青函新時代 開業まで1カ月

 

2016/2/28 日曜日

 

 2016年3月26日、北海道新幹線(JR新青森―新函館北斗駅間・全長約149キロ)開業まで1カ月を切った。青森―函館間が従来の半分となる約1時間で結ばれることで、観光など多彩な分野での交流が活発化され、新たな津軽海峡交流圏の誕生に期待が集まる。「青函新時代」へ向けた各分野の取り組みや今後の展望を紹介する。

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JRエリア発展に力=1

 

青森県とも協力し、「通年で青函エリアを訪れてくれるような仕組みを」つくっていきたいと語るJR北海道函館支社の安藤支社長
北海道新幹線開業に伴う誘客戦略を語るJR東日本の高橋次長

 「開業効果を一過性のものにさせたくない。道南地域ならではの体験メニューを充実させ、青森県とも協力して青函エリアに年間を通じて訪れてもらうような仕組みをつくらないといけない」。新幹線新時代に向けJR北海道函館支社の安藤健一支社長は意気込む。
 開業により青森―函館間は約1時間で結ばれる。安藤支社長は「“速達効果”により青函交流がさらに活発になる。函館の宿泊地が混雑している時に青森で宿泊することが可能になり、結果的に青函両方の観光ができるようになる」と話す。
 本県側で開業する奥津軽いまべつ駅については「周辺には竜飛崎があったり十三湖や金木など著名な観光資源がたくさんある。津軽海峡の主要観光地の周遊に大変便利な位置に存在しており、弘前も含めた広域周遊の玄関口として期待している」と認識“3度目の開業”を迎える本県との連携を不可欠と捉え「青森県、JR東日本と一緒になって青函エリアの発展に向け頑張っていきたい」と話す。
 課題として「首都圏側から見て、ビジネスとしての需要は多く見込めないのでは。修学旅行関係の誘致が重要となってくる」と指摘。「東北から北海道、北海道から東北といったような流れを東北各県と協力してつくっていきたい」とし「そのためにもお客さまが安心して利用できるよう、万全の態勢で開業に臨みたい」と力を込める。
 一方、JR東日本鉄道事業本部営業部の高橋弘行次長は「青函を一体の観光エリアとして魅力を高めていくことが必要。(北海道・東北新幹線の利用客に)広域で周遊観光をしてもらうような旅行商品をつくり、提供していきたい」と考える。
 開業後の7月から始まる青森県・函館デスティネーションキャンペーンを見据え「青森県にとって北海道新幹線の開業は、東北新幹線の八戸、新青森に続く3回目の開業。3回目の開業を迎える県は青森が初めてで、これまでの知見を十分生かすことができるはず」と語り、本県関係者の取り組みにも大きな期待を寄せる。
 とりわけ、津軽地域に着目した場合、奥津軽いまべつ駅の重要性を強調。同駅と津軽鉄道津軽中里駅を路線バスで結ぶ2次交通整備の取り組みなどを歓迎しつつ「これまで津軽に向かう商品は新青森駅を起点としたものだったが、これからは奥津軽いまべつ駅も新たな起点に、津軽半島、津軽全体を周遊できる商品を提案していければ」とし「山ほど観光の素材がある津軽地域。そのポテンシャルを磨き上げたい」と強調している。

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旅行業者 周遊に着目=2

2016/2/29 月曜日

 

開業後、ほころぶ弘前の桜。新基軸の“青函”旅行商品は津軽にどんな恩恵をもたらすか(写真は昨年の弘前さくらまつり)

