体実態調査によると、組織化された県内商店街は137カ所で、前回調査(09年度)から12カ所減少。
 このうち131商店街の回答結果によると、商店街全体の店舗数は4787店で、前回から1042店(17・9%)減少。空き店舗は114商店街で計726件に上る。10店舗以上の空き店舗を抱える商店街は26カ所あり、理由で最も多いのは「後継者不在」で31・5%を占める。
 商店会など役員会・理事会の開催が年2回以下にとどまる商店街は45・1%で、前回調査から10・4ポイント増加。組合員数の減少とともに商店街活動も消極化し、集客力低下という悪循環につながっている可能性がある。
 各市町村は空き店舗解消に向け、賃貸料一部や改装工事費を補助する事業を展開。県も広告費や委託料などの補助事業に取り組み、ソフト・ハード両面で商店街の再生、にぎわい創出を図っている。

∆ページの先頭へ

社会保障の現状=下・完

2016/12/26 月曜日

 

 本県の人口減少が加速する中で、県民の年齢構造は変化している。地域の労働力になる生産年齢人口は減り続け、65歳を超える老年人口が増える少子高齢化の状態。医療福祉分野では、社会保障制度の維持や介護職員などの人材確保に大きな影響を与えている。
 国民皆保険で「最後の砦(とりで)」といわれる国民健康保険(国保)は、少子高齢化を背景の一つに財政運営に打撃を与えている。
 2014年度国保特別会計の単年度収支は、県の調査で30市町村が赤字と判明し、弘前市を含む4市町村は翌年度の歳入から前借りする「繰り上げ充用」が発生。弘前市の調査では、同特別会計の累積赤字(15年度末時点)は約17億7000万円に上り県内ワーストだった。
 加入者の年齢構成が高く医療費水準などが高い状況から、県民1人当たりの医療費は全国平均を下回るものの年々増加傾向。09年と13年を比較すると3万2067円増えた。生産年齢人口の減少で加入者自体も減るため、保険料収入の増加が見込めない状態だ。
 県が保険者の立場で加わることで、財政安定化を目指す国保制度改革が18年度に始まるが、県健康福祉部の神登喜彦国保広域化推進監は「人口減少で被保険者が減り続ければ、国保財政の運営が不安定になる要因の一つになる」と指摘する。
 福祉や看護、介護現場などでは人材不足が叫ばれているが、団塊の世代全てが75歳を迎える「2025年問題」が間近に迫る介護現場では喫緊の課題だ。
 県内の有効求人倍率(11~14年度)は産業全体で見ると1倍を切る状態だが、福祉関連は産業全体より約2倍の数値。11年の1・06倍から13年は1・40倍に伸び、14年は1・70倍と上昇が続く。県は介護職員不足のピークを17年に迎えると推計するが、その後も続く需要の影響で、25年時点で必要な職員3万2218人に対し、3万811人は確保できるものの、1407人は不足すると見込む。
 介護職員をはじめ、保育士や看護師の仕事は「きつい」「休暇が取りづらい」という印象が強いために人材が集まりづらく、資格を取得しても待遇が良い首都圏へ流れる傾向がある。県は人材不足に歯止めをかけようと、事業者が処遇改善に取り組み、魅力的だと感じる職場づくり事業に力を入れている。
 県健康福祉部の担当者は「地域で生活を続けるためには、住民が医療保健を含めた質の高いサービスを受けられることが重要。サービス基盤をしっかりと整備することが、この先も地域が続いていくとにつながる」と話す。

∆ページの先頭へ


当サイトでは一部、Adobe Flash・PDFファイルを使用しております。閲覧にはAdobe Flash Player・Adobe Acrobat Readerが必要です。最新のプラグインはアドビ社のサイトより無料でダウンロード可能です。

  • Adobe Flash Player ダウンロードセンター
  • Adobe - Adobe Reader ダウンロード