一票の行方 '15県議選

 

2015/4/14 火曜日

 

 激戦模様となった県議選。各政党の現状と今後、また各選挙区で何が起こったかを探った。(文中敬称略)

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政党対決=1

 

決戦から一夜明け、当選候補者と握手を交わす自民党県連の大島会長(右)

 改選前の30議席を割りながらも安定過半数を獲得した自民党。決戦から一夜明けた13日、県連会長の大島理森は「大勢に影響はない。地方創生の実現に真剣に取り組み、知事選を勝ち抜くことが大事」と総括した。
 弘前市区のベテラン西谷洌を含む公認・推薦候補者4人が落選。大島は西谷の功績と労をねぎらいつつ、後進育成の必要性も強調。「若い力を育てなければならない。(落選の)新人2人はよく健闘した」と振り返った。
 特徴として低投票率、共産党の議席増を挙げ、「共産が反対票の受け皿になっている事実を見なければならない」と指摘した。
 現有6議席を死守した民主党。12日深夜、党県連幹事長の山内崇は開口一番、「なかなか厳しい戦いだった」と振り返った。
 11人を擁立した「攻め」(山内)の選挙だったが、新人、元職6人のうち5人が落選。「基本組織づくりという古くて新しいテーマに、地道に取り組むしかない」と日常活動の重要性を説く。
 「(自民との)政策面で際立つ違いを示せれば、上積みできたかもしれない」と反省しながらも「反転攻勢に備える土台は確保できた」と自らに言い聞かせた。
 唯一議席を増やした共産党。党県委員会委員長の畑中孝之は初議席を獲得した八戸市区について「歴史的な勝利」と振り返り、「伸びたのは共産だけ。政党間の力を変えた」と手応えを語った。
 弘前市区で安藤晴美がトップ当選、青森市区の諏訪益一も得票数を大きく伸ばし、「自民との対決構図が浸透した結果」と分析。新人大竹進を推薦する知事選に向け「自民党への批判、県政の転換を訴えることが大きな力になる」と力を込めた。
 現職2人が議席を守った公明党。県本部代表の伊吹信一は「地方創生では議員の資質が大切になる」とし、「党のネットワークに期待する声も聞かれる。現場の声を率直に伝えることが重要」と意欲を示した。
 社民党は議席奪還を果たせず。県連代表の三上武志は「4年間のブランクは大きかった」と悔しさをにじませつつ、「前回より得票が増えたことは前進。(大竹を推薦する)知事選勝利に向け頑張る」と次を見据えた。
 自民、民主、公明が勢力をほぼ維持、共産が議席を増やした今回の県議選。勢力図に大きな変化は見られなかったが、ベテラン議員の落選など波乱もあった。低投票率に歯止めがかからない中、今後の政党活動、議員活動の在り方が問われることになりそうだ。

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弘前市区=2

2015/4/15 水曜日

 

新人の参戦で激戦となった弘前市選挙区。写真は当選した(左から)谷川政人、菊池勲の2新人

■弘前市区
 「厳しい厳しい、つらいつらい選挙戦だった。皆さんの支えがあったからこそ最後まで戦うことができた」。県議選に有権者の審判が下された12日夜、弘前市選挙区で最後の議席を獲得した自民現職の齊藤爾は支持者の前で声を詰まらせた。陣営幹部も「本当に二度とこんな厳しい戦いはしたくない」。激戦だった今回の選挙戦を象徴する場面だった。

 現職6、新人3の9人で6議席を争った弘前市選挙区は、何度も選挙を経験してきた陣営幹部が「最後まで読めない」と語るほど混迷を極めた。ふたを開ければ新人2人―自民の谷川政人、無所属で松下政経塾出身の菊池勲が議席を得た一方、前回県議選(2011年)で1万票以上を獲得、トップと次点だった無所属の相馬●一と自民の西谷洌のベテラン2人が落選。世代交代が鮮明になった。
 菊池の選対幹部は「大変な混戦」としつつも「若い人に任せたいという声は広い世代から出ていた」と述べ「世代交代」「刷新」という明確な主張を提示したことで一定票を獲得できたと分析。
 谷川は過去に秘書を務めた衆院議員木村太郎の選対スタッフが全面的に支援。有力候補として早くから警戒
され「当確が出るまで不安でたまらなかった」(本人)としたが、終わってみれば安定した戦いで、狙い通りの上位当選を果たした。
 現職は共産の安藤晴美が前回から1000票以上を上積みし、堂々のトップ当選で、躍進が続く党の勢いを
維持。無所属の川村悟、自民の岡元行人、同齊藤は支持層をしっかり固めて競り勝った。
 厳しかったのはベテラン勢。世代交代の波にのまれ、大きく票を落とした。相馬は長年の支持者の高齢化、西谷は病で声帯を摘出して声を失ったことがハンディに。民主の新人鶴賀谷貴は党本部から国政選挙並みの支援を受けたが、出遅れが響き、及ばなかった。

 全体的に票読みに苦心した要因として、有権者の関心の低さを指摘する声も複数あった。同市選挙区の投票率は50・23%で前回を0・54ポイント上回ったが、依然低迷。ある陣営幹部は「10年前とは全然違う。政治に関心がない、投票に行かないという人が増えた」と表情を曇らせる。「手を振るなど反応してくれても、投票に行ってくれるのか分からなかった」という声も。
 県議選で奔走した弘前市議は「自分たちの暮らしと政治が直結していることを有権者が理解していない。大きな課題だ」と懸念を示す。有権者の政治離れという根深い課題を抱え、弘前市は統一地方選の後半、19日告示の市議選に突入する。
※●は金へんに昌

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平川市区、五所川原市区、北郡区=3

2015/4/16 木曜日

 

