家庭もキャリアも男女が平等に得られる社会の実現が求められる(写真と本文は直接関係ありません)

 50歳まで一度も結婚をしたことのない人は男性のほぼ4人に1人、女性のほぼ7人に1人―。厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の調査で分かった2015年の「生涯未婚率」=図=に基づく数字だ。生涯未婚率は男女ともに右肩上がりで推移し、昨今の「結婚離れ」を顕著に表す。さまざまな要素が絡み合って生涯独身を選択する人が増える中、20代の若者は結婚をどう捉えているのか。

 弘前市の会社員男性(28)は「このご時世、1人で暮らすだけでもいろいろお金が掛かる。将来を考えても明るいと思えない。結婚する時もその後もお金が今以上に掛かると思うと、尻込みしたくなる」と消極的な意見。平川市に住む公務員の女性(28)は「昔は(男性と)付き合うことに大きな意味を感じていなかったが、成人するといやでも結婚を考えてしまう。気楽に(恋愛を)できなくなった」と変化を語る。結婚は「価値観が近い人、特に経済面の考えが近くないと疲れてしまう。(相手が)家事に積極的でないと負担を分け合えないので、そこを見ている」と話した。
 弘前市が設置したシンクタンク「ひろさき未来戦略研究センター」は、15年11月に公表した調査報告の中で、未婚化の背景としてある大学教授の見解を紹介。1980年代ごろと比べて、若者、特に男性の経済力が低下し、経済的格差が拡大したことが若者を結婚から遠ざける一因となった―としている。
 若者の中には男女交際に対する意欲自体が低い、いわゆる“絶食化”の意見も。弘前市の別の会社員男性(24)は「自分の趣味にお金を掛けたい。極端だと思うが、恋愛も結婚も興味はない」と割り切る。「価値観は絶対に同じにならないし、妥協し合うのも疲れる。自分の考えに付き合わせるのは相手に申し訳ない」と理由を挙げた。
 一方で、結婚に前向きな平川市在住の会社員女性(27)は「1人で生きるには病気など限界がある。寂しいという気持ちもあり、結婚はしたい」とパートナーと生涯支え合える関係を結婚に求める。「一緒にいて楽しければいいと昔は考えていたが、今はお互いの思い描く未来にお互いがいるかどうかが必要」と語った。
 「子どもが欲しいので縁があれば結婚したい」とは弘前市の会社員女性(29)。「20代前半はそのうち自然に結婚できるものだと思っていたが、この年になると少し焦る。結婚はお金が掛かるとよく言われるけれど、何よりも自分の家族をつくりたい。親に孫を見せたいという気持ちもある」と率直に語った。

 若者の恋愛や性行動、親密性を研究する弘前大学人文社会科学部の羽渕一代(はぶちいちよ)准教授は「ここ20~30年で男女ともに結婚相手に求めるものに大差はない」と分析。しかし、近年若い男性にささやかれる恋愛や性行動に対する“草食化”について、「実は先に草食化したのは女性の方。90年代終わりごろからその傾向が見られる」とし、女性の「恋愛離れ」を指摘する。
 少子化の一要因として結婚の形が様変わりしたことも挙げる。昔は地域ぐるみで若者の結婚を支援し、お見合いによって成婚するのが主流だった。これに対し、欧米式の恋愛文化が浸透したことで70年代以降は恋愛結婚が一般的に。このため、お見合い結婚を軸に日本が築いてきた「子どもを産む社会環境」が崩れてしまったという。
 女性が社会で活躍する機会が増えたことで、恋愛と仕事が充実する時期が重なり「恋愛が(キャリアの上で)リスクとなっている」場合も珍しくない。生活環境の変化や出産などが伴う結婚は「女性にとって生まれ変わるのと一緒。相当勇気がいる決断」と羽渕准教授。
 働く女性が安心して家庭を持てる―そんな社会づくりが結婚離れに待ったを掛ける鍵となるのではないか。