'15県議選 選挙区を行く

 

2015/4/8 水曜日

 

 12日に投開票の県議選は、県内11選挙区で激しい舌戦が展開されている。津軽地方の選挙区の動きを追った。

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弘前市区=上

 

激戦の弘前市選挙区。選挙戦は混沌としたまま終盤に向かっている

 「完全に横一戦。激戦、大激戦という印象だ」「何度も県議選を戦ってきたが、今回ぐらい読めない選挙はない」。複数の陣営幹部が口をそろえる。
 県議選弘前市選挙区は現職6、新人3の合計9人が6議席を争う県内でも有数の激戦区。激戦となっている要因は、有力とされる新人の参戦が大きい。
 3人の新人のうち、自民公認の谷川政人(45)は告示日の3日、市役所前で演説した。市議を辞職するまで所属していた市議会与党会派の議員が駆け付け、葛西憲之市長も早速マイクを握った。
 谷川は衆院議員木村太郎の元秘書で、木村も街頭から支援を呼び掛け、選挙事務所は選挙をよく知る“木村派”のスタッフが固める。谷川は「市政、県政、国政をつなぐ橋渡し役を担えるのは私だと思う」と強調した。
 民主公認の鶴賀谷貴(52)は2月の出馬表明以降、党本部から国政選挙並みの支援を受けており、最終盤の11日は枝野幸男幹事長が来弘予定だ。同選挙区は党県連幹事長山内崇の地元。党県連はかつての山内の議席奪還に総力を挙げている。
 無所属の菊池勲(33)は人口減少社会に対応した新たなモデルを作るため、若い世代の政治参画が必要と訴える。松下政経塾出身で第一声には同塾OBも来弘。街頭演説では「現状維持か、若い世代が変えていくのか。それが争点だ」と世代交代を強調している。
 一方の現職は新人と支持者が重なるなど、過去にない厳しさを感じているもようだ。自民は公認候補を前回から1増の4人としており、その影響を懸念する声もささやかれる。
 6期目を目指す自民の西谷洌(70)はがんで声帯を摘出し、声を失うハンディを負っての選挙戦。街頭では「西谷の声となる」という家族や友人がマイクを握り、候補者の医療や福祉分野に対する熱い思いを代弁する。西谷自身も機械を使って訴えを重ねており、6日には市役所前で「自分に思い切り仕事をさせてほしい」と訴えた。
 同じく自民の岡元行人(50)は「市民の目線で考えたい」と市民感覚を重視。簡単に折り畳めるユニークな政策パンフレットや、スマートフォンを使って選挙ポスターから動画を閲覧できるようにするなど独自の試みを次々展開。若者の関心を引き、投票率向上を図ろうと知恵を絞る。
 前回、岩木地区から47年ぶりの県議となった自民の齊藤爾(44)。3日の出陣式では、同地区の市議らから「この県議の座を何としても死守したい」という声が相次いだ。陣営は「厳しい戦い」とし、齊藤自ら支持固めに奔走している。
 共産の安藤晴美(63)は県議選後に控える弘前市議選の候補予定者とも連動し「消費税引き上げ反対、原発ノーの声を託して」と訴える。唯一の女性候補という点もアピール。昨年の衆院選で同党は非自民票の受け皿として議席を増やしており、県議選でもその勢いを維持したい考え。
 過去7回の県議選を勝ち抜いた無所属の相馬●一(78)は税理士の経験を生かし、農業者や中小企業の所得向上、人口減少対策の必要性を訴える。長年の支持者が多く、他候補の影響は少ないとみられるが、陣営は「支持者が高齢化している」と票読みに苦心する。
 「今回ほど厳しい選挙はない」と危機感をにじませるのは無所属の川村悟(67)。3日の出陣式では陣営幹部が「もう1回、1から積み直そう。今まで良い流れで来ている」と奮起を促した。第一声以降、精力的にミニ街頭を重ね、訴えの浸透を図ろうと懸命だ。
 激戦の割に有権者の反応はいまひとつとされ、各陣営とも手応えをつかみかねている様子。過去には僅差で当落が分かれた選挙もあり、ある陣営幹部は「最後まで分からない。気を引き締めていくしかない」。県内選挙区では最も早く、年明け早々に活発化した選挙戦は混沌としたまま終盤に突入している。
(文中敬称略)
※●は金へんに昌

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五所川原市区=中

2015/4/9 木曜日

 

