張り紙には「みんなが体を養生するに来る温泉です」―。こぢんまりとしたたたずまいながら、「薬湯」と名高い
上質な湯を求め、鶴田町郊外の梅沢地区にある施設に多くの人が集まる

 蓄膿(ちくのう)症に利いた、やけどの痕が消えた…。鶴田町の郊外に、さまざまな効能があるとうわさされる「薬湯」が存在する。素朴なたたずまいの「梅沢温泉」。黒い湯の花が沈む場所としても有名だ。
 「『お湯が湧いた!』って叫んで。入るとこんな良い湯だったなんて…」。おかみの鈴木良子さん(84)は、温泉を堀り当てた当時の喜びをこう振り返る。湯の質が口コミで広がり、今や町内外から多くの人が訪れる。
 朝から天気が荒れた日に実際に入ってみた。とにかく熱く、ひりひりする。でも肌触りがとても良く、上質で癖になりそうだ。口に含むとほのかに塩気がする。
 常連客いわく、天候によって湯の質が変わるとか。穏やかな天候の朝にもう一度入浴してみると、入りやすい温度になった気が…。味は、少し塩気が薄まったような感じも。まるで生きているかのような湯質で、入るたびに新たな発見がある。受付はなく、料金の200円を置くだけ。「もうけるためじゃないから」とあっけらかんとした鈴木さん。
 梅沢地区も人口が減り、「梅沢」の名を冠する施設も少なくなった。だが今年度、時代は万葉集にある梅の花の歌の序文から取った元号に変わった。「梅沢の名を残したい」。静かに決意する鈴木さんが令和の時代も見守るのは、ちょっと刺激的で体に良いとされる、まさに梅沢の湯。入浴、おかわり!

 

 ▽メモ
 住所は鶴田町横萢松倉51。午前6時~午後9時。無休。電話0173―28―3150。

おかみ・鈴木良子さん
 さまざまな病気や花粉症、やけどの跡…。特に宣伝したわけでもないのですが、町内外から何かを治したい人がよく訪れている、とにかく体に良い「薬湯」です。関東の大学の研究者がお湯を調べに来たこともあります。私は朝晩にお湯を一杯ずつ飲んで、健康を維持しています。源泉掛け流しで温度は50度ほど。熱いけれど入るとからっとした汗が流れます。
 「黒い湯の花の温泉」としても有名です。正体は落ち葉などでは―と東京から来た方が言っていました。浴槽の中も黒く見えますが、実際は無色です。