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選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられる今夏の参院選(22日公示、7月10日投票)で、10代の新有権者が初めて選挙に参加する。県内では約2万4000人の18~19歳が新たに投票権を得る見込み。選挙戦が加速する中、若者たちは何を思い、どう向き合うのか。本紙が取材した津軽地方の5人からは自ら調べて候補者の人柄や公約を吟味するという声は少なく、情報収集には受け身という現状。だが投票には前向きで、それぞれが1票の重さを受け止めているようだ。
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長内優作さん〈18歳、黒石市。黒石高校3年。将来は金融関係の仕事に就きたい〉 |
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下久保拓人さん〈19歳、十和田市出身。弘前大学教育学部2年。地域振興を目指したNPO活動に興味を持つ〉 |
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葛西彩花さん〈18歳、青森市。青森東高校3年。復興の仕事に関わりたいと公務員を目指す〉 |
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福井千裕さん〈19歳、弘前市。4月から介護施設に勤務し、現場の人手不足を実感している〉 |
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佐藤春奈さん〈19歳、深浦町。みちのく銀行鯵ケ沢支店勤務。入行をきっかけに税金や物価に興味を持つように〉 |
黒石高校3年の長内優作さん(18)は現在の政治や選挙について「米国では若者も熱狂しているけれど、日本は盛り上がることがなく、高齢者が行くものという風潮がある。この風潮を変えていくことが必要」と主張。また、昨年熱を帯びた安保法反対のデモ活動に対して「デモをやったとしても自民党の考えだけで決まってしまい、野党の力が通らなかった。対等な二大政党だったら面白いのに」と語る。
初めての投票を控えて「争点がこまごましていてこれといったものがない。テレビを見る限りだと、自民党が出した政策に対して野党は批判しているだけ。具体的な対抗策を出してほしい」と厳しく指摘。若者の低投票率については「年金など年配者の政策だけでなく、若者のための政策があるといいと思う。奨学金だけでは大学に入れない人もいるので、将来を担う人への投資をする政策が欲しい」と注文する。
若者が当事者だと思えるような政策を政治家が掲げることが大事だと考える弘前大学教育学部2年の下久保拓人さん(19)も「若者が投票に参加する環境は整っているので、後は気持ちの問題。自分も含めて政治家の名前と顔、党名しか知らない若者は多いと思う。どんなことをしているのか自分で調べなければならないという状況だが、調べたいと思う人は少ないのでは」。
一方、「政策を調べたり、ニュースを見たり、親や周りの大人の意見を参考にして誰に投票するか決めたい」と話すのは青森東高校3年の葛西彩花さん(18)。高校1年生の時に、朝の自習時間で選挙を話題にした新聞のコラムなどを読み、感想を書くという活動があった。「日頃から授業の一環として取り組めば、政治や選挙にあまり興味のない人でも考えるきっかけになるのでは」と提案し、「公約で『やる』と言ってもなかなか取り組まない政治家が多いので、きちんと実現するべき。熊本地震もあったし、特に復興には力を入れてほしい」と話した。
弘前市の介護職員福井千裕さん(19)は、最近世間を騒がせている政治とカネの問題に触れ、国民の税金を不当に使っている政治家が目立つ政界に疑念を抱く。だが、正直なところ「政策や公約を自分で調べるまではしないかもしれない」と話し、テレビの情報や演説など、自然に入ってくる情報を参考にしたいという。高校卒業後に公選法が改正されたため、模擬投票を体験する機会がなかったが、「これからの社会を考えれば、自分たちの意見を反映してくれそうな若い候補者に頑張ってもらいたい」と期待する。
鯵ケ沢町で銀行員として働く佐藤春奈さん(19)は就職をきっかけに経済関係のニュースを重点的に見るよう努めており、今回の参院選では「特に経済政策などに関する公約はしっかりと見極めていく」と頼もしい。候補者の人柄もまだよく分からず、いきなりの投票で戸惑いも感じるが「1票差で結果が変わる可能性もある。きちんと投票に行きたい」。