東北新幹線全線開業5年

 

2015/12/5 土曜日

 

 東北新幹線が4日、2010年の全線開業から5年の節目を迎えた。新青森―東京間を結ぶ新幹線は当初大きな盛り上がりを見せていた。しかし、東日本大震災で運休を余儀なくされ、特に観光面で大打撃を受けた。本県への観光客は震災前の水準に戻りつつあるが、総合的な開業効果は見込み通り得られたとは言い難い。北海道新幹線開業が迫る中、今後は道南地域との連携や広域周遊のPRなどが必要となってくる。これまでの5年を振り返り、課題を探る。

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震災で観光が大打撃=上

 

新青森駅から東京駅へ向かうはやぶさ。東日本大震災で開業効果は思うように得られなかったが、関係者の努力で本県への観光客は震災前の水準に戻りつつある

 東北新幹線は全線開業後、11年3月5日に新型車両E5系「はやぶさ」が運転を開始。新青森―東京間が最短3時間10分で結ばれ、本県への注目ががぜん集まっていった矢先に東日本大震災が発生。新幹線は運休となり、4月23日からの青森デスティネーションキャンペーン(DC)も実施が危ぶまれた。しかし、JR6社や自治体、観光関係団体は、東北の復興を願い青森から元気を届けようと予定通り開催。新幹線も4月29日に全線再開となった。
 青森DC推進委員会会長だった林光男青森三菱電機機器会長は「中止の声もあったが、関係者の熱意があって開催にこぎ着けた。新幹線も初めは5月中頃の再開予定だったのが、ゴールデンウイークに間に合わせてくれた。DCが無かったら、復興はもっと遅れていたのではないか。JRには大変感謝している」と振り返る。
 新幹線は9月23日にようやく通常ダイヤへ戻った。しかし、震災後の風評被害や観光の自粛ムードもあり、11年の本県への観光客は3154万3000人と、10年を約270万人下回る結果となった。12年は3295万4000人と盛り返し、13年に3317万4000人、14年は3396万1000人と、ほぼ震災前の数字に戻ってきているものの、観光関係者は「震災がなければもっと増えていたはず。開業効果は望んでいた通りは得られなかった」と口をそろえる。
 県の千葉耕悦新幹線・並行在来線調整監は「1973年に整備新幹線の計画が決まってから37年、県民が東北新幹線全線の開業に全力投球してきただけに、効果を100%得られず本当に悔しい思い」と話す。北海道新幹線の開業を「第3の開業」と位置付ける本県。千葉調整監は「東北新幹線と北海道新幹線を持つのは東北で本県だけ。この5年間の思いを来年の北海道新幹線開業に精いっぱいぶつけ、今度こそ効果を最大限に獲得したい」と力を込める。

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苦戦続く駅前の開発=中

2015/12/6 日曜日

 