平川市区は山口多喜二(左から2人目)がトップ当選。大鰐町から17年ぶりの県議誕生となった

■平川市区
 大鰐町から17年ぶりの県議誕生を掲げた新人山口多喜二が、2位に約2400票差をつけトップ当選した。久々の地元候補に町内の関心は高く、同町の投票率は60・5%と前回から14ポイント上昇。山口は9割超の圧倒的な得票率を誇った。長尾忠行平川市長の後援会が支援に回ったことも「大きかった」と陣営。知名度が低い同市でも一定の集票に成功した。
 同市尾上地区を地盤とする現職工藤義春は1期の実績を強調し、同市で安定した支持を得て再選した。ただ、工藤が「(市長選違反事件を受けて)選挙はもう嫌だという市民の思いが表れた」と指摘する同市の投票率は、45・14%と前回から11・34ポイント下落。山口の想定以上の躍進もあり、目標とした7000票を大きく下回った。
 新人齋藤正明は地元の同市平賀地区を中心に活動したが、支持を広げられなかった。
■五所川原市区
 「予想外の健闘だ」
 定数3を現職3人と元職1人、新人1人で争った五所川原市選挙区。当初から当選が確実視されていた自民現職寺田達也の陣営では、落選した民主元職今博、新人塚本悦子の得票数をそう評する声が複数上がった。
 寺田は組織力を生かし、前回トップだった櫛引ユキ子を1200票余り上回ってのトップ当選。ただ、当選した現職3人はいずれも前回より票数を減らす結果となった。
 今回は、前回最下位当選だった自民現職成田一憲と小差で落選した今の動き、さらに成田と同じ中泊から出馬した塚本がどれほど地元票を取り込むかが注目された。
 危機感を持った成田は初めて選挙区内5カ所に事務所を置き地盤を固めたほか、三村申吾知事の応援も得て県との太いパイプを強調。“非自民組織の結集”を掲げた今と、“市民派スタイル”を標榜した塚本は、草の根運動を展開し浮動票獲得に力を入れたが、成田の底力が上回った。
■北郡区
 定数1を現職1人と新人2人で争い、「これほど票が読めない選挙はない」との声が上がる激戦となった。
 板柳町から出馬し、昨年補欠選挙で初当選した自民現職齊藤直飛人は、舘岡一郎町長と町議10人全員の支援による総力戦を展開。前回34票差まで迫った相川順子を1500票近く引き離し勝利した。
 鶴田町からは相川、北谷正則の新人2人が出馬。相川の街頭に元県議で夫の相川正光町長がマイクを握り、北谷陣営では相川町長を後継指名した中野●司前町長が応援演説する異例の構図となった。
 相川は補選より得票数を伸ばして善戦したものの、鶴田の票が割れたことから北谷と共倒れになり、鶴田からの県議当選はかなわなかった。
(県議選取材班、文中敬称略)
※●は堅の土が手

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無投票区=4・完

2015/4/17 金曜日

 

1枚だけ張られた県議選候補者ポスター。奥の市議選掲示場には19日の告示で20枚が張られ、2007年選以来の選挙戦となる見通し=3日、黒石市

 今回の県議選では、黒石市、つがる市、南郡、西郡、東郡の津軽地方5選挙区(いずれも定数1)が、無投票での決着をみた。政争による混乱が生じず、安定した政治風土が維持されるとの声がある一方、有権者が選択の機会を失ったのもまた事実。各選挙区で事情は異なるが、選挙区割りなどを含め、選挙制度の在り方を見直すべきとの声が相次ぐ。
 黒石市区は昨年の補選を含むと2003年選から5回連続の無投票となった。同市では市長選が06年選、市議選も07年選を最後に無投票となっている。かつて政争が激しかった同市だが、近年は国政選、知事選を除いて、有権者が投票で意思を示すことができない状態が続いている。
 県議選無投票の背景には、黒石市長高樋憲が昨年の市長選に県議を辞して出馬した際、引退表明した当時の市長鳴海広道の長男惠一郎を後継指名したことで「現、前市長の政治力には、相当な知名度がなければかなわない」という見方が強いことがある。
 高樋は「無投票も民意。候補(当選者)が謙虚に受け止め、評価される行動を起こしていくのがこの選挙(の意味)」とし、惠一郎は「不毛な争いをしている場合ではない」と政争が市のためにならないとの考えを強調し「無投票という審判は、しっかりやれということと受け止める」とした。
 しかし無投票を肯定的に捉える人は多くない。有権者からは財政健全化が最優先課題である市の現状から「選挙にならないのは、財政的にはいい」としながらも「他に立候補者がいないのは寂しい」「政策で県議を選べない。これでいいはずはない」といった声が聞かれた。
 こうした有権者の声に応えて19日告示、26日投開票の市議選(定数16)には、新人4氏が立候補を表明し、現職16氏と議席を争うことがほぼ確実となった。有権者は07年選以来8年ぶりに投票という行動ができる。
 つがる市区は自民公認の現職三橋一三のほかに、出馬に向けた目立った動きはなく、2回連続無投票、4期目を飾った。つがる市長の福島弘芳との緊密な連携で、強い支持基盤を持つ三橋が盤石の態勢を維持した形。07年から藤崎町と田舎館村を選挙区とする南郡区では、県議会議長の阿部広悦が無競争で議席を確保。西郡区はベテラン工藤兼光が4期目、東郡区は自民の重鎮神山久志が8期目の当選をそれぞれ無投票で決めた。
 津軽地方の農業男性(25)は「選択の余地さえ与えられないのは残念だし、このままの状態が続くと住民の選挙への意欲が薄れる。隣の選挙区のように、定数が2枠あればいいのに」と嘆息した。
=終わり=

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