- 津軽あかつきの会が郷土料理提供/弘前
弘前市石川を拠点に、津軽地方の伝承料理活動を行っている「津軽あかつきの会」は29日、同市川合の堀越城跡ガイダンス施設の旧石戸谷家住宅で、函館市から訪れたカルチャーセンターの講座受講者に「いがめんち」などの郷土料理を振る舞い、喜ばれた。
郷土料理の振る舞いは「道新文化センター」が企画した講座「『津軽あかつきの会』に学ぶ食の知恵 津軽伝承料理」の一環で、前週の22日には函館市に同会の森山千惠子副会長が赴き、座学を行っていた。
新幹線などを利用して弘前市を訪れた受講生15人は同会会員7人が用意した「タケノコご飯」「アスパラのごま和(あ)え」「いがめんち」など13品について森山副会長らから説明を受けた後、じっくりと味わった。
【写真説明】郷土料理を味わう受講者※詳しくは本紙紙面をご覧ください。
県は先日、太平洋側海溝型地震発生時の県内の被害想定を公表した。死者は最大5万3000人、建物被害は最大11万1000棟が全壊すると試算▼死者の9割は津波で、青森市、八戸市で特に甚大な被害が予想された。雪と帰宅ラッシュの混雑が重なる冬・夕方の地震で被害が最大になると見込まれ、雪国の課題が浮き彫りになった▼県は併せて、早期避難による減災効果も試算。地震発生後に浸水域内すべての人が速やかに避難した場合、津波の死者数を県全体で7~8割軽減できるとした▼地震といえば、東北新幹線の脱線を引き起こした3月中旬の福島県沖地震が記憶に新しい。本県で大きな被害はなかったものの、いつもと違う揺れ方に東日本大震災を思い出した人も多いのでは▼福島県沖地震の際、すぐに家の外に出て様子をうかがったが、同じ町内で他に外に出ている人を見掛けなかったことに少し不安を覚えた。万が一の際には早期避難が生死を分ける。大きな地震が各地で頻発している昨今、地震に対する警戒心を常に持ちたい。- 北東北観光「キャンペーン効果に期待」
本県など北東北3県の大型観光キャンペーンが今年7月1日~9月30日に開催されることが決まった。3県の観光振興を目的に設立された北東北三県観光立県推進協議会とJR東日本が19日、秋田市内で記者会見を開き、概要を発表。世界遺産、夏祭り、自然・絶景、酒・食など五つのテーマで北東北3県をつなぎ、7月に世界文化遺産登録1周年となる「北海道・北東北の縄文遺跡群」や3年ぶりの開催が予定される夏祭りなどを盛り上げていきたいという。
「ドキドキ、キタキタ 北東北」がキャッチコピー。テーマごとに3県の多彩な情報を凝縮したガイドブックを配布するほか、ウェブサイトで3県のさまざまな情報を発信。ラッセル車の操作体験や通常非公開の盛美館(平川市)2階の見学など特別な体験ができる企画も用意し、観光客を北東北へといざなう。3県を周遊する臨時列車、観光列車なども運行されるという。まとまった観光情報が簡単に入手でき、現地までの交通手段や旅行企画なども提示されるとなれば、旅のきっかけとしては十分だろう。新型コロナウイルスの影響で長く厳しい局面が続いている観光業界に、明るい話題をもたらしてくれることを期待したい。
コロナの感染拡大は観光に大きな影響を与えてきたが、ここに来てようやく回復の兆しが見えてきたように思う。今年の5月は3年ぶりに行動制限がなかったことから、大型連休期間中の交通量は前年に比べて増加。JRの発表によると、同期間の新幹線や在来線特急の乗客はコロナ前の2018年比では5~6割程度だが、21年の実績比では約2倍。東北地方の主要国道の交通量も県境部で前年比約25%増と増加している。
