生産技術向上を目的とした講習会に出席した、つがる弘前農協桃部会の部会員ら=2015年7月、弘前市内
たわわに実った収穫期のモモ。リンゴ生産者が複合的に取り組む品目として普及しつつある(写真はつがる弘前農協提供)

 近年、津軽地方のリンゴ生産者の間でモモの生産が盛んになりつつある。温暖化によって早生(わせ)リンゴの品質管理が難しくなる中、以前はまとまった規模で栽培されていなかったモモの将来性に関係者が着目。市場評価の向上で北限の特産地としての地位確立が視界に入る中、若手生産者の参入もみられる。
 大多数のリンゴ生産者の収入の柱は晩生種の「ふじ」だが、災害リスクの分散と労働力の効率的運用の観点から、早生種や中生種も栽培している。ただ、早生の「つがる」は残暑が厳しい年に品質が低下しやすい。地球温暖化の進行が予測される中、中長期的に栽培管理が難しくなる懸念がある。
 こうした課題を踏まえ、県中南地域県民局と同局管内の農協などが、2007年度から「津軽の桃」の産地確立を目指している。比較的暑さに強く、早生の「あかつき」は生育の早い年はお盆前、スタンダード品種「川中島白桃」は8月下旬に収穫でき、中生種以降のリンゴの管理作業への影響が少ない。以上の利点から、中南地域各地で生産者と作付け面積が増加を続けており、15年産の販売額は統計開始以来初めて1億円の大台を突破し1億1510万円に達した。
 つがる弘前農協によると、同農協の桃部会(相坂信義部会長)のメンバーは、14年の75人から15年は89人に増加。出荷数量は82トンから106トン、販売金額も数量の増加と堅調な単価に支えられ2796万円から4912万円に急増した。産地は弘前市、大鰐町、藤崎町など広域にまたがっている。
 若手の参入もみられる。同部会に入って2年目の弘前市折笠の對馬康太朗さん(26)は「先輩の話で単価も良く、リンゴの技術で剪定(せんてい)もできると知り興味を持った。知人のつてを頼って平川市のベテランからも育て方を教わり、リンゴとはまた違ったモモの魅力にますます引き付けられた」と声を弾ませる。
 同農協の鎌田章三生産園芸課長は「高糖度品は高値で精算し、良いモモを作れば出荷者にはね返るようにして品質の底上げを図っている。山梨や福島のような産地としてのブランド力を得ることができれば、青森のモモもこれから伸びていけると思う」と見通す。昨秋からは大鰐町の業者とタッグを組み、規格外の実を活用したジャムの販売も開始した「現在は直売所をメーンにネット販売も行っているが、今後はイベントへの出品も行っていきたい」という。