戦い前に-2016夏・参院選-

 

2016/5/22 日曜日

 

 参院選は6月22日公示、7月10日投開票の日程が濃厚とされる。公示まで約1カ月と迫る中、候補者や陣営の動きを追う。

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自民=上

 

八戸市内で開かれた国政報告会で支持者と握手を交わす山崎氏=21日

 「地方の思いを政治、行政にどうやって反映させていくかが私に課せられた使命」。参院選が迫る中、21日に八戸市内で国政報告会を開いた自民党現職の山崎力(69)。地方創生への思いを語るとともに、野党統一候補との戦いに「野党は打倒安倍政権の1点。政策がない」と批判した。
 山崎は昨年夏に出馬を表明して以降、企業や団体などへのあいさつ回りを重ね、支持固めに奔走してきた。陣営も4月23日に早々と後援会事務所開きを行い、衆院1~4区の各事務所も活動を本格化させつつある。
 圧倒的な組織力を誇る自民だが、今回は野党統一候補の民進党新人・田名部匡代(46)との事実上の一騎打ち。野党との全面対決という構図に、山崎と陣営幹部は「これまでとは違う戦い」と危機感を強める。
 陣営幹部が重視するのは1、3区だ。6年前の参院選で返り咲いた山崎だが、当時は党幹事長で県連会長だった衆院議員・大島理森(3区)が陣営をけん引。しかし現在は衆院議長に就き、表立った活動はできない状況だ。3区は田名部の地元でもあり、厳しい戦いが予想される。
 「落ちるわけないと思っているかもしれないが、戦いを進める中で感じるのは互角になっているいうこと」。報告会に出席した3区選挙対策本部長の参院議員・滝沢求は集まった支持者に呼び掛けた。
 滝沢は「青森、八戸で票を取ることができれば絶対勝つことができる。議員団と後援会組織が一体となり、衆院選並みに活動していく」とし、「相手の地元である3区で踏ん張らなければならない」と力を込めた。
 「八戸の1票は2票に相当する」と訴えた山崎も「八戸は他と比べて地元意識が強い。党派を超えて(地元候補を)応援するということも考えられる」と指摘。「(相手と)政策論議ができないことが痛しかゆし」と胸中を明かした。
 知名度がある田名部との戦いを陣営幹部も警戒する。党県連は21日に選対委員会、市町村・職域支部の支部長・幹事長会議を開き、活動状況を確認。選対本部長を務める自民党県連会長・江渡聡徳は「6年前より厳しい」との見方を示した。
 2012年の衆院選で政権を奪還した自民。13年参院選、14年衆院選に続く今回の参院選を「最終決戦」と位置付ける。山崎は「安定した政治を続けるか、政策抜きで当選を狙う人を選ぶのか、政治の大きな分かれ道」と迫る決戦に決意を新たにした。

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民進=中

2016/5/23 月曜日

 