コロナ前まで訪日外国人客を含む多くの観光客を運んできたクルーズ船も6月、青森港に寄港予定。同港は21年4月に1隻を受け入れているが、20年は受け入れ実績がなく、ほぼ2年間停止状態だった。19日には関係者が同港で、船内でのコロナ発生を想定した感染者の搬送訓練を行い、受け入れ態勢を整えており、徐々ににぎわいが戻ってきそうだ。
集客に欠かせない祭りやイベントだが、県内各地の今春の桜祭りや春祭りは会場内での食べ歩きを禁止するなど、感染対策を取って開催するところが多かった。夏祭りも青森ねぶた祭をはじめ弘前ねぷたまつり、五所川原立佞武多など、いずれも3年ぶりの開催を目指す方針。感染防止策を取っての祭りは経済効果が限定的との声もあるが、地域の大事な行事でもある祭りを次世代につなぐためにも、地域経済を考える上でも、今夏こそ開催に向け入念な検討が必要だろう。
本県はもともと観光資源が豊富な県。観光客が過度な密にならないよう工夫し、コロナ禍でも安全に楽しめる観光の情報を発信して徐々に観光需要の回復を図ってもらいたい。 - 東北新幹線 58日ぶり通常ダイヤ
3月の福島沖を震源とする地震で脱線事故が起き、4月14日に全線再開した東北新幹線が13日、通常ダイヤに戻った。全線再開後も通常の8、9割ほどの臨時ダイヤで運行し、一部区間で徐行したため東京-新青森間は約1時間長くかかっていたが、安全が確認されたことから58日ぶりに完全復旧を果たした。
午前9時49分、東京発の下り一番列車が新青森駅に到着すると、仕事や観光で利用する乗客が次々と降り立った。東京駅から利用した会社員男性は「通常に戻ったことでスケジュールが立てやすくなる」と語り、出張で宇都宮駅から利用した会社員男性も「きのうまでなら1時間長くかかっていたと思うと、やはり1時間の差は大きいと思う。通常に戻ってよかった」と話した。
【写真説明】新青森駅に到着した東京発下り一番列車=13日午前9時49分※詳しくは本紙紙面をご覧ください。
日に日に暖かさが増し、県内各地域から桜の便りが聞こえてきている。そんな中、16日に開花が発表された青森市で17日、あおもり桜マラソンが開かれた▼当初は2020年に開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で2年連続中止となっていた。今回は県内在住者限定だったが、ランナーは好天の下で、咲き始めた桜を見るなどしながら爽やかな汗を流したことだろう▼大会には日本陸上界を長年けん引し、1月末で現役を引退した板柳町出身の福士加代子さんがサプライズ出場。沿道からの呼び掛けなどに満面の“加代子スマイル”を咲かせて応じていた▼「日本一の桜の名所」と知られる弘前公園も14日に開花。統計開始以来2位タイの早咲きとなり、弘前さくらまつりの準まつり体制を当初の21日から19日に前倒ししてスタートさせることとなった▼東北新幹線も全線運転が再開し、このままなら多くの観光客が本県の桜を見に訪れることだろう。一人ひとりがしっかりと感染対策をして、本県の桜を堪能して笑顔になっていただきたい。- 「多くの方に本県へ」東北新幹線全線再開
東北新幹線が29日ぶりに全線で運転再開となった14日、本県観光の玄関口である新青森駅は早朝から、観光や仕事などで利用した客であふれた。県内の観光・商工関係者らも本格的な春の観光シーズン前に再開されたことを喜び、「新幹線で多くの方に本県へ来てもらい、経済の活性化につながってほしい」と期待した。
午前10時52分、東京発の一番列車「はやぶさ」が新青森駅に到着すると、多くの乗客がホームに降り立ち、コンコースでは同駅職員らが横断幕を掲げるとともにボールペンや観光パンフレットなどを手渡して歓迎した。
【写真説明】東北新幹線が全線で運転を再開した14日、東京駅発の一番列車で新青森駅に降りる乗客ら=同日午前10時52分※詳しくは本紙紙面をご覧ください。
