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| 人為攪乱を調べるための実験区。左が火入れ区、中央が刈り取り区。右が無処理区、春の火入れ直後に撮影 |
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| 攪乱によるヨシ群落の違い。刈り取り区はヨシが密生する。無処理区は低密度で枯死体がたい積。火入れ区はその中間 |
ヨシの刈り取りや火入れには、植生が遷(せん)移(い)することを防いだり、害虫や雑草を除去する効果があるといわれている。特に、春先の火入れはヨシを休眠から覚(かく)醒(せい)させる、焼いたあとの灰が肥料になるともいわれている。ヨシ原は利用されること、言い換えれば「人に攪(かく)乱(らん)されること」によって守られてきたといえる。このことは、経験に基づく常識として各地に定着しているが、意外にも科学的に実証した例が見あたらない。そこで、攪乱がヨシ群落にどのような影響を与えるのか、そして攪乱が減少している岩木川下流のヨシ原はどういう状態になっているのか、盛岡大学短期大学部教授の齋藤宗勝先生と青森南中学校長の齋藤信夫先生とともに2006年から調査を行った。
調査の第一目的である人為攪乱によるヨシ群落への影響は、秋に刈り取った「刈り取り区」、春に火入れをした「火入れ区」、何も手をつけない「無処理区」の三つの実験区を隣り合わせて設定して、ヨシの生長や群落構造の違いを調べた。各区画では5個ずつ設置した調査枠内のすべてのヨシにナンバーテープを巻いて、4月から10月まで毎月1回、ヨシの本数(密度)、1本1本の高さ、稈(かん)径(けい)(太さ)、すべての葉の長さと幅(葉面積計算に利用)を測定した。また、50センチ四方の枠内で植物体を高さ20センチごとに区切ってすべて刈り取り、乾燥重量によって群落の構造を把握する「層別刈り取り」を数カ所で行った。さらに、河川敷を横断してヨシの密度や生育状態、土壌・水分条件を記録し、下流部のヨシ原の状態をマクロにとらえる調査を行った。
調査結果を簡単にまとめるとイラストのようになる。「刈り取り区」は、他の区画に比べてヨシが密生する上に小ぶりな葉がたくさん付いて地上部に光が届かないような群落になった。「無処理区」は密度が低く、少ないながらも大型の葉をつける群落で、地表部は枯死体が積み重なり、緑のヨシに枯れヨシが交じる状態になった。「火入れ区」はその中間の様相で、地表には光が届いて、草花の生育も見られた。つまり、火入れよりも刈り取りの方がヨシの生長の勢いが強くなり、刈り取りを続けることによって、商業的にも良質のヨシが育つという結果になった。攪乱があった場所ではすべてが新ヨシになるので品質的にも良好であるが、放置された場所では枯れたヨシが交じって品質を落とすうえに、ヨシ原そのものも衰退していく様子がうかがえた。
ヨシ原は景観的には一様に見えるが、中の様子は決して均一ではない。同じ河川敷でも、大型のヨシ群落のすぐ隣に小柄なヨシの群落や乾燥地の草花の群落があったりする。その要因は土壌と水分で、水分が豊富で土や泥が多い場所では大型のヨシが生育し、自然な状態でも群落が維持されている。一方、砂地や乾燥が進んでいる場所では、ヨシが小柄で密度も低く、ススキへの入れ替わりが見られている。このような場所は放置されることによって遷移がより早く進むと思われる。ただし、異なる状態のヨシ群落がパッチ状に連なることは、様々(さまざま)な生きものにハビタットを提供していることになっているのかもしれない。この点については今後の研究の課題である。
この研究プロジェクトは、リバーフロント整備センター・国土交通省による「河川生態学術研究」の一環として行っているもので、岩木川研究グループは17名の研究者で組織されている。ヨシ原に関しては弘前大学農学生命科学部の東信行先生が鳥類を中心においた「ヨシ原生態系」について、杉山修一先生が「ヨシ群落の遺伝的構造と生態機能」について研究を進めている。
(環境社会学会会員・竹内健悟)