五所川原市内で開かれた演説会で支持者を迎える田名部匡代氏=22日

 「安倍政権の言っているような一時的な経済成長ではなく、一人ひとりの生活に本当の豊かさや幸せ、安心を作り出すという真の意味でのこの国の豊かさを目指して頑張っていきたい」。
 5月8日、青森市の後援会事務所開きで民進党新人の田名部匡代(46)は、支持者ら約150人を前に打倒安倍政権を訴えた。
 現在、衆参本県選挙区の議席は自民党が独占する自民党の「1強他弱」の状況を打破できる「勝てる候補」として、旧民主旧維新社民の3党と連合の県組織から要請を受け、匡代は出馬を決断した。
 3月21日には、3党と共産党県委員会が匡代に野党候補を一本化することに合意。匡代と自民党現職の山崎力(69)の事実上の一騎打ちの構図が濃厚となった。
 野党統一候補となり、勝利に向けて野党票の分散を回避する環境は整った。選挙対策本部長を務める民進党県連代表の田名部定男は「匡代が勝つことによって青森県の政界の構図を変える、日本の政治を変える突破口にしたい」と力を込める
 匡代は「勝てる候補」として野党勢力の期待を一身に背負う。定男は「善戦では負けと同じ」と勝利を至上命題と位置付けるが、その道のりは決して平たんではない。
 衆院議員3期、農林水産大臣政務官も務めた経験を持つ匡代だが、全県選挙は初挑戦。地盤としてきた衆院本県3区以外での知名度向上が課題となるが、民進党は自民党と比べて津軽地方の地方議員は少なく、組織の面で大きく水をあけられている。
 定男は「自民党は議員の後援会組織の集合体であり、それが選挙になれば機能するから強い」と相手を持ち上げつつ「最初からこの態勢は折り込み済み」と強気の姿勢を貫く。
 匡代はすでに県内を2巡しており、津軽地方にも頻繁に足を運ぶ。推薦を受ける連合青森の関係先や民進党所属県議の支持者へのあいさつ回り、ミニ集会の開催で浸透を図ってきたが、組織力の違いから「(支持は)一気には広まらない」(匡代)と全県選挙の難しさを口にする。
 公示まで残された時間はおよそ1カ月。匡代は5月21、22日の2日間、青森市、八戸市、青森市、中泊町、五所川原市、青森市と移動し、集会などのスケジュールを慌ただしくこなした。今後、いかにして支持拡大を図るか。定男は「奇策はない。歩くだけだ。有権者の前に露出する機会を増やしていくしかない」と語った。

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自公対野党共闘=下・完

2016/5/24 火曜日

 

山崎氏(左)に推薦書を手渡す公明党県本部の伊吹代表=4月23日、青森市内
共産党の演説会に出席した匡代氏(中央)=5月21日、八戸市内

 「これまでと違うのは事実上の一対一の戦いということ。相手は政策的な合意がなく、打倒安倍政権の一点。負けるわけにはいなかい」。5月21日に八戸市で開かれた自民党現職・山崎力(69)の国政報告会で、同党参院議員の滝沢求は支持者らに訴えた。
 参院選が迫る中、自民党県連幹部らは、会合で野党共闘を「野合」「民共合作」などと批判し、「自公対民共」の構図を強調する。民進党支持者の一部にある「共産党アレルギー」を刺激し、「左傾化」を印象付けることで保守層の離反を図る狙いだ。
 山崎を推薦する公明党の伊吹信一県本部代表も「(野党側は)次期衆院選での連携も検討するなら、なおさら政策、政権構想を明らかにすべき」と批判の声を上げる。一方で「(民進党)本部の動きを支持者がどう受け止めるのかが読み切れない。簡単な選挙ではない」と警戒した。
 山崎自身も国政報告会で「政党の命は政策。それが全く無視された状態」と強調。安全保障関連法についても「(相手側は)『戦争法』と声高に言うが、戦争をしたい人は一人もいない。悪い宣伝、アジテーション(扇動)」とし、「(安保法は)争点にならない」と一蹴した。
 5月21日、八戸市内で開かれた共産党演説会に民進党新人・田名部匡代(46)の姿があった。安保法などについて批判を展開。「国家の危機に立ち向かい、勝利を勝ち取る」と“共通目標”打倒安倍政権へ決意を示し、連帯をアピールした。
 参院選の前哨戦と位置付けられた4月の衆院北海道5区補欠選挙で、野党統一候補が善戦。保守層の支持離れの懸念や支援を受ける連合への配慮からエネルギー政策で考えの
違う共産党と距離を置いていた民進党だが、補選の結果を受け、組織力で勝る自民党に
対抗するため共産党との距離感を縮め始めた。
 「一般の人は『共産党アレルギー』はない」と選挙対策本部長を務める民進党県連代表の田名部定男。5月23日、民進、共産、社民3党県組織による協議会が初めて開かれた。
 野党共闘に対し野合との批判もあるが、共産党県委員長の畑中孝之は「安倍政権の打倒と自公を少数に追い込むことで一致している」、社民党県連幹事長の斎藤憲雄は「安保法反対などで一致する」と意に介さない。
 昨年、知事選に出馬した大竹進も匡代への支持を打ち出しており、政党だけでなく「打倒安倍政権」で支援の輪は広まりつつある。

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