- 東北新幹線運転再開「将来の災害に備えた対応を」
JR東日本は4日、3月中旬に発生した、福島県沖を震源とする地震の影響で運転を見合わせている東北新幹線の区間のうち、一ノ関-仙台間で運転を再開した。福島-仙台間も、復旧作業と安全確保の見通しが立ったことから、今月14日からの全線運転再開も予定している。
地震発生直後は全線運転再開まで「相当な期間を要する見込み」とされただけに、約1カ月での再開見通しに至ったことは、JR東をはじめとする関係機関の復旧に向けた努力のたまものだ。新幹線はビジネス客、観光客らにとって、航空機と並ぶ重要な交通手段となっている。将来、再び起きるかもしれない災害に備えて、有事に向けた迅速な対応ができるよう求めたい。
JR東によると、3月16日に発生したマグニチュード7・4の地震では、電柱79本、架線金具などの損傷約550カ所、軌道の変位・損傷約300カ所など、新幹線の設備で被害を受けた箇所は約1000カ所(5日現在)に及んだ。特に、福島-白石蔵王間で発生した「やまびこ223号」の脱線は、17両編成の車両が線路から外れた光景をはじめ、衝撃のため乗客・乗員78人のうち4人が負傷したという被害を含め大きな衝撃を多くの人に与えた。
このため、東北新幹線は複数の区間で運休を余儀なくされ、東北地方から首都圏までの移動は航空各社にも協力を求める事態となった。転勤や進学など、交通需要が1年のうちでもとりわけ高い時期だっただけに、利用者に与えた影響は計り知れない。まして、本県の利用者は首都圏に向かう場合、東北新幹線の区間の中では、最北の駅から利用しなければならず、航空機による代替移動手段は金銭的な負担が大きかったはずだ。
2010年12月に全線開業した東北新幹線は約4カ月後の11年3月11日の東日本大震災により、福島県沖地震と同様、多くの区間で被害が生じ、全線運転再開まで約1カ月半、通常ダイヤに戻るまでおよそ半年を要した。今回も全線運転再開の見通しが立ったとはいえ、一部区間の徐行運転が必要なことから、当面は臨時ダイヤでの対応となる。総力を挙げて復旧作業に取り組んでいる関係者の労を思えば、我慢が必要な期間と言えるだろう。
今回の事態を受けて思うのが、新幹線という交通手段の災害に対する強靭(きょうじん)化の必要性だろう。むろん、これまでも事故がないよう、大抵の災害に耐えられるよう設備は整備されてきたと思われる。しかし、東日本大震災といい、今回の地震といい、この10年余りで2度にわたって新幹線関連設備が損傷し、長期にわたる運転中止という場面を目の当たりにすれば誰もがそう思うはずだ。一朝一夕にはいかないだろうが、安全走行に向けた課題として取り組んでもらいたい。 - 東北新幹線一ノ関-仙台間が再開
JR東日本は4日、3月16日に福島沖で発生した地震の影響で運休していた東北新幹線一ノ関-仙台間の運転を再開した。19日ぶりに仙台との直通運転が再開された新青森駅では、始発から仕事などで利用する人が次々と新幹線に乗り込んでいた。
東北新幹線は地震の影響で一ノ関-郡山間が運休していたが、2日に福島-郡山間で運転を再開。4日の一ノ関-仙台間の再開により、北海道新幹線と仙台が直通となった。JR東日本によると、一ノ関-仙台間は安全確保のため速度を落として運転。新青森-仙台間は上下合わせて32本が臨時ダイヤで運行される。
【写真説明】新青森駅に入線する仙台発下り列車※詳しくは本紙紙面をご覧ください。
- 乗合タクシー愛称「愛乗タクシー」に