五所川原市のショッピングセンター前で、選挙演説に耳を傾ける聴衆

 「これまでにない厳しい選挙」「どうか押し上げてほしい」。定数3に対し、現職3人と元職1人、新人1人の5人が立候補した県議選五所川原市選挙区は、各候補者が「激戦」を口にする。
 選挙サンデーとなった5日、五所川原市の金木総合支所前で、自民現職の寺田達也(52)の応援演説に立った市議は「温かい支援を。どうか1番で当選させてくださるようお願いします」と、集まった聴衆に向かって声を張り上げた。
 与党会派の市議や平山誠敏市長らの支援を受け、五所川原地区を中心に強い支持基盤を持つ寺田。だが寺田は「気の緩みが一番怖い。今はひたすら全力を尽くすだけ」と表情を引き締める。
 「大きな組織力はないが、底力で戦い抜きたい」。前回トップ当選を果たした無所属現職の櫛引ユキ子(61)。地元で「ママ」の愛称を持つ櫛引が立つと、自然に高齢者や女性が集まってくる。
 前回は、激戦だった市長選への出馬の余波もあっての得票数。陣営は「前回と同じようには戦えない」とにらむ。衆院選で初当選した北五地域が地盤の升田世喜男は今回動きを見せていないが、升田支持層の一部は櫛引に流れるとの見方がある。
 6日、弘前市で公務を終えた三村申吾知事が真っ先に向かった先は五所川原市の飛び地である市浦地区。自民公認で8選を目指す重鎮、成田一憲(76)の隣で、左手に予算書、右手にマイクを握りこれまでの実績を猛烈にアピールした。知事は8日までに中里、金木、市浦、小泊と4回街頭に立つ異例の応援態勢を取った。陣営は「同じ中泊町から新人候補が出たことで、“勝つ”という意識が高まっている」とさらに気を引き締める。
 街頭には知事のほか、小野俊逸中泊町長はじめ10人余の町議がずらりと並び、町、県、国との太いパイプを強調。聴衆を前に成田は「皆さまの力を貸していただきたい」と激戦を意識し、各地区をくまなく奔走する。
 前回146票の差で成田に敗れて落選した民主元職の今博(64)は、「背水の陣で臨む」と気迫をみなぎらせる。連合青森、社民の支持層からも一定の得票が得られると見込まれており、維新の票の一部も入ると予想されている。
 5日に市内の大型ショッピングセンター前でマイクを握った今は、同選挙区における自身を「非自民勢力の象徴」と表現し自民党政策を批判。「農家を救うことが五所川原、中泊を発展させる。どうか頑張らせてほしい」と支持を呼び掛けた。
 同選挙区の政治構図に一石を投じる形となった無所属新人塚本悦子(70)は、組織の力に頼らない“市民派スタイル”で挑む。
 初出馬となる塚本は町議を2期務めた。「インフラがどんなに整っても、若者がいなくなっては意味がない。子どもを育て、教育環境を充実させたい」と女性目線での政策を地道に訴える。
 陣営は「昔から当選するために必要とされるジバン(組織)、カンバン(知名度)、カバン(資金)はないが、草の根レベルで活動を広げ支持拡大を目指す」とし、浮動票獲得に力を入れる。
(文中敬称略)

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平川市区=下・完

2015/4/10 金曜日

 

3候補が2議席を争う県議選平川市区。平川市長選をめぐる選挙違反事件の影響から、投票率低下が懸念される

 前回1万票近くを得てトップ当選した長尾忠行・現平川市長が昨年の市長選出馬で県議を辞職し、現職1人と新人2人の3人が2議席を争う構図となった県議選平川市選挙区。長尾市長の地元であり、有権者が最も多い同市平賀地区の動向が勝敗のカギを握るとみられるが、市長選に絡む選挙違反事件の影響から市民の関心はいまひとつだ。一部では投票率が4割前後まで落ち込むとの予想もあり、各陣営とも「票が読み切れない」と気をもむ。
 「県議1期4年の実績を生かし、皆さんの手足となって働く」
 7日、同市碇ケ関地区の街頭に立った自民現職の工藤義春(65)は、県政与党の立場で国と市町村のパイプ役を担ってきた経験を強力にアピールした。同市尾上地区に地盤を持ち、前回選では5600票余りを獲得し初当選。今回も地元の支持を固めつつ選挙区全域で精力的に街頭演説をこなし、票の上積みを図る。周辺には「頭一つリード」との見方も広がるが、陣営は「選挙違反事件で政治家や選挙そのものへの不信感がまん延している。尾上は有権者数が少ないので、投票率が下がれば不利だ」と引き締めに躍起。工藤は演説の中に投票の呼び掛けを盛り込み、「自分の1票を大事にして」と繰り返し呼び掛ける。
 無所属新人の齋藤正明(43)は、出馬表明が2月下旬と他候補に比べ遅かったものの、「告示日から有権者の反応が変わってきた。特に地元(平賀地区)の人から頑張ってと声が掛かる」と好感触をつかんでいる。選挙戦前半は旧平賀町議、平川市議時代に培った人脈を生かし、選挙カーでの連呼や支持者回りに重点を置き運動を展開。終盤に向けマイクを握る回数も増やしており、9日は津軽尾上駅前で「若い人の雇用を守り安心して仕事ができるようにしたい」と声を張り上げた。
 「(3候補の中で)一番年齢が若く、若者の目線に近いのが自分の強み。今後は特に若い世代への訴えに力を入れる」と、平賀地区を中心にさらなる票の掘り起こしを進める構えだ。
 1998年以来となる大鰐町からの県議を目指すのは、無所属新人の山口多喜二(65)。町民からは「待望の候補者」との声も聞かれ、中盤までの期日前投票は平川市が低調な一方で同町は前回選を上回って推移するなど、選挙への注目度は他地区に比べ高い。陣営は「今回の選挙がそのまま町のことにつながるとの当事者意識が強い」と地元の盛り上がりを感じている。
 今後は、平川市での知名度アップが課題。長尾市長の後援会から支援を受ける山口は、政策の一致を強調し「スクラムを組んでやっていく」と訴えるなど“長尾票”の取り込みに懸命。同市での反応について「県政で(長尾市長の)後任を務めるという姿勢が受け入れられているのでは」と手応えを語る。
 選挙戦終盤に向け意気が上がる各陣営に対し、有権者の心情は複雑だ。同市の会社員男性(24)は「投票には取りあえず行く」としたが「やっていることは大差がないので注目している政策はない」と冷めた様子。同市の無職女性(78)は「ああいうこと(選挙違反事件)は二度と嫌。うそのない人を選びたい」とつぶやいた。
(文中敬称略)

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