漁港の光景であろう。清々(すがすが)しい朝である。かつて、海辺の街に暮らしていた母方の伯母が内陸に住まいを移して、「波の音が聞こえないと寂しくて寝られない」と言っていた。人は普段聞き慣れた自身の生活音の中で暮らしている。作者の春は〈舟音〉が連れて来る。〈春動く〉の実感。『新青森県句集第29集』所収。