北海道新幹線奥津軽いまべつ駅(今別町)と津軽鉄道津軽中里駅(中泊町)を結ぶ予約制乗合タクシーの愛称を募集していた奥津軽いまべつ駅二次交通対策協議会(会長・中嶋久彰今別町長)は3月29日、採用作となる最高賞・ネーミング大賞を「愛乗(あいのり)タクシー」に決めたと発表した。同協議会や関係機関のチラシやポスター、車両のラッピングなどに活用していく。
チラシやホームページで募集したところ、県内外から120件の応募があった。大賞の愛乗タクシーは呼びやすく親しみがあり「あいじょう」とも読めることから、愛情をもって利用者を目的地まで送り届けるという思いも込められている。考案者の青松百代さん(外ケ浜町)には今別、中泊、外ケ浜町から2万円相当の特産品セットが贈られる。乗合タクシーは、奥津軽地域で以前運行されていたバスの後継となる2次交通手段として、2020年11月に運行を開始。21年度下期のツアー関係を除いた利用数は前年同期比で34・3%増えている。※詳しくは本紙紙面をご覧ください。
- 「津軽フリーパス」子どもたちの旅にも最適
「青春18きっぷ」をご存じだろうか。春や夏など学生の休みの時期にJR全線の普通・快速列車が数日間乗り放題になるもので、今年で発売から40年になるという。私は中学に上がった頃、この切符を親にねだり、幾度か友人たちと旅をした。当時はこれで青函連絡船にも乗れたので、函館を深夜にたって青森駅に着き、県内を列車で巡った。大きな時刻表と小さなカメラを手に、ひたすら鉄道に乗ることを楽しむ、ちょっと背伸びをした経験だった。
普通列車が減り、路線の民営化などで利用の制約が増えたことから、18きっぷを使った昔のような旅は簡単にはいかなくなった。それでも鉄道ファンや、若き日に利用した中高年に今でも人気があるそうだ。
現在は、私鉄やバスの利用もできるフリー切符が各地で花盛りだ。中でも「津軽フリーパス」は奥羽線や五能線の一部、弘南鉄道、津軽鉄道、弘南バスの主要路線が2日間乗り放題になるもので実に使い勝手が良い。とにかく一般の旅行者目線で作られており、付属するガイドブックの出来映えにも目を見張る。普通に観光地を巡る旅程でも、弘前でランチにフランス料理を食べられるぐらいの運賃が節約できる。ルートを工夫していろいろな路線を乗りまくるという楽しみ方もある。地元の人たちなら、自家用車を置いて「飲み鉄」を楽しむのもよかろう。
われわれの世代が「青春18きっぷ」で旅したように、子どもに旅をさせるならば、この切符が最適だ。
鉄道や路線バスの旅は、送迎されて遊びに行くのと比べ緊張感がまるで違う体験だ。初めての土地ではいろいろと迷いも生まれる。どこの駅でもコンビニなどはそう簡単に見つからない。時には遅れや運休など思いもよらぬトラブルもあろう。旅先で困ったことがあれば見知らぬ大人を頼らざるを得ない。それがまたよい。一方で津軽鉄道では、他社ではお目にかかれぬほど、スタッフが親身にお世話してくれることだろう。人が支える観光というものに触れる良い機会にもなる。昔と違って連絡はいつどこにいても取れるし、この利用範囲ならば、いざというときの移動の代替手段はいくらでもある。2日間有効なので、日帰りして翌日にまた別のルートをたどるのもよいだろう。こうしてみると、初めての旅の体験に踏み出すよう、あつらえた切符にも思えるほどだ。コロナ禍の今だからこそ、子どもたちに小さな旅を体験してほしいと思う。
さて、北海道新幹線の開業から昨日で丸6年となった。津軽フリーパスを無駄なく使うなら、旅の終わりは中央弘前駅から大鰐へ。夕暮れの鉄路を行く列車の音に耳をそばだてて露天風呂に浸かり、その日のうちに函館に戻る。これが最近見つけた大人の私の楽しみである。
(オフィス「オリゾンテ」代表 田村昌弘)
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