 北海道新幹線開業に向け、にわかに注目を集める青函圏域。旅行業界は敏感に反応し、各社は、これまで関心が薄かった「青函」という新機軸をテーマにした旅行商品を続々と打ち出している。大手旅行業者は青函の異なる魅力を詰め込んだツアー商品や広域での自由度の高い旅行商品を造成。一方、地元業者は本県ならではの観光資源や修学旅行生をターゲットにするなど、新たな角度からの誘客を狙う。新幹線開業という大きなビジネスチャンスに旅行業界では「青函」という枠組みが新たな一石を投じている。
 各旅行会社では開業に合わせ、人気の観光地・函館市をメーンに本県を含む北東北や道南を組み合わせた青函を含む広域周遊で勝負を仕掛ける動きが目立つ。
 各社とも本県のルートでは定番の観光地である弘前公園などが多く組み込まれる一方、新駅の奥津軽いまべつ駅がある奥津軽地域をメーンとした行程は少なめだ。
 そんな中、日本旅行は個人型の周遊プランで津軽半島と函館、下北半島と函館など“青函”をキーワードに特色ある4コースを設定。青函両地域で使用できるクーポン付きのプランや青函朝市対決など、内容はまさに“青函尽くし”。担当者は「青函の旅行商品はこれまで扱ってこなかったが、新幹線開業が新たな旅行ルート開発につながった」と新たな視点の商品に自信を見せる。
 クラブツーリズムは、新幹線に加え飛行機やフェリーの移動手段の選択やお一人様限定の青函プラン、北海道と東北の桜前線追っかけツアーなど、バラエティーに富んだラインアップで開業を迎え撃つ。同社仙台センターは「北海道新幹線の引き合いは強い。商品を増やしても十分な魅力が青函にある」とし、同社北海道旅行センターの担当者も「従来の日程では弘前城だけだったものが、津軽鉄道なども組み合わせることができ、幅が広がる」と集客増に期待を寄せる。
 JTBは“新幹線から先”の移動手段に着目。従来の添乗員付きプランに加え、首都圏から終点の新函館北斗駅まで新幹線で移動し、レンタカーで道南を自由に移動する自由度が高い個人型周遊プランを打ち出した。
 北陸新幹線を例に挙げ、同社東北の担当者は「『新しい新幹線に乗りたい』という動機は相当大きいという
感触を持っており、かなりの人気となることが予想される」と語る。
 地元業者は地の利を生かした個性的なツアーで新たな顧客開拓に挑む。弘前市の旅行会社・たびすけは、首都圏の修学旅行生をターゲットにした商品をJTBと共同開発した。竜飛岬で厳寒ケツぞり体験、今別町で今別牛のステーキ、蓬田村で流しトマトなど厳冬の東青地区の魅力満喫ツアーも実施予定だ。
 西谷雷佐社長は「“北海道新幹線”なので、お客さんは北海道を目当てにやって来る。そこで本県に“ついで”に寄ってもらえるだけの理由が必要。ターゲットを“誰でも”にすると相手には響かない」と指摘。「PRする側が良かれと思ってしていることが、本当に相手が望むことなのかをしっかりと検証し、見極めていくことが必要」と強調する。

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奥津軽 資源磨き上げ=3

2016/3/1 火曜日

 

新幹線駅と2次交通の開業により新たな人の流れが生まれる奥津軽エリア。周遊観光確立に向け、津軽半島全体の連携が求められる=写真は22日、中泊町の「駅ナカにぎわい空間」で開催した観光イベント

 北海道新幹線開業まで1カ月を切った。北海道新幹線奥津軽いまべつ駅―津軽鉄道津軽中里駅間の2次交通整備が進み、奥津軽エリアでは新幹線駅と2次交通開業により新たな人の流れが生まれる。観光面で北海道側が盛り上がる一方、奥津軽では新駅を起点に地域が一体となった周遊観光でどれだけ存在感を出せるかが鍵となる。関係者は交流人口拡大と同時に地域の活力を引き出そうとその磨き上げに力を入れる。
 県内唯一の北海道新幹線新駅「奥津軽いまべつ駅」から路線バスでつながる中泊町では、観光客の“おもてなし”として、名産メバルを使ったご当地グルメ開発を進め、知名度向上に努めてきた。町水産観光課は開業に向け「メバル膳で頑張り、土産物品開発にも着手している。春には絶景で有名な竜泊ラインが開通し魅力が増す」とし、観光資源の磨き上げを加速させる。
 宿泊施設の少ない同町にとって、開業効果を獲得するには、新駅を起点にした西北五地域などへの周遊観光を想定し、昼食や土産物開発での効果を期待したいところだ。開業日当日は地元イベントに加え、新駅でも「メバル汁」の振る舞いや土産品配布などでアピールし、奥津軽全体の一体感を高めていきたい方針だ。
 津軽半島の“背骨”となる津鉄や沿線自治体のPRに努め、県が表彰する「おもてなしアワード2015」で最高賞に輝いたNPO法人「津軽半島観光アテンダント推進協議会」。小枝美知子代表理事は、奥津軽を訪れる観光客のニーズについて「一人旅が多い。ガイドブックに載っていないコアな津軽を求めているようだ」と分析する。
 奥津軽の魅力については、地域経済と文化を支えてきたシンボル的存在の津鉄に加え、全国的に有名な津軽三味線や立佞武多、十三湖のシジミ、トレイルなどを挙げる。体験型にも対応できる点から「ゆっくり回りたい人にも、ぎゅっと詰め込みたい人にも対応できる地域」と自信をのぞかせる。
 ツアー企画が少ないと言われる中、同協議会は開業を見越し、作家太宰治にちなむなどした6コースを旅行会社に提案。奥津軽いまべつ駅、新青森駅の二つの新幹線駅を意識したコースを開発してきた。14年12月からは個人客にも対応できる観光ガイドも開始。1時間1500円で、4時間以上だと昼食代込み8500円程度と、手頃な価格設定にした。
 小枝代表理事は「人の心に残るのは人。あの人に会いに津軽に行きたいという気持ちがリピーターにつながるはず。津軽半島全体で協力、連携しレベルアップしていくことが大切」と力を込める。
 開業まで約1カ月前となった2月22日。連携が課題となる同地域で、津鉄沿線の関係者らが一丸となる取り組みも生まれてきた。津軽鉄道サポーターズクラブ(高瀬英人会長)は、毎月22日を「ツー・テン・ツー」の語呂合わせにちなみ「津鉄の日」に制定。この日にさまざまなイベントなどを開催し、津鉄を中心に地域活性化につなげたいという。沿線地域の住民が一堂に会した会場では「2次交通は整ったが3次交通も課題」「情報交換を密にして開業後に備えたい」などの声が聞かれた。
 高瀬会長は「沿線で盛り上げていくというのが一番の連携につながる。自治体や地域を超えて課題に取り組むことが必要」と今後の展開に期待した。

