12日に青森市で開かれた「あおもり食産業推進フェア」。開会式で三村申吾知事は「素晴らしい素材を皆さんの創意工夫でより良いものに進化させることが、新しい産業やお客さまの評価、青森の元気につながる」と熱弁を振るい、県などの支援を受け開発された加工食品約500点が並ぶブースをくまなく回り出展者を激励した。
 販売を重視し生産・加工・流通に一体的に取り組む「攻めの農林水産業」は、2004年度のスタートから10年。13年の農業産出額は2835億円と10年連続で東北1位を守り、大手量販店2グループとの通常取引額は261億円と前年度を19億円上回った。リンゴ輸出量も東日本大震災後の低迷から年間2万トン台に回復、14年産は過去最多の更新も視野に入るなど着実な成果を上げている。
 ただ、販売重視の方針が全国自治体の流れとなり、消費地での競争は年々激化。三村知事は農商工連携によりヒット商品の開発や販路開拓、6次産業化などを支援し食産業の経営力強化を図るほか、自らもトップセールスで国内外を飛び回る。
 重ね着した県産品のプリントシャツを次々脱ぎ捨てながらのPRは、今や定番のパフォーマンス。「知事がやることではない」と眉をひそめる向きもあるが、県側は「知事がセールス先の幹部と直接面談すれば、相手方の対応も違ってくる。トップ同士の信頼関係や人脈を構築できるのは大きい」と明かす。
 一方、1次産業の所得向上は厳しい道のりだ。生産農業所得は減少傾向にあり、13年は前年比167億円減の936億円。特に稲作経営は14年産米の米価下落で深刻な打撃を受け、再生産が危ぶまれる状況に追い込まれている。県は15年度を「本県稲作農業の正念場」と位置付け、金融支援や複合経営への転換推進などに取り組むほか、県産米新品種「青天の霹靂(へきれき)」のブランド確立に活路を求める。
 19日に発表される日本穀物検定協会のコメ食味ランキングで青天の霹靂が最高評価「特A」を獲得できれば、ブランド化に弾みがつくのは確実。ただ、多くの先行品種との競合や米価低迷のあおりを受け、販売は苦戦が予想される。ある集荷業者は「たとえ特Aの看板が付いてもどのくらいの価格になるか見通せない」と気をもむ。
 リンゴやナガイモなどこれまで本県が圧倒的なブランド力を誇ってきた品目でも産地間競争は高まっている農家の高齢化に伴う労働力不足が進む中品質の維持・向上を求められる生産・販売現場の危機感は強い県農協中央会の岡山時夫会長は「1次産業を重視する知事の姿勢は評価できる」とした上で本県の気候や土壌に合った新品種開発に県がリーダーシップを発揮して取り組んでほしい―と注文を付けた。