県都の行方 鹿内市長辞職

 

2016/10/17 月曜日

 

  鹿内博青森市長が31日付の辞職を正式表明したことに伴い、早ければ11月下旬にも行われる市長選。現在4人が立候補を表明しており、誰が選出されても新市長となることもあって注目が集まる。閑散とする中心市街地や独居高齢者の増加など、課題山積の県都・青森の行方はどうなるのか。辞職経緯や市長選の争点を追った。

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「アウガ」再生で摩擦=上

 

中心市街地のにぎわい創出を期待されたアウガ。多くの来館者を誇ったが、開店当初から経営難が続いた

 青森中心市街地は戦後、現在のJR青森駅周辺を中心に魚屋や八百屋、リンゴ店が軒を連ねるなど栄えていたが、時代の変化に伴い、建物の老朽化や防災上の安全性、居住人口の減少など多くの問題も派生してきた。
 市はこれらの課題を踏まえ、1977年に青森商工会議所が策定した「青森地域商業近代化実施計画」を基に、青森駅前地区の再開発事業に着手。都市機能を中心部に集約する「コンパクトシティ」構想を取り入れ、その中核として2001年1月、第三セクター「青森駅前再開発ビル」が管理・運営する再開発ビル「アウガ」が開店した。これが後の市政に大きな影響を与える。
 三セクはアウガの保留床取得などで約37億円の長期借入金を背負った上、経営実績は計画を大きく下回る。01年度は目標値が店頭売上高52億円、収益収入8・1億円に対し、実績値は店頭売上高約23億円、収益収入約5・3億円にとどまるなど、開店当初から経営難に苦しめられた。
 また土地の一部を借りたため、地権者に賃借料が支払われてきた経緯も見逃せない。当初の賃借料が月当たり1坪7000円だが、経営悪化に伴い段階的に減額されたが、経営を圧迫する一因となった。
 08年度からは債務超過の影がちらついてくる。09年に当選した鹿内市長は、市から三セクへ2億円を融資するなど経営改善に取り組んだ。だが、大きな変化は見られず、16年2月には商業施設としての再生を断念。三セクは巨額の債務超過に陥った。
 鹿内市長はアウガの修繕積立金を転用することで再度三セク支援を試みるも、「間接的な公的資金」「破産しかねない会社に資金を投入するのか」などと不信感を抱く一部市議との摩擦に苦しんだ。
 最終的には市議会の承認を得られ、三セクは来年3月末で解散となったが、テナントからは不満の声も聞かれ、地権者との交渉など道半ばの部分も多い。アウガ建設以前に店舗を営んでいた男性は「開発の前は良い話を並べたが、(当時の関係者は)今は知らないと言うだろう。行き当たりばったりの行政のツケではないか」とこぼす。
 アウガの地下市場が撤退となれば、市のシンボルとも言える漁業関連販売業、新町商店街など周辺地域への影響は避けられない。市政の課題は中心市街地だけでないが、アウガをめぐる新市長の方針は大きなポイントとなる。

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「アウガ」対策が焦点=下・完

2016/10/18 火曜日

 

横山 北斗氏

小野寺晃彦氏

高木  順氏

渋谷 哲一氏

 鹿内博青森市長が辞職願を提出した中、市長選に向けた動きも本格化している。これまで元衆院議員の横山北斗氏(52)、元総務官僚の小野寺晃彦氏(41)、元学習塾経営の高木順氏(46)、民進党県議の渋谷哲一氏(55)が立候補を表明。鹿内市長は再出馬を否定しており、再開発ビル「アウガ」への施策などをめぐり、激しい選挙戦が予想される。
 横山氏は、2期衆院議員を務めた実績があり、支援者の声を受け出馬を表明。10月末には事務所を構える予定で、街頭演説ではアウガ中心の駅前活性化だけではなく、市全体を見据えた市政運営への転換などを訴える。
 小野寺氏は、宮崎市財務部長や愛知県財政課長などの経歴を持ち、市議会超党派の要請に応じて立候補。街頭演説やあいさつ回りで知名度向上に取り組んでおり、ビジネス環境の整備などで“あおもり再生”を掲げる。
 高木氏は、政党色のない市民目線の候補として名乗りを上げた。SNS(インターネット交流サイト)で自身の活動などを発信してきたほか、市事業のワークショップや市議会傍聴にも積極的に足を運んでいる。
 県議3期の渋谷氏は市民主体の政治を掲げて出馬を表明。無所属での出馬が濃厚で民進党の支援、野党連携も視野に入れる。アウガについては市全体の中での位置付けを明確にした上で、方向性を示す考え。
 市長選を、年明けの解散もささやかれる次期衆院選の前哨戦と捉える向きもある。小野寺氏は、自民党会派など市議会超党派の要請で出馬を決意。一方、渋谷氏は社民、共産両党との野党共闘に前向きで、両党内にも非自民勢力の結集を望む声があるのは確かだ。今後の協議にもよるが、自民対非自民の構図が軸となる可能性もある。ただ、「市長選は市民が主役。衆院選とは分けて考えるべき」と語る政党関係者がいるように、市長選に政党色が前面に出ることを懸念する声もある。
 市長選の争点は、問題が取り沙汰されたアウガの行方、市役所新庁舎建設計画、青森駅周辺整備推進事業などが進む中心市街地への施策が注目されるが、経営難が続き病床数も減る市立浪岡病院、発展から取り残された郊外地域など、中心部以外にも取り組むべき課題は多い。
 青森市政はアウガ問題に象徴されるように市長と市議会の対立構造による混乱が続いた。現在は副市長2人が不在という異常事態。新市長には早急に現況を立て直す、行動力と決断力が求められる。

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