検証 三村県政3期

 

観光=4

2015/2/16 月曜日

 

震災後、東北新幹線全線の運転が再開され、青森DCの本格始動を告げる「東北復興プロジェクトin弘前」に出席した三村知事(左)=2011年4月29日、弘前公園

 2011年3月、待望の東北新幹線全線開業という絶好の機会に本県が沸く中、11日の東日本大震災で本県観光産業は大きな打撃を受けた。同年4月、観光振興や海外の誘客対策へ戦略的に取り組もうと「観光国際戦略局」が県庁に設置されたが、震災の影響は色濃く、県唯一の国際便ソウル線の運休、震災後の風評被害による観光客の激減という波乱の船出となった。
 旅行自粛ムード、風評被害の払拭(ふっしょく)に追われる中、「回復」が当面の目標に掲げられた。開催そのものが危ぶまれた青森デスティネーションキャンペーン(DC)開幕当日の4月23日、三村申吾知事は「今、東北で第一歩を進めなければ。できることから始めたい。青森から訴えよう」と呼び掛け拳を上げた。
 知事はトップセールスに加え各種プロモーション活動を積極的に展開。地元経済界とミッション団を結成し、航空会社に早期運航再開を要請したことで、ソウル線も11年10月末から運航を再開した。
 同局開設で組織を武器にきめ細かい対応が充実し、首都圏や全国の旅行エージェントへのセールスをフル回転させた。青森空港除雪隊「ホワイトインパルス」や「街歩き」など本県の新たな魅力を掘り起こし、ニーズに合わせ選択肢を広げることにも力を入れた。
 13年の県観光入込客統計では、県内を訪れた観光客の入り込み総数(実人数)は1326万6000人で、前年比95・5%にとどまり、震災前の水準には至っていない。一方、14年1~9月期の外国人延べ宿泊者数で本県は東北3位の4万3610人となり、震災前の10年同期比で約109%まで回復した。
 今年度スタートした観光戦略は、テーマが「回復」から「成長」に代わり、「観光地域づくり」をキーワードに土地の産業、文化を観光資源として捉え、“人”が支える観光の重要性を強調。本県が“第3の開業”と位置付ける北海道新幹線開業を控え、三村知事は「前回は不完全燃焼の思いがあった」と“リベンジ”に燃える。
 ただ、団体旅行から少人数旅行へ、見る観光から体験する観光へ旅行者のニーズは変化している。満足度の高いおもてなしを提供するために地元の誇りを県民にどう浸透させ、醸成につなげるのか。
 観光関係者は「本県観光は着実に前に進んでいるが、今が頑張り時。船はこぎ続けなければ沈んでしまう」と冷静。観光事業者からは「通年観光地としての知名度はまだまだ。交通整備対策や受け入れ環境の整備にも課題がある」との指摘もある。回復の兆しが見え始める中、ニーズに対応した国内外から選ばれる観光地域づくりが一層求められている。

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産業・雇用=5

2015/2/17 火曜日

 