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地銀2行 橋渡し役に=4

2016/3/2 水曜日

 

開設から100年が経つ青森銀行函館支店。北海道新幹線開業を機に函館推進チームを新設し、新たな取引先を増やしている
函館市のみちのく銀行函館営業部。北斗市を含め7店舗で展開し「青函のリーディングカンパニー」として存在感を示している

 本県を代表する金融機関である青森銀行とみちのく銀行。ともに古くから函館に支店を構え、本県から北海道内に進出した企業の先駆者として業務を展開している。北海道新幹線開業で青函連携による産業振興や経済活性化が期待される中、両行は両地域の企業を結びつける橋渡し役としてさらに注目を集めている。
 2015年に函館支店が開設100周年を迎えた青森銀行。函館市内には2店舗を有している。15年4月には函館支店に「函館推進チーム」を設置。スタッフを2人増やして営業に努め、約20の企業と新規取引に結びついたという。
 成田晋頭取は「青森―函館間の移動時間が短縮され、道南と一緒になることで本県の経済規模が1・4倍ほどになるのは非常に大きい。相互に企業が進出しながら新しい展開が起きることを期待している」と話す。
 今回の開業に向けて、12年には北洋銀行(本店札幌市)と地域経済活性化に関する協定を締結し、地元の観光関係者と首都圏観光業者のマッチングなどに尽力。14年には道南地域の産業、経済に関わる各種データや本県との比較を紹介した「よくわかる道南の産業と経済―新幹線がむすぶ津軽海峡交流圏」を刊行するなどしてきた。
 今後も両地域の企業が進出する際への各種支援を行い、津軽海峡経済圏形成への一端を担っていく。同行の法人営業部地域開発課の中野史行課長は「北海道に新幹線が通るという新しい時代の中で、しっかりと存在感を示していきたい」と力を込める。
 一方、函館市に6店舗、北斗市に1店舗の計7店舗を展開するみちのく銀行。田邦洋頭取は「函館における資源は県内で当行が1番で、青函のリーディングカンパニーだと思っている。北海道新幹線開業を機に、今後も函館にある資源を最大限に活用したい」と力強く語る。
 開業を見据え、観光を核とした地域経済活性化に向け、11年4月に弘前商工会議所と函館商工会議所の連携で「津軽海峡観光クラスター会議」を設立。弘前市の六花酒造による道南産のコメを使った日本酒製造やはこだてクリスマスファンタジー「ひろさきナイト」、酒蔵を巡る旅、ラジオ番組で弘前・函館コーナーを設けるなどしてきた。
 さらに「津軽海峡食景色」として、農水畜産や食品加工業者の販路拡大などを目的に青函圏の食材を使ったメニューでのPRを展開。北海道銀行やJR東日本とも連携し、青函圏の産業振興に尽力している。
 「函館は“準地元”として力を入れてきた」と話す同行地域創生部の菊池正道地域振興担当部長。「開業によりさまざまな行き来が増えるだろう。青函圏発展に向け、地域の資源と企業の強みを生かし、つなぐ役目として努めたい」と話す。

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