新青森駅前の分譲地。18区画のうち11区画が契約されたものの、正面側はいまだ売れ残り、寂しい風景をのぞかせている

 観光面で震災前の水準を取り戻しつつある本県。JR新青森駅内のあおもり旬味館をはじめ、東北新幹線全線開業に合わせて青森駅そばにオープンしたA―FACTORY、開業1カ月後にA―FACTORY隣にオープンしたねぶたの家ワ・ラッセには、連日多くの観光客が足を運んでいる。
 あおもり旬味館とA―FACTORYを運営するJR東日本青森商業開発は「集客数も年々増え続け、順調に推移している」とし「今後は北海道新幹線開業による北海道、道南地域からの利用増を期待し、おもてなしサービスの強化に努めたい」と話す。
 津軽地方の既存観光施設も「徐々に観光客は戻ってきている。震災で開業効果は薄かったが、関係者が団結して青森に人を呼び込もうと努力したことがしっかり実を結んできている」と捉える。
 一方で、思うように進んでいないのが新青森駅周辺の開発だ。青森市が2007年から駅周辺の土地18区画約4万平方キロを販売してきたが、まだ7区画が残っている。今年になって契約された区画も、函館市の医療法人が経営する病院(17年春完成予定)のほか、市内の業者が経営する薬局とテナントビルで、現時点ではホテルや商業施設は一つもない。
 新青森駅で5年間、利用客を中心部や観光施設へ送り届けてきたタクシー運転手も、5年前と変わらない駅前風景に肩を落とす。男性運転手は「『駅前がとても寂しいですね』とお客さんによく言われる。そのうちいっぱい建ちますよと言ってきたが、ついに5年がたってしまった」とし「新幹線の開業でここ一帯は大きく発展すると期待していたが、レンタカー会社があるだけで、やっとできるのは病院と薬局。これでは本当に寂しい限り」と話す。
 別の男性運転手も「ビジネスマンから、ホテルがあればいいのにという声をよく聞く。せめて商業施設が一つでもあれば違うんだろうけど」と残念がる。
 市は購入費助成などを行い販売に努めているが、なかなか契約まで結び付かないでいる。市都市整備部石江区画整理事務所は「ホテルやマンション関連など、県内外の多彩な分野から問い合わせは来ている。今年も10件以上来ているが、なかなか契約まで進まない」とし「残りの区画は全て駅の正面側。テナントビルにどういう施設が入るか分からないが、病院の完成とともに一つの呼び水となってくれれば」と期待を込める。

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青函を「新玄関口」に=下・完

2015/12/7 月曜日

 

5月24日、新青森駅に初めて乗り入れた北海道新幹線車両。第3の開業効果獲得に向け、青函圏が一体となった取り組みが必要となる

 東北新幹線全線開業は見込んだ効果を100%は得られず、関係者らは「不完全燃焼」と口をそろえる。それだけに来年3月26日の北海道新幹線開業について「前回で大きく得られなかった効果を今回は必ずつかむ。青函圏を日本の新たな玄関口にしたい」との強い意気込みがある。道南地域との連携による津軽海峡交流圏形成に向けた各種PR、開業に向けた準備が進む。
 今年7月15日に青森市で開かれた全国販売宣伝促進会議には、1000人以上の旅行、観光関係者らが参加。同16、17日の現地視察では各地の観光関係者が参加者に魅力を大いにPRした。11月に公表されたアンケート結果では「とても良かった」「良かった」が合わせて98・2%に達した。
 来年7月から始まる「青森県・函館デスティネーションキャンペーン」(青函DC)実行委員長の若井敬一郎県商工会議所連合会会長は「1000人以上来たのは期待の表れ。本県の魅力を感じ取ってくれたと思う」と話す。
 本県と道南地域の圏域形成を進める「県津軽海峡交流圏ラムダ作戦会議」も毎年アイデアを提案。ラムダプロジェクトの一環として11月に青森市で開かれた本県と道南地域のふるさと紹介イベントも大いに盛り上がり、関係者は手応えを感じている。
 県観光国際戦略局誘客交流課の堀義明課長も「この5年間で磨いてきた観光コンテンツは前回より質、量とも上回っている」とし「新幹線を含めた陸海空の立体観光で、青函圏が一つのエリアだとPRすることで、新しいステージの観光誘客につながる。青函圏が新たな日本の玄関口となるようにしたい」と語気を強める。
 第3の開業を控え、新たな追い風も吹いている。中国の北京首都航空(北京市)は杭州空港(杭州市)から青森空港、函館空港に定期便を来年1月から就航するが、これに伴い、北海道新幹線を活用した青森・函館インアウトの旅行商品造成を検討している。このほか、JRが2017年春から運行を開始する豪華寝台列車「四季島」のルートに青森駅と弘前駅が組み込まれ、本県への注目がさらに集まると期待される。
 一方で課題もある。同アンケート結果では、2次交通整備充実を望む意見のほか、道南との連携不足や北海道新幹線開業のPR不足などを指摘する声があった。若井会長は「2次交通整備はもちろん、青函圏がしっかり一つになり今回の開業をPRし、おもてなし向上に努めないといけない」と話す。
 新幹線でつながり、新時代を迎える青函圏。大勢の観光客であふれ、何度も訪れてくれるためには、何よりも県民が一つとなっておもてなしの心を磨くことが不可欠だ。

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