金矢工業団地で二十数年ぶりに日本最大級の木材加工工場建設が決まり、立地協定調印後に握手を交わす三村知事(右端)ら関係者

 経済団体からの産業振興、雇用支援要請の場で三村申吾知事は産業・雇用について「県政の最重要課題」との位置付けを強調してきた。本県経済は全国的な景気回復の流れや企業努力などで緩やかな持ち直しの動きが見られ、2010年に0・35倍だった有効求人倍率は14年には0・80倍と過去最高を記録、明るい兆しが見られる。
 震災後となる3期目は“復興”からのスタートとなった。県が12年度の雇用創出基金を活用した事業所を対象に行った調査では、回答が得られた企業の新規雇用者計3197人中837人が継続雇用につながるなど、復興基金を活用して継続雇用に結び付けてきた。
 企業誘致や工場増設に向け地道に企業に要望を重ねてきた結果、実績として挙げられる、誘致企業件数は11年度から13年度までに40件。雇用は11年4月~15年1月末の間、事業計画ベースで2期目の1835人を上回る1866人となった。
 14年度には、二十数年ぶりに六戸町の金矢工業団地に日本最大級の木材加工工場建設が決定。本県スギの廃材利用により、森林所有者にとっても利益が生まれ、流通といった関連産業も潤ってくる。地元雇用拡大にも期待が大きい。
 産業基盤の弱い本県が仕組みづくりを進めてきた産学官金連携では、特にライフ関連産業で芽が出始めた。
 県によると、県プロテオグリカンブランド推進協議会加盟社の企業製造品出荷額の累計は14年9月現在で約57億円、180品目に上る。このうち、県内企業による商品は約7割の125品目だが、県内企業の出荷額は約13億円にとどまる。商品開発にはつながっているものの、産業、雇用を生み出すまでにはもう少し時間がかかりそうだ。
 本県では景気回復に伴い、リーマンショック以降4万人を超えていた有効求職者数(季節調整値)が14年8月に3万人を切った。しかし、雇用の改善傾向が維持される一方で、医療・介護や製造業といった業種・職種によっては人手不足が生じている。県内のものづくり業界からは「求人を出しても、勤務形態がさまざまなため選ばれにくい」とし、求人の質を上げる努力を強いられているようだ。
 県側は「人口減少が進む中、企業を支えていく人材がより求められている。雇用で人を育てるということを企業に働き掛けている」と本県の大きな課題として“人づくり”の必要性を挙げる。
 産業基盤が脆弱(ぜいじゃく)な本県で、安定した生活に結び付く雇用形態や、求職者と雇用側のマッチング、起業・創業を含め新たな“青森型産業”をどう育てていけるのか。本県の産業・雇用対策の課題は山積している。

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原発・核燃=6・完

2015/2/18 水曜日

 

大間原発の工事計画、安全対策を報告する電源開発幹部に安全性の向上を求める三村知事(左)=2014年11月13日

 「安全性の確認が大前提。原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査、事業者の審査対応を厳しく注視していく」。三村申吾知事は原子力政策、核燃料サイクルについて、「一義的な責任は国と事業者」と強調してきた。県の関与について踏み込んだ考えを示すことはなく、“国任せ”というスタンスが見え隠れする。
 東京電力福島第1原発事故を受け、県は2011年6月、県内原子力施設の安全性を独自に検証する「原子力安全対策検証委員会」を設置した。県民に原発事故への不安が広がる中、三村知事は国と事業者の安全対策を厳しく見極める姿勢を示した。
 検証委は県内施設の緊急安全対策を妥当とする報告書を同11月に提出し、三村知事は県民や県議会、市町村長に説明するなど慎重な手続きを踏み、同12月に安全対策を了承。一方で建設工事や試験の再開は事業者が判断し、国が監督責任を負うべきと従来のスタンスを崩さなかった。
 さらに検証委は委員の任期が更新されず、2年で事実上の解散。国や事業者の対応を県独自に検証する機関だったはずが、国による福島原発事故の検証や、新エネルギー基本計画策定作業が進む中で役目を終えた。
 13年7月に原発、同12月に核燃料施設の新規制基準が施行され、日本原燃の六ケ所再処理工場など核燃料サイクル施設、リサイクル燃料貯蔵の使用済み核燃料中間貯蔵施設、東北電力東通原発、電源開発の大間原発が規制委による審査に臨んでいる。
 国内では九州電力川内原発、関西電力高浜原発が適合性審査に合格。事業者と立地自治体が結ぶ安全協定など地元合意の範囲が焦点となっているが、三村知事は「国民の安全、安心について政府が前面に立つべき。立地地域が事業者と安全協定を結ぶ判断をする上で国として一定の基準を示す必要がある」との考えだ。
 原子力防災についても、県は立地自治体や国、関係機関などと避難計画の実効性を高めるために検討を続けているが、バスなど移動手段の確保、避難者の受け入れ態勢整備など解決すべき課題は多い。
 県内施設が適合性審査に合格した場合、地元自治体の同意、安全協定の締結など重要な局面を迎えることになるが、原発の再稼働について「最終的には政府が責任を持って判断すべき」と強調する三村知事。施設の安全性について県独自に確認、検証する考えを示していない。

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